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2015/01/29

四派の若手競演(2015/1/28)

「すっとこどっこい てやんでぃ こんこんちきの べらんめぇ」
日時:2015年1月28日(水)19時
会場:深川江戸資料館小劇場
<  番組  >
前座・三遊亭わん丈『看板のピン』
桂宮治『二番煎じ』
三遊亭萬橘『宮戸川』
~仲入り~
立川こはる『桑名船(五目講釈)』
三遊亭天どん『初天神』

落協、芸協、立川流、圓楽一門の四派の若手が顔を揃えた道楽亭主催の落語会、タイトルには特別の意味はない。
会場は6分程度で顔づけの割には入りが悪い。現役の一時期この辺りをよく飲み歩いたが、門前仲町と森下の中間にあたり当時は交通が不便だったが、大江戸線が出来てから便利になった。

前座のわん丈『看板のピン』、サブタイトルに若手5人の会とあり自分もカウントされていて感激したそうだ。この日は中央線の飛び込み自殺が多いというマクラを振っていた。アタシは子どもの頃から親に「電車への飛び込み自殺だけは絶対にするな」としつけられて来たので今日まで無事にいる。こういう家庭教育は必要かもしれない。
『看板のピン』は前座には珍しいネタといえる。まだ教わった通りにしゃべっているという段階だが、スジ(素質)は良さそうだ。

宮治『二番煎じ』、二ツ目ながら国立で定期的な独演会を開くなど既に真打並みの活躍をしているのはご存知の通り。この人のハイテンションで押しまくるという高座スタイルは前座時代から全く変わらない。『二番煎じ』のようなネタをどう演じるか注目したが、未だ荷が重いのかという印象だった。先ず、冬の寒風吹きすさぶ中で夜回りするという雰囲気が感じられない。辰っつぁんの「火の用心さっしゃりやしょう」の掛け声が全くダメ。番小屋の戻っての宴会で裸になってカッポレを踊るという趣向はムチャクチャだ。見回り役人が「煎じ薬」と出された飲み物を「これは酒だな」と言うのもおかしい。
全体に不満の残る高座だった。

萬橘『宮戸川』、ファミレスで60歳の男が年上の女性を口説いていたというマクラを振っていた。萬橘の4歳の息子の「大人のつまらないモノ」のエピソードは秀逸。後で天どんが、あれは仕込みだと言っていたが真偽のほどは分からぬが、ネタのマクラとしてはつながっている。
お花の叔母さんは男を作って今頃は沖縄に上陸しているという設定。それじゃお花の行き処はなく、半七に付いてゆくしかない。叔父さんの家の前で半七から離れろと命じられたお花は、半七が戸を叩いている間に少しずつ近づくという、まるで「達磨さんが転んだ」遊びのような動作を示すクスグリが面白かった。近くに雷が落ちてお花が半七の胸に飛び込むと、半七の全身の血液がある一カ所に集まってという表現もストレート。男性なら誰しも経験があることだろう。
天どんと比較される時があるが、決定的な違いは萬橘にはフラがあることだ。

こはる『桑名船(五目講釈)』、談春の下で長く辛抱しているだけでも偉い。よほどの根性の持ち主なんだろう。女流落語家の中で評価している数少ない中の一人だ。飲み屋で年齢確認を求められたというマクラを振ってネタに。このネタも滑舌の良さを活かして講釈を読んでいた。サメの造形も工夫されていた。

天どん『初天神』、マクラで先に出た萬橘をいじってネタへ。変わっていたのは天神様には行かず、全て長屋の中での出来事としていたことだ。元々が父親が子どもと買い物をする話だから、敢えて天神様を持ち出す必要も無いと言える。長屋の端の家で飴も、カラーひよこも、凧も売っている。この父親は飴玉の後はヒヨコを息子の口に放り込むし、凧を揚げると息子も一緒に揚げてしまうんだから、かなり乱暴。出かけて行く父子の背に母親が「切り火」を繰り返すギャグが効果的だった。改作としては成功したのではなかろうか。
二ツ目時代から何度かこの人の高座を見たが、この日が一番面白かった。

四派の若手による古典の競演、楽しめた。

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コメント

「桑名船(五目講釈)」は以前、NHKで師匠の談春が演じました。
テレビではふつう、落語家はお馴染みのもの(「時そば」「湯屋番」など)を
演ることが多いのですが、談春は敢えてマニアックなものを選んで聴かせました。
こはるは師匠にならって演じたんでしょうね。

福様
こはるは啖呵が切れる数少ない女流の一人で、口跡の良さがこのネタには活きていました。通常は『五目侯爵』『鮫講釈』『兵庫船』などのタイトルで演じられる事が多いのですが、立川流はこの『桑名船』のタイトルで演じているようです。

森下から門仲、どんな店に?
私もときどき行きました。
山りきとか魚三のほかは名前を忘れましたが。

佐平次様
「魚三」とは懐かしい、よく行きました。森下では「みの家」に時々桜肉を食いに行きました。後は大衆酒場やスナックで店名も忘れてしまいました。

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