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2014/11/18

林家たけ平独演会(2014/11/17)

林家たけ平独演会その六節「のびろ!!たけ平」
日時:2014年11月17日(月)19時
会場:内幸町ホール
<  番組  >
林家たけ平『紀州』『御神酒徳利』/仲入り/『死神』

開演前に会場に流れていたのは昭和20年代前半の歌謡曲。なんだか居酒屋に入ったような気分だが、いかにもたけ平の会らしい趣向だ。平野愛子『港が見える丘』、あの気怠いような歌い方がなんとも言えず良かった。こんなこと書くと年がばれちゃうかな。
林家たけ平、当代正蔵の惣領弟子で二ツ目だが順調にいけば再来年には真打昇進となるだろう。イメージとしては、どこのクラスにもいるようなチョイワルでやたら面白い事言うヤツ、がそのまま落語家になった感じか。
出演者は本人だけで3席、公演時間は1時間40分と、外形的には独演会の理想的姿だ。
演目だが図らずもか図ったのか分からないが、3席ともに三遊亭圓生の十八番が並ぶ。特に『御神酒徳利』と『死神』は代表的作品といって良い。
『紀州』は地噺といってもいいほどで、御三家の由来や、聞き違い(圓生だと「のこぎりの目立て」を「お好みのめかけ」に聞き違うなど)に独自のクスグリを入れての1席なので、たけ平も「由美かおるの入浴シーン」だの「マツケンサンバ」を入れ込んで気分良さそうに演じていた。
『御神酒徳利』はネタおろしのようで、過去何度か挑戦しては断念してきたと書いてあった。全体としてまだ完全に消化しきれていないという印象だ。言葉に詰まったり同じセリフを繰り返したりという場面が見られた。加えて人物の演じ分けが不十分とみた。例えば鴻池の支配人にはもっと風格が必要だし、神奈川宿の女中の言葉が田舎言葉と標準語がゴチャマゼになっていた。
これらは本人も十分に認識していると思われるが、ともかくこうした大ネタに挑み最後までまとめ上げた努力は買いたい。
たけ平の明るさを活かした、圓生や三木助とはまた別の『御神酒徳利』に仕上がるのを期待する。
『死神』では、通常は男が医者で大儲けし、女房と子を離別して若い女と豪遊しスッカラカンになるという筋だが、たけ平は診療費を吊り上げたために往診の依頼がなくなり再び貧しくなるというストーリーにしていた。女房とはずっと一緒だ。だから終盤の地下室の場面で女房のロウソクが勢いが良いのを見て男がガッカリする。最後に男が消えそうになったロウソクを無事に新しいロウソクに継ぐことに成功するのだが、死神に今日が誕生日だと明かす。すると死神が「ハッピバースデー」の歌を歌うと、男はつい嬉しくなって自分のロウソクの火を吹き消してしまう。このサゲは工夫されている。

たけ平の長所は明るさと勢いだ。前記のように芸はまだ粗削りだが、それでも客に聴かせられるということは本人の持つ魅力だろう。注目すべき若手の一人といえる。

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コメント

>たけ平の長所は
仰る通りです。

さて、「紀州」は小朝のが好きですが、ほめくさまはいかがでしょうか?

投稿: 福 | 2014/11/18 20:58

福様
私の知る限りではやはり圓生です。現役では小朝の弟子の圓太郎がいいと思いました。なぜ8代将軍の座を尾州公と紀州公で争うことになったのか、マクラでその歴史的背景を丁寧に説明していた点を買います。

投稿: ほめ・く | 2014/11/18 22:25

丁寧に答えて頂き恐縮です。
圓生のものはユーチューブにあるので聴いてみたいと思います。
圓太郎はなぜか師匠の小朝とは異なる個性の持ち主ですね。
玉之輔が小朝に似ているのと好対照です。

投稿: 福 | 2014/11/19 06:42

福様
圓太郎は師匠に似てませんね。師弟で似ていないというのは結構多いようで、5代目桂文枝-6代桂文枝とか、古くは8代目桂文楽-7代目橘家円蔵-初代林家三平の場合は3代続いて全く芸風が異なっています。師弟関係といっても様々なのでしょう。

投稿: ほめ・く | 2014/11/19 09:15

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