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2014/11/03

「叙勲」の内幕

秋の叙勲が発表された。今季は4086人が受賞した。
叙勲者はどのように選ばれるのかというと「叙勲候補者推薦要綱」というものがある。これによると手続き上は国務大臣、衆参両院議長、最高裁長官ら中央官庁のトップが総理大臣に推薦することになっている。推薦の要件は「国家又な公共に対する功労のある者」とし「70歳以上、生前贈与」が原則だ。

では実際の推薦はどう行われているかだが、ルートは大きく分けて「中央省庁ルート」「都道府県庁ルート」「一般ルート」と三つある。
中央省庁ルートでは省庁トップが推薦ワクを持つため、官庁出身の元官僚や所管する業界団体から民間人も推薦する。
都道府県庁ルートでは、各市町村から推薦が庁に上がる。これに庁が直接受けた推薦者を加えた候補者リストを分野別に所管する中央省庁に送る。
一般推薦ルートでは三親等以上離れた3人以上が推薦人となって直接内閣府に上げる。あなたでも友人が3人いれば叙勲候補になれるわけだ。叙勲局は受け付けた一般推薦を審査し、通過した者を分野別に省庁に送る。ただ一般推薦は狭き門なので、あなたが実際に受賞する可能性は極めて低い。

叙勲のランクはどう決まるかというと、基本は前例主義だ。
三権の長と大臣は旭日大綬章、国会議員・都道府県知事・政令指定市長は旭日重光賞(又は中綬賞)、中央の事務次官だと瑞宝重光賞、局長どまりの元官僚は瑞宝中綬賞と決まっている。公務員の場合は勤続年数と退職時の肩書で自動的に決まってくるわけだ。
ところが少しでも上のランクを願うという人も少なくなく、特例として規定では「特に著しい功労のある者に対しては、より上位の勲章の授与を検討することができる」とあり、これは選ぶ側の主観と裁量権に任されることになる。
ここでモノを言うのが政権党の総裁(首相)や幹事長の力だ。
春の叙勲で話題になったのが旭日大綬章を受章したJR東海名誉会長の葛西敬之氏と、瑞宝大綬章を受けた元統合幕僚長議長の竹河内捷次氏の二人だ。
葛西氏については説明不要で、安倍首相とは親密な間柄であることは夙に知られている。
竹河内氏については従来まで制服組のトップが大綬章を受けた例がなかった。これは自衛隊制服組を重用する安倍首相の肝いりとされ、いずれも「安倍叙勲」と揶揄された。

民間経営者の叙勲希望者というのはかなり多いそうで、これには国会議員が汗をかくことになる。党員獲得や票固めの見返りに要求されれば断りづらいのが現状らしい。有力後援者を地元県庁に口添えすることになる。
都道府県に直接陳情に来るのは地元の有力土建業が多いのだそうだ。受賞すれば名士になれるからだ。この時にモノをいうのが庁の職員の受け入れだという。つまり職員のOB受け入れや再就職の世話をすると推薦が受けやすくなるという。
こうなると叙勲をエサにした完全な利益誘導だ。
叙勲の「官民格差」は歴然としていて、春の叙勲の受章者約4千人のうち、およそ公務員3千人、民間人は1千人という内訳になっている。過去にいく度か見直しが行われてきたが、実態は一向に変わらない。

叙勲の等級は現在「大勲位」を含めて7段階に分かれている。
人間を格付けするがごとき叙勲制度というものの在り方を考える時期にきている。

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コメント

つまるところは天皇制にいきつきますね。

佐平次様
ご指摘の通りで、叙勲の授賞は天皇の国事行為です。こうした叙勲をめぐる裏工作はつまるところ天皇の政治利用ということができます。

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