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2014/12/03

落語睦会「扇遊・鯉昇・喜多八」(2014/11/2)

噺小屋「落語睦会~冬薔薇のゼントルマン」
日時:2014年11月2日(火)18時30分
会場:国立演芸場
<  番組  >
三遊亭ぬう生『定年ホスト』
入船亭扇遊『棒鱈』
~仲入り~
柳家喜多八『にらみ返し』
瀧川鯉昇『宿屋の富』

この会は東京音協主催の「噺小屋」シリーズの催しとして行われてきたが、音協の事業再編で落語会から撤退することが決まったようで、次回からは音協の担当者が引き継ぐ別の組織の主催となるそうだ。
元々「音協」というのは「労音」に対抗するために財界の後押しでできた組織だったから、その潰すべき相手が弱体化した今日、もはや存在意義を失ったのかな。よく分からない。
ともかく、今後も別の形で継続はされるとのことだ。
会のタイトルは毎回季語に因んだ言葉が使われているんだそうで、今回は「冬薔薇」、冬に咲くバラのことで「ふゆそうび」と読む。「ゼントルマン」という表記も古いですね。ひと昔前の日本人は「ジェ」という発音が難しかったようで、会社でも入社した当時は「プロゼクト」なんて言ってたね。「ビルディング」は「ビルヂング」だった。「ゼントルマン」、漢字で書くと「銭取人」。

ぬう生『定年ホスト』、主催者から新作ということで声がかかったようだ。定年になったサラリーマンがアルバイトでホストをやるという話だが、それだけでヒネリがない。

扇遊『棒鱈』
マクラで今年の流行語大賞の話題。「集団的自衛権」は知っていたが「ダメよ~ダメダメ」は知らなかったそうだ。アタシと一緒。あれってホントに流行っていたの。試しにユーチューブで見たけど面白くもなんともない。もしかして「集団的自衛権はダメよダメダメ」という意味なのかな。
あと、師匠の扇橋が酒が呑めないので、一門の忘年会は「句会」なんだそうだ。俳句の苦手の人は苦痛だろうね。「句会」じゃなくて「苦界」だね。
酔ってロレツガ回らなかった男が、いきなり胸のすくような啖呵を切るなんざぁ、よほどこの江戸っ子は田舎侍が腹に据えかねたとみえる。扇遊らしい真っ直ぐな高座。

喜多八『にらみ返し』
マクラで、行きつけの店が閉店してしまいやることが無くて仕方なく落語の稽古をしている。これじゃまるで落語好きな素人みたいだと言っていた。
年末らしい掛取り撃退のネタ。掛取りに来たのを睨んで返すという筋なので、このネタは目の大きい人でないと映えない。8代目三笑亭可楽が十八番としていたが、眼の演技が上手い喜多八にはピッタリの演目だ。

鯉昇『宿屋の富』
マクラで今年のノーベル物理学賞受賞者の一人が同郷で学校も同じ、子どもの頃から変わっていたという。何が変ってたのかというと、授業中にいつも起きていたとか。
安宿に宿泊した男が宿の主人相手に大法螺を吹くのだが、庭に富士山や琵琶湖があると聞いた段階でたいがいホラに気付きそうなもんだ。上沼恵美子じゃあるまいし。
以前なにかで読んだことがあるが、本当の大金持ちというのは途方もないんだそうだ。熱海に住むある資産家を訪れたら広大な庭があり静寂を極める。お静かですねというと、「でも近ごろは庭に隅に新幹線が通るよになって、少しうるさくなりました」と答えたという。こういう人もいるのだ。
2番富に当たると信じている男の妄想と、泊り客が千両富の当りを確認して茫然自失する場面を中心に描き、年末らしく目出度い結末でお開き。鯉昇のとぼけた味が活きていた。

この会はレギュラー3人に二ツ目一人という構成だが、過去のネタ帳をみるといずれも古典だ。今回新作を選んだのは異質な感がある。

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コメント

喜多八の「にらみ返し」の眼は不気味で面白いです。

投稿: 佐平次 | 2014/12/04 11:40

佐平次様
喜多八の「にらみ」には愛嬌があり、そこがまた魅力です。

投稿: ほめ・く | 2014/12/04 16:26

東京音協、手を引きましたか。
3.11直後の落語会の対応のひどさを思い出します。

睦会にはしばらく行っていないのですよ。
正月のにぎわい座に行こうかなぁ、などと思っています。

たしかに、この会に新作は似合わないですね。
最近の落語会、主催者側の無理な注文が、結果として悪い方に出ているものが多いような気がします。

あまり凝るのも考えものですね。

投稿: 小言幸兵衛 | 2014/12/04 18:07

小言幸兵衛様
貴ブログでは過去に何度か音協の対応に関して批判がありましたが、要はやる気が無くなったという事でしょうね。本来の睦会は各自が3席で、毎回一人だけ2席演るというスタイルだったと記憶しています。そういう意味からもこのシリーズは邪道です。

投稿: ほめ・く | 2014/12/04 22:37

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