どうにも止まらない安倍政権の横暴
ここの所、政権や自民党が腕づくで反対意見を抑え込もうとする動きが目立つ。
4月17日に自民党がNHKとテレビ朝日の幹部から聴取を行ったが、個別の番組について自民党がTV局の幹部を聴取するというのは異例だ。問題となった番組についてはテレ朝は早河社長が会見で謝罪しているし、NHKでは現在調査を行っているなかで、敢えて聴取を行ったことには特別の意図があるとしか思えない。
自民党情報通信戦略調査会の川崎二郎会長は両者からの聴取後、「(政府には)テレビ局に対する停波(放送停止)の権限まである」と語っている。これこそズバリ脅しである。
さらに自民党はNHKと日本民間放送連盟でつくる「放送倫理・番組向上機構」(BPO)について、政府が関与する仕組みの創設を含めて組織のあり方を検討する方針を固めた。
日本は欧米と異なり、放送事業そのものが総務相の免許制となっており、いわば放送の元栓は政府が握っている。だからこそ番組のチェックは放送局の自主規制によるBPOという形を採っている。
こうした動きは放送に対する圧力ではないと言っているが、免許制をちらつかせた放送への牽制であり介入であることは明らかだろう。
これとは別に、3月24日の衆院総務委員会で自民党の鬼木誠議員はNHKの放送内容について、否応なく国民から徴収さえた受信料をもとに、日本をおとしめる反日自虐番組が多々つくられていると批判し、「籾井会長にはNHK改革をがんばっていただきたいと期待している」と述べた。
また公私混同として問題となった籾井会長のハイヤー代問題については、「内部からの情報リークなのではないか。内部から足を引っ張られているように見受けられる」として、籾井の会長としての資質よりも「NHKのガバナンスやコンプライアンスの問題」だと指摘した。
こうした発言からも今の自民党のメディアに対する姿勢が窺われる。
4月1日の参院予算委員会で社民党の福島瑞穂議員が、政府の提出する安全保障関連法案を「戦争法案」と述べた事に対して自民党が修正を求めている。安倍晋三首相は同じ予算委で「レッテルを貼って議論を矮小化するのは断じて甘受できない」と反論し、自民党の岸宏一予算委員長も「不適切と認められるような言辞があった」と応じた。その後、自民党の理事が福島に発言の修正を求めた。
福島はこれを「議員の質問権を抑え込むもので、表現の自由に係わる」として拒否した。
福島の発言が一方的だのレッテル貼りだのとするなら、先の鬼木によるNHKの放送内容が反日自虐番組であるとか、会長のハイヤー代不正問題を社内リークにすり替えた発言も同様ではないか。
政府の提出した安全保障関連法案に対して野党議員から「戦争法案」だという発言は過去にもあったが、与党が修正を求めるような事はなかった。
例えば1999年の周辺事態法案の審議で共産党議員が「戦争法案」だと指摘したのに対し、当時の小渕恵三首相は「御党からいえば、戦争法案ということであると思うが」と答弁している。
つまりかつての自民党は相手側の意見の相違はそれとして受け容れてきていたのだ。
しかし現在の安倍政権では、自分たちの主張に沿わないものは拒否し、これを排除するという姿勢が顕著である。
我が国のの自由と民主主義が危うい。
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それにしても頭の程度が低すぎますね。
それが怖い。
投稿: 佐平次 | 2015/04/22 21:54
佐平次様
当時の男の子の多くは多少なりとも浪曲に興味を持っていたと思います。私の場合はアウトローへの憧れみたいなものもあった気がします。
以前の自民党の総理には少なくとも知性がありましたが、安倍にはそのカケラも感じません。こういう人間が怖いんですが。
投稿: ほめ・く | 2015/04/23 07:07