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2014/10/19

桂文我、他「東の旅・往路~通し」(2014/10/18昼)

「桂文我独演会特番『東の旅・往路』通し口演」
日時:2014年10月18日(土)13:30開演
会場:紀尾井小ホール
<   番組   >
『東の旅発端』桂小鯛
『奈良名所』桂文我
『野辺~煮売屋』桂しん吉
『七度狐』桂米平
『軽業』笑福亭生喬
『うんつく酒』桂文我
~中入り~
『常大夫儀大夫』桂米平
『鯉津栄之助』桂文我
『三人旅』桂しん吉
『浮かれの尼買い』笑福亭生喬
『間の山お杉お玉~宮巡り』桂文我

祝!阪神タイガース日本シリーズ進出決定!
まさかCSを無敗で勝ち上がる、とりわけ後楽園ドームで巨人に4連勝するとは思わなかった。シーズン中はあと一歩まで巨人を追い詰めながら首位に立てなかったウサを晴らした格好だ。
CSファイナルではクリンナップや先発、抑えの活躍に眼が行きがちだが、陰の殊勲者は中継ぎの投手陣だ。彼らの仕事を抜きにしてはCSを勝ち上がることは出来なかった。福原、安藤、高宮、そして松田らに大きな拍手を贈りたい。
ここまで来たら、ぜひ日本一の夢をかなえて欲しい。

上方落語には旅の噺が多い。もちろん東京の落語にもあるが、その多くは上方から移したものだ。
当時の観光地の中心は大半が西日本で、京都、奈良、伊勢、金毘羅などへ行くにも大阪は地の利が良い。旅の噺が多いのはそのためだろう。旅先が龍宮や地獄もあるくらいだから、旅好きというお国柄もあるのかな。
今回のテーマ「東の旅」は、大阪から奈良を通りお伊勢詣りをして、帰路は京都を経て大阪に戻るというコースだ。
「桂文我独演会特番『東の旅』通し口演」は、昼夜に分けて全編を口演するという意欲的な企画だ。その昼の部「往路」に出向く。
会場の紀尾井ホールは外堀の対面、上智大学とHニューオオタニの間に位置するホールで、落語会には似つかわしくない会場とも思える。せっかくの企画だったが、入りは4分程度と寂しい。
休憩を除いて3時間以上という長講だったが、ざっとあらすじを以下に紹介する。

『東の旅発端』
「ようよう上がりました私が初席一番叟で御座います」と開口一番の小拍子と張扇を用いての口上から始まる。「たたき」と言われるこの発端部分は前座修行のスタートでもあり、ここで発声やリズム、間の取り方を徹底的に仕込まれるんだそうだ。
喜六と清八が伊勢参りに出かける。大坂から出立し東へ向かう。
『奈良名所』
奈良の名所案内が行われる。当時の大阪でも伊勢参りに行ける人は少数だっただろうし、このネタはそうした観客への観光ガイドでもあったのだろう。
大仏の開眼で、大仏の中に落ちてしまった眼を直そうと子供が大仏の中に入って眼を入れて、鼻から出て来る、という小噺が入る。
『野辺~煮売屋』
野辺へ出てくると、伊勢参りからの帰りの一行とすれ違う。喜六と清八が煮売屋で休息するが、これが変な店で・・・。
『七度狐』
往路のハイライトともいうべき部分で、投げた石が狐に当たってしまい二人が何度も化かされて散々な目に遭う。
『軽業』
二人は祭りの見せ物小屋のインチキ興行でひどい目にあう。おの後は軽業興行を見物するが、綱渡りを演者が指二本と扇子で模写をする芸が見どころ。
『うんつく酒』
造り酒屋で酒を断られた二人が暴言を吐くと、怒った酒屋の主人が奉公人たちを集め袋叩きにしようとするが、清八の機転で危うく切り抜ける。
『常大夫儀大夫』
博打に負けてスッテンテンになってしまった二人。仕方なく義太夫語りに扮してひと稼ぎしようと企むが、女乞食からからかわれて・・・。
『鯉津栄之助』
大和三本松の鹿高の関で、領主の倅の名「鯉津栄之助」に通じる「こいつぁええ」と言う言葉を禁じられる。ところが喜六はその禁句を言ってしまい縛られるところを、清八が機転を利かせて・・・。
『三人旅』
なぜかこの場面だけ源兵衛を加わっての三人旅、馬子との軽妙な掛け合いある。
『浮かれの尼買い』
伊勢明星の宿に宿泊し女郎を買う事になるが、喜六が尼さんに当たってしまう騒動。
『間の山お杉お玉~宮巡り』
伊勢間の山にいた女芸人に、喜六が仙台銭を投げつけるが投げ返される。
いよいよ最終目的地の伊勢参り。ここでは伊勢神宮の宮参り、名所巡りが紹介される。お参りの帰りに喜六に乗った駕籠が他の一団に紛れてしまい、宿に着けずに堂々巡り。

上記のように「東の旅」は一貫した物語ではなくひとつひとつのエピソードは独立していて、喜六と清八という二人が主人公の短編集の形式となっている。そのいくつかは単独のネタとして口演されている。東京にも移されていて、『二人旅』『三人旅』『七度狐』『萬金丹』『長者番付』『夜店風景』(あるいは『一眼国』のマクラ)『蝦蟇の油』などの演目でお馴染みだ。オリジナルはこういう話だったのかと思いながら聴いていた。
江戸時代の旅は神信心が中心だ。しかし当時の旅人は男世界であり、自然と旅の楽しみは酒と女性ということになる。有名な神社の近くに必ずといって良いほど色街や歓楽街があるのはそのためだ。旅の物語はまた「酒と女」の物語でもあり、落語のテーマとしてはもってこいなのだ。
男の旅の楽しみというのは今でもあまり変わらず、アジア方面の団体ツアーでは、かつては「JALパック」ならぬ「やるパック」(スミマセン、下品で)が有名だったし、今でもツアーの男性グループの中には観光は口実で買春が目的という人たちとぶつかる事がある。60代、70代の元気なオジサンたちが、奥さんには内緒で大っぴらに買春して帰って行く。「業の肯定」、男ってものはいつまでも変わらない。断わっておくけど、アタシはしてませんよ。
落語がいつまでも色褪せないのは、そのためだろう。

この日のネタはいずれも賑やかな下座(お囃子)が鳴り響き、上方落語のエンタテイメント性を感じさせてくれた。
桂文我は三重県松坂出身ということもあり、「東の旅」には特別の思いがあるようだ。最後の『宮参り』は文我は掘り起こしたものだそうだ。この日の出演者である米平と一緒にこのコースを6泊7日かけて歩いてみたそうだ。そうした思い入れは客席にも伝わった。出来れば文我一人の通し口演を聴きたいと思った。
他では生喬の芸達者ぶりが印象に残った。

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コメント

俄か阪神フアンになりました。

投稿: 佐平次 | 2014/10/20 10:22

佐平次様
私は阪神ファン歴60年の針金入りです。

投稿: ほめ・く | 2014/10/20 11:13

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