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2014/10/28

猿之助一座「十月花形歌舞伎」(2014/4/26夜)

市川猿之助奮闘連続公演「十月花形歌舞伎」夜の部
三代猿之助四十八撰の内
鶴屋南北・作『通し狂言 獨道中五十三驛(ひとりたびごじゅうさんつぎ)』
京三條大橋より江戸日本橋まで
浄瑠璃お半長吉「写書東驛路」(うつしがきあずまのうまやじ)
市川猿之助十八役早替りならびに宙乗り相勤め申し候
日時:2014年10月26日(土)16時30分
会場:新橋演舞場
<  配役  >   
役者澤瀉屋  
丹波与八郎  
由留木馬之助  
由留木調之助  
与八郎妹お松  
お三実は猫の怪  
江戸兵衛  
信濃屋丁稚長吉  
同娘お半
芸者雪野  
長吉許婚お関  
弁天小僧菊之助  
土手の道哲  
長右衛門女房お絹  
鳶頭亀吉  
雷  
船頭熨斗七  
江戸兵衛女房お六
/以上18役 猿之助  
石井半次郎/ 門之助
赤堀水右衛門/ 右近
重の井姫/ 笑也
弥次郎兵衛/ 猿弥
喜多八/ 弘太郎
おはぎ/ 笑三郎
芝居茶屋女房おきち/ 春 猿
赤羽屋次郎作、赤星十三郎/ 寿猿
由井民部之助/ 隼人
お袖/ 米吉
奴逸平/ 亀鶴
赤堀官太夫/ 男女蔵
小屋頭おなみ/ 竹三郎
鶴屋南北/ 錦之助

新橋演舞場での10月花形歌舞伎夜の部は『通し狂言 獨道中五十三驛』、26日の”e+(イー・プラス)”観劇会へ。タイトルにある「猿之助一座」は通称で、「澤瀉屋(おもだかや)」市川猿之助を中心とした歌舞伎俳優が出演していた。妻が猿之助歌舞伎のファンで、今回もその付き合い。私も決して嫌いじゃないし。
ストーリーは。家宝をめぐってのお家騒動という歌舞伎定番で、敵味方が追いつ追われつ、東海道五十三次の宿々を舞台に大阪から終着点の江戸日本橋までを駆けめぐり、見事本懐を果たすというもの。
登場人物には弥次喜多あり、白波五人男あり、お半長あり、由井正雪ありと時代考証もなにもあったもんじゃない。
そんな事より、要は主役の猿之助の化け猫の怪異、宙乗り、水中での立廻り、早替りの踊りなど、様々な見せ場が売り物。なにせ一人18役で42回の早替わりっていうんだから、もの凄い。
後半の12役早替わりでは、男女の逢引シーンを一人で演じたり、舞台の袖に引っこんんだかと思うと花道から、あるいはセリから登場するなど変幻自在。時には衣装だけでなくメイクまで変えるんだから驚きだ。
化け猫での立ち回りでは、体操選手並みの動きも見せる。
宙乗りでは3階席の高さまであがる。
滝壺のシーンでは、全員が水浸しになりながらの立ち回りを見せる。客席まで水がかかるので、水よけのビニールシートが配られる。
要は演技あり、踊りあり、イリュージョンあり、アクロバットありのエンターテイメントなのだ。
難しい理屈抜きに楽しめるというのが猿之助歌舞伎の特長だ。
一部には、あれが歌舞伎かという声もあるようだが、歌舞伎です。

文化庁の「国指定文化財等データベース」によれば、「歌舞伎の解説文」にはこう書かれている。
【歌舞伎は、江戸時代に育成された日本演劇の一形態で、能楽、人形浄瑠璃と並んで、わが国の三大国劇と呼ばれる。先行および並行の諸芸能―田楽・能・狂言・民俗舞踊など―を摂取し、これを様式化、庶民化した総合的な芸能である。その内容は、女歌舞伎以来の歌舞の伝統を継承する「舞踊劇」、人形浄瑠璃の戯曲と演出法を導入した「義太夫狂言」、歌舞伎の演劇的要素の発展した「科白【せりふ】劇」などがある。歌舞伎は時代とともにしだいに洗練を重ね、大成されたが、明治に入ってからは古典化の道をたどり、高度に芸術化されていった。歌舞伎は、芸術上高度の価値を有するばかりでなく、わが国の芸能史上において重要な地位を占めるものである。なお、重要無形文化財としての歌舞伎の内容を明確にするために演者、演目、演技、演出について、指定の要件を規定している。】
今回の舞台でも舞踊劇、義太夫狂言、科白劇と全ての要素が含まれている。

江戸時代に一日に千両の商いが3カ所あった。
「日千両 散る山吹は 江戸の花」
「日に三箱 鼻の上下 ヘソの下」
という川柳にもある通り、吉原、魚河岸、そして芝居には日に千両の金が落ちたという。当時の芝居といえば歌舞伎だったわけで、今と違って庶民が気楽に楽しめるような娯楽性の高いものだったに違いない。
ところが上記のように、「明治に入ってからは古典化の道をたどり、高度に芸術化されていった」ため、なんだか難しそうな芸能と捉えられるようになってしまった。
3代目猿之助が創出した「スーパー歌舞伎」は、むしろ歌舞伎の原形に戻る試みだったと思う。
この日も周囲の客席からは「面白かった」「楽しかった」という声がきかれた。「生まれて初めて歌舞伎を観たけどこんなに面白いもんだなんて知らなかった」と語る女性客もいた。
歌舞伎は大衆芸能だ。高いお金を出してもお客が堪能してくれればそれで十分なのだ。

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コメント

私も観劇したのですが、弥次・喜多が箱根を超えたら、団七・徳兵衛になっていたり、様々な場面でそれぞれの芝居の場面が入っていたり、迫力ある大滝の立廻りや十二単衣を着た化け猫が飛び去っていくなど楽しめました。
贔屓の役者ではありませんが猿之助丈も、演じられるまで創り上げた猿翁丈も凄いと感じました。

投稿: 林檎 | 2014/10/29 06:29

林檎様
3代目猿之助(猿翁)は松竹歌舞伎の中では浮いた存在だったので、スーパー歌舞伎に活路を見出したのでしょう。最初は随分と叩かれましたが、興行面で大当たりになったので地位を確保した格好です。相当なご苦労はされたのでしょうけど。
当代猿之助は立役としては身長が低いのと、一座に女形の人材が少ないのが難点ですか。

投稿: ほめ・く | 2014/10/29 11:09

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