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2014/10/20

ノーベル賞・中村修二氏「研究費の半分は軍から」

高校3年3学期の化学の最後の授業で、学科主任の教師は私たち生徒にこう訴えた。「戦争中は多くの化学者が戦争に協力した。君たちがもし化学の道に進むならそういう化学者には絶対になるな」と。それまでは保守的な教師という印象だったのでこの言葉に驚き、今でも強く記憶に残っている。

さて、今年のノーベル物理学賞受賞者の中村修二米カルフォルニア大学教授のインタビューが、10月18日付朝日新聞に掲載されている。
中村氏の主な主張は以下の通りだ。
①特許の権利を会社のものにするという政府の方針については猛反対だ。自分の裁判を通じて企業の研究者や技術者の待遇がよくなってきたのに、それをまた大企業のいう事をきいて会社に帰属させるのはとんでもない。
②米国ではベンチャー企業の起業が盛んで、科学者もみなベンチャー起業でお金を稼いでいる。ベンチャーの報酬の支払いは株なので、上場すれば何十億、何百億円という金になる。だから優秀な人はベンチャーに移り、出来の悪いのが大企業に残る。日本にはそうしたシステムがないから大企業からベンチャーにこない。
③米国の工学部の教授だったら皆コンサルティングやベンチャーをやっている。日本は規制が多くそれができない。
④日本はグローバリゼーションに失敗している。
⑤日本の教育制度について、小さい時からどんなものが好きかを見て個性を伸ばす教育をした方が良い。第一言語を英語、第二言語を日本語にするくらいの大改革をやらないといけない。
⑥米国の大学教授の仕事はお金を集めること。自分のところでは年間1億円くらいかかる。半分は軍からくる。軍の研究費は機密だから米国人でないと貰えない。米国で教授をして生きるなら米国籍を取得せねばならない。

要約すれば、”中村修二氏のように優秀な研究者は、日本では自由な研究ができず、実績に見合った報酬も受け取れない。それに対してアメリカでは科学者も自由にベンチャー企業を起業化でき、莫大な収入が得られる。日本もノーベル賞級の研究を行うとするなら、米国のような環境に整備すべきだ。そのためには教育を含めいっそうグローバリゼーションを推進せなばならない。”という事。

成功者は強い、何を言っても許される。
アメリカン・ドリーム。
しかしアメリカの研究者誰もが中村氏のいうように自由な研究ができ莫大な収入を得ているかというと、そうでもないようだ。むしろ少数であり、大半の研究者(中村氏の言う「出来の悪い」研究者たち)はそうした境遇とは無縁のようである。
中村氏の主張するグローバリゼーション=アメリカ化には賛成しかねる。
それより気になったのは、中村氏の研究費が年間1億円くらいで、その半分は軍から支給されていると述べている点だ。研究内容なむろん軍事利用であり、だからこそ守秘義務があるので米国籍が必要なのだ。
軍から毎年5千万円くらいの補助を貰わないと教授として生きられないという実態について、さらにはそのために研究成果が軍事利用される恐れについては、中村氏はどのように考えているのだろうか。
ノーベル賞創設の経緯からみて、いかがなものか。

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コメント

本庶佑博士と小野薬品の間の問題、本庶佑博士の不満もわかるけれど、そこはやはりノーベル賞受賞賞で研究者、研究員たちだけではなく日本人全員の誇りなのですから、お金にうるさいだとか、守銭奴のように勘違いされないような形で決着してほしいです。ノーベル賞受賞賞の中村修二先生や本庶佑博士が多額の金銭的な見返りを求めたイメージが強くなりすぎるのは少しだけ残念な気がするんです。

香菜子ー本庶佑博士の不満もわかるけれど様
本庶佑氏の主張は金銭問題ではなく、研究者に対する評価を問うているのだと思われます。特許の実施権に対する小野薬品の支払いが1%というのは低過ぎる感じもしますが、商品開発全体に占める基礎研究の割合がどの程度だったのか分からないので、何とも言えません。

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