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2014/12/30

2014年「My演芸大賞」

この1年間、75回の各種落語会や寄席に行き、およそ400席ほどの高座を鑑賞した。
この中で特に優れた高座から大賞と優秀賞を下記の通り選んだ。

2014年「My演芸大賞」
■大賞
春風亭一之輔『富久』10/25「第34回三田落語会」
■優秀賞
古今亭志ん輔『居残り佐平次』2/22「第30回三田落語会」
五街道雲助『花見の仇討』4/5「雲助蔵出しぞろぞろ」
桃月庵白酒『つるつる』6/28「第32回三田落語会」
蜃気楼龍玉『真景累ヶ淵~通し』7/28「蜃気楼龍玉独演会」
露の新治『胴乱の幸助』8/23「第33回三田落語会」
柳家小満ん『寝床』9/26「第124回柳家小満んの会」
■企画賞
「桂文我独演会特番『東の旅』通し口演」10/18
【出演】桂文我 笑福亭生喬 桂米平 桂しん吉 桂小鯛

大賞の一之輔だが、目覚ましい活躍ぶりは衆目の一致するところだろう。常に新しいネタに挑戦しながら自分の物にしていくという才能は驚くばかりだ。受賞作では主人公の幇間の久蔵が、旦那の家に駆けつけた後で火事見舞いに頂いた酒を呑み酔うと周囲の奉公人にカラミ出すという酒癖の悪い男の「業」を見せる演出で、最近では出色の『富久』に仕上げていた。また『文七元結』ではネタおろしと思えない程の完成度の高さを示していた。若手でも人気が出ると寄席を疎かにする者が多い中で寄席を大事にしている姿勢も評価したい。

優勝賞の志ん輔『居残り佐平次』、このネタは近年では志ん朝がベストだと思うが、志ん輔の高座は随所に独自の工夫を重ねその師匠を乗り越えて行こうという意欲が感じられた。
雲助についてはいくつもの優れた高座があり選定に迷ったが、桜の開花の真っ盛りの時期に実に気分良さそうに演じた『花見の仇討』が強く印象に残った。
白酒については『首ったけ』も良かったが、先代文楽や志ん生以後に演じられる人がいないと思われた『つるつる』を、あそこまで仕上げた努力を買いたい。廓噺では今の若手ではこの人が第一人者と言って良いだろう。
龍玉の進境が著しい。『真景累ヶ淵~通し』という難しい課題に取り組み、全体を手際よくまとめた手腕を評価したい。雲助一門が続いてしまったが、それだけこの一門の充実ぶりを物語っている。
ここ数年、上方落語の魅力を東京の落語ファンに伝えている新治だが、今年も『胴乱の幸助』でその楽しさを味あわせてくれた。
かつては『寝床』といえば名人文楽と相場が決まっていたが正当な継承者が見当たらない中で、小満んの高座で黒門町の芸が蘇ったような感銘を受けた。

桂文我を始めとした5人の上方落語家による「『東の旅』通し口演」に今回企画賞を設けた。一日かけて往路と復路両方を全て演じるという意欲的な企画だった。このネタは大阪から伊勢神宮までの旅の話しで、文我らは実際にそのルートを歩いて見たそうだ。私は前半の往路のみ鑑賞したが、これが落語のネタの宝庫であることを改めて感じた。貴重な経験だった。

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寄席・落語」カテゴリの記事

コメント

雲助『花見の仇討』、新治『胴乱の幸助』、小満ん『寝床』をご一緒しています。
三田落語会は、夜の部は新治以外には行っていないのですよ。
一之輔は、今年あまり聴いていないんです。あえて少し時間を空けてみたので、来年、その成長ぶりを確認したいと思います。
文我の会は、残念ながら、野暮用で行けませんでした。
良い高座に出会えるのも、まさに縁。
来年も多くのご縁があるよう祈るばかりです。
今年一年、ほめ・くさんのブログを大いに楽しませていただき、学ばせていただきました。ありがとうございます。
来年もよろしくお願いいたします。

小満んの「寝床」はよかったですね。
雲助とその弟子たちが凄い、一朝親子も負けてないけれど。

小言幸兵衛様
三つの高座がご一緒だったとは、かなりの高確率でした。同じ落語評でも幸兵衛さんのサイトでは内容を深く掘り下げ研究書に近いですが、当方はどちらかと言うと観たまま聴いたままの感想を書いていて、スタイルが異なります。
私の方は幸兵衛さんの記事から学ぶことが多く、いつも参考にしています。
どうぞ来年も宜しくお願い致します。

佐平次様
いつも貴兄から沢山のコメントを頂き感謝しています。
雲助一門と一朝一門の勢いは凄いですね。しばらくは落語界の台風の目の様な存在になるかと。
小満んの会にも出来るだけ参加したいと思っています。

「富久」「つるつる」「寝床」
考えてみれば、先代文楽の十八番ですね。
伝統とはかくや、と思いました。

先代文楽「富久」(ビデオ視聴ですが)では、
久蔵が「売った者と買った者がここにいて、その額まで覚えていて、
それでもらわれないってほうは無いじゃないか」と嘆くシーンが印象的でした。

さて、今年も頓珍漢なことばかり書き込みました。
にも拘わらず、いつも丁寧に答えて頂き、恐縮至極です。良いお年をお迎え下さい。

福様
先代文楽の持ちネタは30余りと少ないのですが、それが今だに古典の名作をして演じられているのですから、いかに珠玉の作品であったかが窺われます。
いつも拙ブログの雑文を読んで頂いているようで恐縮です。
どうぞ来年も宜しくお願い致します。

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