「正しい教室」(2015/4/9)
『正しい教室』
日時:2015年4月9日(木)14時
会場:PARCO劇場
作・演出:蓬莱竜太
< キャスト(小学生時代) >
井上芳雄/菊池真澄(委員長)
鈴木砂羽/小西有紀(マドンナ)
前田亜季/妹・蘭
高橋努/不知火光(番長)
岩瀬亮/坂田健太(がり勉)
有川マコト/水本康明(アパッチ)
小島聖/漆原恵子(恋する女子)
近藤正臣/寺井新一郎(担任の教師)
舞台はとある地方都市。今は教師となっている菊池真澄の呼びかけで小学校の同窓会を開く。事故で自分の子どもを亡くしてしまった小西有紀を励ますためだ。同窓生のうち6人が出席、小西は妹も連れてくる。
ところがその会に呼んでもいない担任の教師・寺井新一郎が現れる。生徒たち皆から嫌われていた教師の登場に凍りつく同窓生たち。追い返そうとすると何故か教師は招待状を持っていた。実は小西有紀が差し出したものだ。驚く同窓生たちに小西はこの場で教師に損害賠償を求めると言い出す。小6の時に教師から無理やりプールに突き落とされトラウマで水に入るのが怖くなってしまった。その事で自分の子供が池に落ちたのに助けられなかった。元の原因は教師にあるのだから損害賠償をしてくれと小西は要求する。戸惑う他の同窓生たち。
この事がきっかけとなって、小学生当時の生徒間、あるいは教師と生徒との間の様々な思い出が語られるが、各自の思いと実態との間に大きな隔たりのある事が次第に明らかになる。
彼らの葛藤を通して、正しい学校とは、良い教師とは、楽しいクラス仲間とは、真実とは・・・が問いかけられてゆく。
かつての生徒たちと教師が思い出を語り合うなかで当時の事実が明らかにされ、それぞれの思いと事実は全く異なることや、それが現在の各自の立場に微妙に影響を及ぼしているというストーリー。
エピソードが巧みに配置され、笑いあり、どんでん返しありで、上演時間2時間はあっという間に過ぎてゆく。楽しい芝居だ。
ただ、以前にどこかで見た様なという既視感が拭えない。例えば畑澤聖悟作『親の顔が見たい』と状況設定は異なるが、手法は通じるものがある気がする。タイトルは思い出せないが、ミステリーにもこういった手法の作品があったように思う。
私としてはその既視感が拭えなかった。
それと小学生当時いじめられっ子だった水本康明が、最後までいじめられたままで終わったは救いが無い。その点が後味が悪かったように思う。
出演者は主役の井上芳雄や鈴木砂羽を始めとして揃って好演。特にワルイ先生役の近藤正臣と、虐められキャラを演じた有川マコトの演技が印象に残った。
公演は4月19日まで。
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