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2015/02/14

「西のかい枝・東の兼好」(2015/2/13)

第21回にぎわい倶楽部「西のかい枝・東の兼好」
日時:2015年2月13日(金)19時
会場:横浜にぎわい座
<  番組  >
前座・三遊亭けん玉『十徳』
桂かい枝『代書』*
三遊亭兼好『干物箱』*
~仲入り~
三遊亭兼好『初音の鼓』
桂かい枝『胴乱の幸助』
(*ネタ出し)

かい枝『代書』、マクラで得意の英語落語のことをネタに。いま米国のビザを取得するのは手続きが面倒になっているようだ。先ず書類を提出した後に指定日に大使館や領事館に出向き係官とインタビューせなばならないとのこと。ここである程度英語の会話力が試されるらしい。「どういう目的でアメリカに行くのか?」という質問に「日本の伝統芸能である『落語』をアメリカに紹介したい」。「その『落語』とはどういうものか?」と訊かれたので小咄を演った。周囲の係官も集まってきて、サルの交通事故の小咄を1席演じたら大受け。その結果「あなたにはビザを発行しない」と言われ驚いて聞き返すと「ジョークよ」。なんだ、向こうの方が面白かった。かい枝の英語落語は中学の教科書にも載せてるほどだから本格的だ。
演目に入って、この噺は代書屋と無筆の男二人だけの会話で成り立っていて、その珍妙なセリフと「間」だけで聴かせる噺だ。現役では当代の春団治がベスト。かい枝の高座はこの「間」の取り方が巧みで面白く聴かせていた。男の名前は伊藤博文として、賞罰はと訊かれると「天皇賞を取りました」と答える。履歴書が完成したところで、男は代書屋に差し出し、ここに勤めたいと申し出てサゲ。48歳で字が書けないとなると就職は難しいのだろう。

兼好『干物箱』、マクラで大阪出身で群馬の大学を出たというかい枝の経歴をイジッてネタに入る。
兼好が描く若旦那とその声色が得意という貸本屋の善公の人物像が同質なのだ。二人を演じ分けられてない。あと、大旦那が若旦那に扮した善公に「定吉の具合はどうか?」と訊く場面があったが、二階に謹慎していた若旦那に大旦那が奉公人について訊ねるのは不自然だろう。
全体として、あまり感心しなかった。

兼好『初音の鼓』、歌舞伎の「義経千本櫻」の内「狐忠信」のパロディで、鼓(偽物)を打つと傍にいる人間が狐に化けて「コン」と返事するというもの。軽い噺だが近ごろは演じ手が少なく、得意にしている兼好の軽さ明るさが活きた高座になっていた。殿様と三太夫、道具屋が皆仲良しでお互いウソと知りながら遊んでいる風情があって良く出来た噺だ。

かい枝『胴乱の幸助』、このネタは前半と後半がはっきり分かれていて、双方は全く関係が無い。前半で二人の男がただ酒にありつきたくて幸助の前で偽の喧嘩をする場面で、二人と幸助それぞれの性格付けがしっかり出来ている。特に幸助の一本気な性格が明瞭に示されている所が後半につながる。
後半は浄瑠璃の『桂川連理柵(かつらがわ れんりのしがらみ』、商家の娘・お半と近所の商家主人・帯屋長右衛門が不倫の果てに心中する悲劇を主題としたもので、俗に『お半長右衛門』略して『お半長』と呼ばれているが、これのパロディだ。幸助が浄瑠璃の稽古屋でたまたま『帯屋』の段、長右衛門の継母・おとせが、長右衛門の妻・お絹をいびる場面の稽古を聴いて早とちりをして、京都の帯屋に出向き仲裁を申し出る。かい枝の高座は、稽古屋の師匠と幸助、あるいは帯屋の番頭と幸助との珍妙なヤリトリ、登場人物の演じ分け、会話の「間」が巧みで、ここ数年聴いたこのネタでは出色の高座だった。
この人は上手い。
それにしても『お半長』といえば子供でも知っていたと言うから、いかに当時の上方の文化水準が高かったかだ。
そういう浄瑠璃の良さも理解出来ず、補助金を打ち切るなんていう人間が市長をしている現代とはエライ違いだ。

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