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2015/03/20

桂米朝の死去を悼む

上方落語界の重鎮・桂米朝が3月19日に肺炎のため死去した。89歳だった
私は残念ながら米朝のナマの高座を観たのは一度だけで、およそ20年前の国立演芸場の高座だった。当日売りだったが最前列の中央の席(今では想像もつかないが)が取れたので、目の前で見たわけだ。
年齢が70歳近かったと思われもちろん既に大御所だったのだが、高座の中身より「色気と愛嬌」を強く印象づけられた。東京の落語家にはいないタイプだとそのとき思った。

桂米朝には3つの功績がある。
一つ目は、戦後の上方落語界を再建させた功績だ。絶滅寸前だった上方落語を復興させた立役者で、もし米朝という存在がなければ今日に隆盛は得られなかっただろう。
二つ目は、当然のことながら落語家としての功績だ。話芸という点では間違いなく第一人者であり、とりわけ上方落語を全国区にした功績は大きい。品のあるソフトな語り口は江戸落語になじんだ人にも十分に受け容れられた。
三つ目は、落語研究者としての功績だ。元々が研究者から出発したせいもあるのか、廃れかけた、あるいは廃れてしまった古い噺を発掘し、今の観客に分かるように編集して高座にかけた。今では古典の代表作といわれるネタも米朝が作り上げたものが少なくない。
こうした研究成果は米朝落語全集や「上方落語ノート」などの著作として出版されている。
これらの業績面からも、東京の落語家には類例がないと言ってよい。

落語界の巨星の死去に、心より哀悼の意を表します。

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コメント

私はとうとう高座姿を見ないままでした。
思い切って「上方落語大全集」を買ってあるので、これからせいぜい偲ばせてもらいます。
この全集は、丁寧な解説つきの録音記録がついているのがありがたいです。

佐平次様
全集とはスゴイですね。私はバラでしか持ってないですが、珍品集のDVDなんか大いに楽しんでいます。

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