「大垣署」警察はまだこんな事をしてるのか
警察は事件や事故から私たち市民を守る有りがたい存在と思われがちだが、もう一つの顔がある。それは「公安警察」で、「公共の安全と秩序」つまり治安を維持することを目的とする警察である。戦前の特高警察の流れをくんでおり、連合軍が解散命令を出したことにより組織替えしたものだ。
警察庁警備局を頂点に、警視庁公安部・各道府県警察本部警備部・所轄警察署警備課で組織される。形式的には自治体警察の一部であるが、予算は警察庁警備局が握っており国庫から支出される。
構成員だが、東京都を管轄する警視庁を例にとると約2000人の人員である。
ではその公安警察とはどんな活動をしているのか。通常は私たちの眼には触れないが、ここでは岐阜県大垣署警備課が、風力発電所の計画をめぐって、中部電力の子会社であるシーテック社(以下シー社と略す)に特定の市民の個人情報を提供していたという件をとりあげたい。
これは大垣署警備課長とシー社との打ち合わせ議事録によって明らかになった。
建設予定地である自治会の動きと、大垣署とシー社との協議の流れは以下のようである。
2013年7月28日 住民らが風力発電の勉強会を開く
8月7日 大垣署とシー社との第1回情報交換
2014年2月2日 自治会の総集会でシー社の調査に反対を決定
2月4日 大垣署とシー社との第2回情報交換
5月22日 県知事、中部電力、シー社に対し自治会が反対の意向を表示
5月26日 大垣署とシー社との第3回情報交換
6月26日 中部電力の株主総会で風力発電に関する発言
6月30日 大垣署とシー社との第4回情報交換
上記のように住民らの何らかの動きがあると、大垣署とシー社は直ちに情報交換していることが分かる。
では大垣署はシー社に対してどのような情報を提供していたのだろうか。
地元の養鶏家で自治会長であるAさんと住職のBさんについては、風力発電の勉強会を開いたということで大垣署から「風力発電にかかわらず、自然に手を入れる行為自体に反対する人物」とされた。勉強会の内容が警察により監視されていたのだ。
他には大垣市内の法律事務所「ぎふコラボ」が槍玉に上がっていた。同所がかつてゴルフ場建設差し止め運動を起こしたことがあり、AさんやBさんも反対運動に加わっていたため、両者が密接につながっていると見られたようだ。「ぎふコラボ」の事務局長Cさんについては、「病気のため入院中で、直ぐに次の行動に移りにくいと考えられる」と、大垣署はシー社に個人の病歴まで伝えている。
さらに中部電力の株主総会で「シーテック社の風力発電が気になりますが」と発言したDさんについて大垣署は、「風力発電事業の反対運動に本腰を入れそうである」とシー社に報告している。Dさんが東京大学を中退しているという学歴情報までシー社に伝えていた。
今回の大垣署の行為は、風力発電に反対しそうな人物を特定・監視し、その個人情報を一私企業であるシー社に伝えていたわけで、明らかに違法行為である。
今回は風力発電をめぐる公安警察の動きの一端が明らかになったが、過去には特に原発の建設に反対した人たちを狙い撃ちして監視したり行動を妨害した前科もあり、「公共の安全と秩序」の名のもとにこうした違法行為が繰り返されてきた。
改めて監視社会の恐ろしさを感じる。
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