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2014/11/10

【街角で出会った美女】セルビア編(2)

月刊誌「図書」10月号に載った記事から二つ。
ひとつは赤川次郎「今に活きる言葉」で、映画『ハンナ・アーレント』を見た感想だ。映画は昨年、岩波ホールで公開され好評だったようで、赤川はDVD化されたものを鑑賞したとある。
当方は恥ずかしながらハンナ・アーレントという名前さえ知らなかったのだが、偶然にも同じ10月号に紀平英作『ニュースクール』の文中にも紹介されている。ユダヤ人であった彼女はナチスの強制収容所に捕えられるが脱走しアメリカに亡命する。政治哲学者として名声をはせるが、晩年になってアイヒマン裁判の傍聴記録『エルサレムのアイヒマン』を書いた。この中で「平凡な人間こそが最大の悪を為す」とアーレントは述べていて、これがユダヤ人社会を二分し彼女は多くの友人を失うが、節を曲げなかった。
赤川はハンナ・アーレントの次の言葉、
「考える事をやめたとき、平凡な人間が残虐行為に走る」
「考えることで得るのは知識ではなく、善悪を判断する能力、美しいものと醜いものを見分ける能力である」
を紹介している。
そして大阪の教育委員会の指示で校長は教員の口の開け方で君が代を歌っているかチェックしたということが以前報道されたが、こんな幼稚な行動ができるのは「命令に従っただけ」というアイヒマンの主張と同類ではないかと指摘する。

もうひとつの記事は高村薫「この夏に死んだ言葉」で、この夏に起きた政治的事件に触れている。ロシアのクリミア併合に端を発するウクライナ政府と親ロシア勢力との戦闘とそれに続く民間機の撃墜。シリアにおける反体制の1万人以上の拷問死。イスラエルのハマス攻撃ではパレスチナ人の犠牲者が1800人を超えた。
これらは明らかに「人道に対する罪」であるにも拘らず、先進国や国連、あるいは一般市民から大きな声が上がらないという現実。

話は変るが、この時期に田母神俊雄氏(元自衛隊航空幕僚長、「太陽の党」代表幹事)を団長とするグループが「イスラエル国防視察団」を編成しイスラエルを訪問した。しかしこの件を批判的にとりあげたのは「ニューズウイーク日本版」サイトだけだったと記憶している。記事にはこう書かれている。「少なくとも今の時期に、そしてイスラエルの外交・諜報活動の一端を担うような形で、日本の著名な人物が行動するのは軽率と言われても仕方がないと思います」。こうした声はなぜか日本の大手メディアからは聞こえなかった。
閑話休題。
高村は続けて、少し前ならこれらの事件に対する国際的非難の声はもっと高かったのではないかと。旧セルビアのミロシェビッチ元大統領らが「人道に対する罪」を問われたのは、たんに欧米諸国による恣意的なポーズだったのかと。
最後にこう書く。「この夏の世界情勢を眺むるに、『人道』は死語になったのだと思う」。

さて「コソボ紛争」の際には、セルビアの首都ベオグラードに米国とNATO軍による空爆が行われ、およそ1000人の市民が犠牲になった。今でもその現場は「空爆通り」と名付けられ、破壊された建物の一部が保存されている。セルビアの市民たちは、今の状況をどう見てるだろうか。
下の画像は前回に引き続き、列車で出会った中学生の美人女生徒たちだ。

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コメント

ナチスの突撃隊を後押ししたハイデガーの恋人、ハンナ・アーレントが戦後恩師であり恋人だったハイデガーの救出に動くのですね。
それは映画には出てくるのかな。

佐平次様
そのドラマチックな逸話はチラッと触れているだけのようです。米国に渡り政治哲学者として活躍する時期を中心として描かれているようですが、とても感動的な作品とのことです。

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