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2015/04/25

#5まいどおおきに露の新治です(2015/4/24)

第5回「まいどおおきに露の新治です」
日時:2015年4月24日(金)19時
会場:内幸町ホール

前座・露の新幸『東の旅 発端〜奈良名所』
<  番組  >
柳家さん喬『天狗裁き』
露の新治『宿屋仇』
~仲入り~
露の新治『狼講釈』
笑福亭べ瓶『いらち俥(反対俥)』
露の新治『中村仲蔵』

【4月25日追記】
前座の新幸『東の旅 発端〜奈良名所』は初見。おそらく新治の弟子なんだろうが40歳位に見える。上方落語の見習いはみなこのネタで修練するのだそうだ。「語り」のリズムを身に着けるのだとか。

いきなりゲストのさん喬が上がり得意の『天狗裁き』を。詳しい経緯は知らないが、新治が東京の寄席や落語会に出演してこれだけの評判を得るには(今回も前売り完売だった)、さん喬の力が大きかったものと推察される。そういう意味では、さん喬は功労者だ。亡くなった笑福亭松喬とも長く二人会をやってきた。芸協の方は以前から上方落語会との結びつきが強いが、落語協会ではさん喬が窓口の役割を果たしているかに見える。

新治『宿屋仇』、このネタのキモはテンポだ。トントントンと進めて運びの良さと、場面転換の鮮やかさが生命だ。唐紙1枚隔てて片や侍一人、もう片方が威勢の良い兵庫っ子の三人連れ。この双方の部屋を「イハチー」が右往左往する所から、源兵衛の真に迫った告白から一転して仇討話に転換してゆく所を新治は小気味よく演じた。東京の3代目桂三木助の高座(東京では『宿屋の仇討ち』)に匹敵する高座だった。

新治『狼講釈』、このネタは3回目になると思うが、何度聴いても面白い。まず新治自身が楽しそうに演じている。確かに「今年の阪神もうアカン」だ。

べ瓶『いらち俥』、過去に色々不祥事を起こし師匠から3度破門された経歴の持ち主のようだが、逆に言えば3回も復帰を許されているんだから、どこか見込みがあったのだろう。「新治師匠の着替えの間の時間つなぎ」などと殊勝な事を言ってたが、受ける気マンマン。病み上がりで足を踏み出す度に「カーッ!」と痰を切りながらノロノロ歩く人力俥夫と、対照的に「いらち」な韋駄天俥夫との対比を面白く描き客席を沸かせていた。

新治『中村仲蔵』、師匠の露の五郎兵衛が彦六の正蔵から教わって上方に移した噺で、これを東京の高座に掛けるに当たってはそれだけ思い入れがあった事だろう。ストーリーは東京のオリジナルと同様だが、上方版は仲蔵の夫婦愛に焦点が置かれている。せっかく名題に昇進しながら「仮名手本忠臣蔵」五段目の斧定九郎一役を割り振られ腐る仲蔵に、女房がきっと座頭が仲蔵に自分で役作りをしろという暗示だと亭主を説き伏せる。妙見様に日参しての帰り、雨に降られて立ち寄った蕎麦屋で偶然見かけた浪人の姿に衝撃を受け、これをモデルに定九郎の役作りをする。新治の浪人の描写が細かい。途中で、浪人が名前を訊き「仲蔵と申します」と答えると、「あの酒場で殴られたヤツか」「それは海老蔵でございます」といったクスグリを挟んで客席に一息入れさせた。
仲蔵の舞台の場面は芝居の所作を丁寧に演じて、仲蔵の意気込みが客席にも伝わった。最後は再び夫婦愛の場面で締めた。
新治の動きの美しさ、粋さが十分に活かされた上出来の高座だった。

満足度の高い落語会、結構でした。

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コメント

「いらち俥」でしたか。

佐平次様
上方のオリジナルは『いらち俥』のタイトルです。べ瓶は仏の顔も三度で、今後は心を入れ替えるんでしょう。

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