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2015/03/15

映画『ジョン・ラーベ 〜南京のシンドラー〜』

日時:2015年3月14日(土)17時30分
会場:カメリアホール
『ジョン・ラーベ 〜南京のシンドラー〜』(原題:John Rabe)は、2009年公開のドイツ・フランス・中華人民共和国合作による映画。
監督:フローリアン・ガレンベルガー
脚本:フローリアン・ガレンベルガー
<  キャスト  >
ウルリッヒ・トゥクル:ジョン・ラーベ
ダニエル・ブリュール:ゲオルク・ローゼン博士
スティーヴ・ブシェミ:ロバート・ウィルソン博士
アンヌ・コンシニ:ヴァレリー・デュプレ
ダグマー・マンツェル:ドーラ・ラーベ
マティアス・ヘルマン:ヴェルナー・フリース
チャン・チンチュー(張静初):琅書
香川照之:朝香宮鳩彦王
杉本哲太:中島今朝吾中将
柄本明:松井石根大将
ARATA:小瀬少佐

映画をみるのも久々だが会場のある亀戸駅に降りるのも久々だ。もう何十年ぶりだろう。現役当時の一時期、本部ビルが豊洲にあったので錦糸町から亀戸あたりまでよく飲み歩いたもんだ。この辺りはいかにも下町の場末という雰囲気で値段も安かった。日本酒を頼んだらジョッキで出て来たのも確か亀戸の飲み屋だったなぁ。

さて、この日に上映される映画を見に来る気になったのは、ジョン・ラーベというドイツ人を主人公にドイツ映画人が南京事件をどの様に描いたのか興味があったからだ。
ジョン・ラーベ(1882年11月23日 - 1950年1月5日)は、ドイツ人商社員でシーメンス社の中国支社総責任者として約30年にわたり中国に滞在。日中戦争の南京攻略戦時には民間人の保護活動に尽力した。国家社会主義ドイツ労働者党(ナチ党)南京支部副支部長。南京安全区国際委員会委員長。ナチス党員でありながら南京の多くの民間人を救った人物だ。
この映画はジョン・ラーベの日記をもとにしたものだが、原作からは大幅に脚色されているそうだ。
ドイツ映画賞で主演男優賞・作品賞・美術賞・衣装賞を受賞、バイエルン映画賞では最優秀男優賞・最優秀作品賞を受賞している。
おそらく南京事件を扱ったことが原因と思われるが日本では未公開だったが、昨年に初めて公開され、今年が2回目の公開となった。

ストーリーは。
日中戦争が始まって間もない1937年12月。日本軍は上海攻略に続き中華民国の首都・南京へ侵攻し陥落させた。首都機能と中国軍の主力はすでに重慶へ移転しており、数十万の市民と中国兵士、そして十数人の欧米人が南京に残留した。残った欧米人たちは、迫りくる日本軍から市民を保護する為、南京安全区国際委員会を設立、その委員長に選ばれたのがシーメンス南京支社長のジョン・ラーベだった。彼が選ばれたのは日本の同盟国であるドイツ人なので、日本軍への交渉力を期待されたものだ。
南京安全地区は各国大使館や外国企業、病院、学校などの施設があり、当初はそうした施設の人々や従業員の中国人を保護することが目的だったが、ジョン・ラーベらの尽力により兵士以外の民間人も多数(映画では20万人とされる)保護することになった。これは南京陥落後に日本軍による捕虜の処刑や民間人への殺害が起きたため、一人でも多くの中国人を助けたかったからだ。
しかし中国人の兵士の中には武器を捨て保護区に逃げてくる人もいて、捜査を目的として日本兵が区内に立ち入り捕虜として連行し、殺害するような事も頻発する。
ジョン・ラーベらはそれらの行為が国際法に反するという事で日本軍に申し入れるが、受け容れられない。保護区への食糧や医薬品への搬入も妨害され、区内の人たちは困窮していく。
やがて日本軍は保護区の閉鎖を決め、それに抗議する中国人たちが区の正門に並んで立ちはだかる。司令官は一斉射撃を命じるが・・・。

ドラマとして良く出来ている。単に善玉対悪玉という図式にとどめす、保護区の中のドイツ人と英国人との対立や和解、同じナチスの中でも中国人の対して同情的な立場の人間と差別主義者との対比、ユダヤ人の血を引くために冷遇されるドイツ外交官の姿や、日本軍の内部における軍紀を守らせようとする松井大将と捕虜の殺害を指示する朝香宮中将との対立やその間で苦悩する部下の将校などが描かれている。
主演のウルリッヒ・トゥクルは適役で、主人公の包容力を感じさせる演技だった。アンヌ・コンシニが常に毅然とした正義感溢れる女性を熱演、張静初の凛とした姿が印象に残った。
香川照之以下の日本人出演者も揃って好演だった。

南京における捕虜や民間人への殺害について、その規模に関しては諸説あるが事実としては否定できまい。南京ではないが、私は中国人捕虜を度胸試しとして殺害を命じられた人から直接話を聞いたことがあり、一生忘れられないと語っていた。その人が所属していた部隊では新兵全員がやらされたそうで、恐らく他の部隊でも同様だったと思われるとのことだった。
こうした残虐行為は日本軍に限ったことではないが、だからといって免罪されるべきではない。
日本にとって不利な事は全て無かった事にしようという様な風潮があるなか、こうした映画が公開される意義は大きい。

この映画に関して一部の評者から、良きドイツ国民の姿を積極的に描こうとする明らかなナショナルな傾向にある作品であるとの評価があることを付言しておく。

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