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2014/12/26

人形町らくだ亭(2014/12/25)

第57回「人形町らくだ亭」
後時:2014年12月25日(木)18時50分
会場:日本橋劇場
<  番組  >
前座・瀧川鯉○『馬大家』
三笑亭夢吉『思ひ出』
桂九雀『土橋万歳』
五街道雲助『くしゃみ講釈』
~仲入り~
柳家小満ん『権兵衛狸』
柳家喜多八『睨み返し』
(前座以外は全員ネタ出し)

「人形町らくだ亭」は57回ということだが実は初参加だ。ホームページが更新されず古い案内がそのまま残されていて、主催者のヤル気が感じられないからだ。今回もたまたまピアで知ってチケットを取った。行ってみて分かったのだが、会場で次回の開催案内があるので、常連の人たちは不自由しないのだろう。

前座の鯉○『馬大家』、来年の二ツ目昇進が決まっているそうで、しゃべりはしっかりしている。このネタは午年に因んだものなので、賞味期限ギリギリだった。
午年生まれの馬好きの大家、家を貸すのにも馬好きの人でなければいけない。これを知った男は何でも「馬」尽くしで答える。地名や名前、職業に至るまで全て「馬」が付く。大家はすっかりいい気持ちになって、男が馬の話をするたびに家賃を下げてゆく。
2代目三遊亭円歌の録音が残されているくらいで珍しいネタだ。歳の瀬にこういう干支に因んだネタを演じるのは気が利いている。

夢吉『思ひ出』、来年の真打昇進が正式に発表された。芸協のHPを見ると3人となっている。夢吉の昇進は当然として、同期の橘ノ 圓満が昇進から外されたのはどういうことだろうか。実力では今回の昇進者に決して引け劣らないのに。というより圓満は以前から既に真打の実力を備えていた。どうもスッキリしない決定だ。
この演目は5代目古今亭今輔の持ちネタで、作者は鈴木みちをとのこと。
古着屋が未亡人の家に着物の買い付けに行くと、古着に疵がある。その分値段が安くなることを告げると、その度に未亡人が亡き主人との思い出話しを始めて・・・。
夢吉は未亡人が思い出話しから次第に興奮してくる所をしっかりと描き良い出来だった。

九雀『土橋万歳』、初見、この日のお目当ての一人。ネタもタイトルは知っていたが、聴くのは初めて。
船場の大店・播磨屋の離れ座敷では、遊び好きの若旦那・作次郎が外出するのを丁稚の定吉が見張っている。そこで若旦那は定吉にお土産とお小遣いで買収し、布団をまるめて自分が寝込んでいるような姿にして遊びに出かけてしまう。
一方、番頭が風邪で寝ている主の代わりに葬式へ参列しようと定吉を供にして、代わりに亀吉を見張り番にするが、実は既に若旦那は家を抜け出していた。
その帰り道、定吉の言動がおかしい事に気付いた番頭は、すでに若旦那が逃亡したことに気付き定吉を誘導尋問して若旦那の居場所を聞き出す。
番頭が難波の一方亭という料理屋へ行ってみると大宴会の最中で、無理やり二階に上げさせられた番頭は若旦那に説教するが、逆切れされて階段から突き落とされてしまう。
その後、若旦那一行は南に繰り出すが、その途中にある土橋にさしかかると、覆面の男が飛び出してきて「追剥じゃー」と叫ぶ。
びっくりした芸子や幇間は若旦那を放り出して逃げてしまう。一人で震える若旦那に追剥が覆面を取るとこれが番頭。
なんとか若旦那を改心させようとする説得する番頭だが、逆上した若旦那は聞き入れようとしない。
それどころか履いていた雪駄を脱いで番頭の顔を殴り額を傷つけてしまう。憤る番頭の手が腰に差していた『葬礼差し』に伸び、あわてて手をひっこめたが、その様子を見て若旦那が「お前に殺されるなら本望じゃ、さぁ斬れ!! 」と掴みかかってきた。
二人がもみ合ううち、たまたま鞘走ったが葬礼差しが若旦那を傷つけてしまう。もうこれ以上生かしておけば店のためにならないと思いつめた番頭は、若旦那にとどめの刃を振り下ろす。
実際には番頭と若旦那が同じ夢を見ていた事が分かり、若旦那は改心する決心をする。
サゲは主殺しは重罪と、番頭の父親が大和で万歳という地口オチ。

お店の情景から茶屋遊び、そして凄惨な殺しの場まであって堪能した。よほど力量がないと演じられないネタだろうと思う。九雀の高座はそれぞれの人物の演じ分けが出来ており、遊び人の若旦那と生真面目な番頭との対比も明瞭に描かれていた。
刀で切りつけるシーンでは、歌舞伎のダンマリの形も決まっていた(ツケ打ちが外していたのは惜しまれる)。
上方落語界の底力を感じた一席。

ここまで長くなったので、後は簡単に。

雲助『くしゃみ講釈』、乾物屋の店先で「のぞきカラクリ」の口上を語る場面は軽快。講釈は雲助はあまり得意ではないように見えた。「難波戦記」を語りながら唐辛子の煙に咽び、顔を歪めながらくしゃみを連発する場面は良く出来ていて場内は爆笑。

小満ん『権兵衛狸』、あまり演じたことがないと断りを入れてネタに入る。権兵衛が元々床屋だったという設定は説得力がある。民話風の語りで結構な高座だった。

喜多八『睨み返し』、このネタに関しては今や喜多八が第一人者といっても良いだろう。あの目で睨まれたら相手は怖いというより気持ち悪くなって退散してしまう。

珍しいネタも聴けたし、熱演好演が続き年末にふさわしい充実した落語会となった。

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コメント

孫悟空ならぬ身、落語研究会の方に行きました。
こっちもやはりよかったですね。

投稿: 佐平次 | 2014/12/26 12:49

佐平次様
お目当ての九雀『土橋万歳』が聴けて満足でした。
小満ん『権兵衛狸』も小品ながら結構な味わいでした。
落語研究会の方も良かったようですね。

投稿: ほめ・く | 2014/12/26 18:38

いらっしゃいましたか!
初とは、意外でした。

『土橋萬歳』は、結構でしたね。

開口一番もあの短かさで、あのネタなら許せますね。
夢吉は、やや時間を気にして早口ではありましたが、やはり実力はあります。
圓満は、近いうちに生で確認したいと思っています。
雲助、小満ん、喜多八といった芸達者も、それぞれ持ち味を発揮したように思います。
問題は、主催者のみ、かな^^

投稿: 小言幸兵衛 | 2014/12/26 20:27

小言幸兵衛様
この会は以前から幸兵衛さんの記事で見ていて、一度は行こうと思っていたので良い機会でした。若手の意欲的な高座と、ベテランの洗練された芸を両方楽しめて良かったと思います。
圓満は中堅真打ぐらいの実力があり、今回の昇進見送りは腑に落ちません。

投稿: ほめ・く | 2014/12/26 21:38

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