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2015/02/18

三遊亭遊雀独演会(2015/2/17)

第15回「遊雀式」
日時:2015年2月17日(火)19時
会場:日暮里サニーホールコンサートサロン
<  番組  >
前座・三遊亭遊かり『手紙無筆』
三遊亭遊里『家見舞』
三遊亭遊雀『うどん屋』
~仲入り~
三遊亭遊雀『崇徳院』

小雪まじりの雨が降る寒い日となった17日、久々に遊雀の独演会へ。この会は前売りや事前申し込みなしの当日売りのみというシステムだ。常連さんが殆んどなのだろう。
芸協ではあるが柳家の本寸法、元の大師匠の5代目小さんの芸を受け継いでいる。

遊かり『手紙無筆』、遊雀の弟子の女流。見たことがある着物だと思ったら師匠から譲り受けたものだった。

遊里『家見舞』、5代目小さんの十八番。小さんの演出とはいくつか異なる。
①小さんでは兄いの新居祝いだが、こちらは結婚祝い。
②小さんでは最初から水瓶を買いに行くが、こちらは道具屋で交渉中に水瓶に決まる。
③小さんでは初めに瀬戸物屋へ行き断られてから二人が道具屋で肥甕を見つけるが、こちらは道具屋が肥甕を薦める。
④小さんでは肥甕に水が張られているが、こちらは甕はむき出し。
後から遊雀は遊里のキャリアからして良い出来だったと言っていたが、アタシは感心しなかった。
先ず高座の上で大きく体を動かし過ぎる。意味のない動きが目立った。
もう一つは、二人が兄いの家に肥甕を持ち込んだ際に、一人が挨拶をしている間にもう一人が水を張るのだが、そこを抜かしていた。ここは後半につながる大事な個所なのでカットは出来ない。

遊雀『うどん屋』、マクラで炊飯器は壊れて量販店に買いに行ったら、出てきた男の店員がナヨナヨして女っぽく、「オカマが炊飯器を売っていた」。ご飯の話題からうどんのネタへ。
基本は小さんの型だが、火をあたりに来た酔客がうどん屋に3月14日のJRダイヤ改正の話をはじめるという演出。北陸新幹線が新潟を通るにも拘らず県内に停車駅が無いのでもめてるとか、常磐線が延長になり品川まで来るとか、宇都宮線と高崎線が東海道線と繋がるとか、この酔客は鉄道マニアか。大宮の人は小田原行きの電車に乗れて良いかもしれないが、気の毒なのは横浜の人。今までは東京行きだったのがこれからは籠原行きなんて電車が来て、どこへ連れて行かれるんだろうと思うだろう。余計な心配までして、この酔客はようやく知り合いに娘の婚礼の話題に入る。この客は自分に子どもが無く知人の娘を小さな頃から可愛がっていたので、まるで自分の娘を嫁にやるような気分だったんだろう。思い出してサメザメと泣き出し、自らに言い聞かせるように「おい、めでてえな」と語りかける。処が、うどん屋の返事は素っ気ないので客は怒り出す。この辺りの会話の「間」の取り方が上手い。
小さんの型に比べて客の婚礼話の繰り返しが無く、うどん屋がお冷と言うと客が水だと言い張る場面はカットされていたが、寒い中を悴んだ手を握り締め天秤棒を担いで売り歩くうどん屋の姿や、店の奉公人が一杯のうどんを美味そうに食べながら体を温めて行くシーンを丁寧に描いて良い出来だった。

遊雀『崇徳院』、3代目三木助の十八番で、現役の噺家も基本はこの型を踏襲している。
遊雀の特長の一つは目の使い方だ。これが上手い。このネタでも寝たきりの若旦那が熊さんに恋患いを告白する場面、熊さんが大旦那から無理やり娘探しを押し付けられる場面、熊さんが女房から探索を急かされる場面、熊さんが床屋で短冊を読み上げる場面、そして探していた娘の店の出入り職人を見つける場面、いずれも遊雀は「目にモノを言わせて」いた。
途中で手拭いを忘れていて楽屋に取りに戻るアクシデントもあったが、そうした中断の穴も感じさせない上出来の高座だった。

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コメント

遊雀は浅草で聴いたことがあります。
見た目は精悍な感じ、噺は正統派でした。
芸術協会はこの人といい、談幸といい、懐が深いですね。

福様
遊雀は三太楼の頃から注目していて、落語から離れた一時期があって心配しましたが芸協で復帰できて本当に良かったと思っています。復帰した時に喬太郎が涙を流していたのが印象的でした。

>復帰した時に喬太郎が涙を流していたのが
そうでしたか。さて、どこででしょうか?
どこかの高座ですか?
同じ柳家同士の友情。

福様
2007年の国立花形演芸大賞の授賞式で。大賞は喬太郎が選ばれたんですが、復帰した遊雀が金賞を受賞しそれを喜んだ喬太郎が涙を流したのです。ずっと気にしていたんですね。

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