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2015/05/12

「遊雀・白酒ふたり会」(2015/5/11)

ぎやまん寄席「遊雀・白酒ふたり会」
日時:2015年5月11日(月)18時45分
会場:湯島天神 参集殿
<  番組  > 
前座・林家なな子『寄合酒』
三遊亭遊雀『いもりの間違い(薬違い)』
桃月庵白酒『付き馬』
~仲入り~
桃月庵白酒『粗忽長屋』
三遊亭遊雀『宿屋の仇討ち』

湯島天神へはJR御徒町駅から歩いて行くのだが、多くの風俗店が店を並べている。往きは出勤中の女性従業員の姿が見ることがあり、この日も「熟女00」という看板を出した店に正真正銘の熟女が入って行った。正に看板に偽りなしだ。会がハネた帰りになると歩道一杯に客引きの短いスカートの女性たちが並ぶ。それだけ需要はあるんだろう。外国語が飛び交うなかを縫って駅に向かう事になる。
会場は8分程度の入り。

遊雀『いもりの間違い(薬違い)』。いわゆる「惚れ薬」をテーマにしたもので、『いもりの間違い』あるいは『薬違い』のタイトルで演じられている。上方では『いもりの黒焼き』という題で米朝が演じている。大筋は同じだ。
家主の娘に片思いの男に知り合いが、いもりの黒焼きの粉を惚れた相手の身につけるものに振りまけば、たちまち恋がかなうとアドバイスする。知り合いから無理を云っていもりの黒焼きを分けて貰い、家主の娘に振りかけると、娘から話をしたいと呼ばれる。男が浮き浮きして出かけると、話は滞納していた家賃の催促。おかしいと思ったら、「やもり」ではなく「いもり(家守り=家主)」の間違いだった。
昔から「媚薬」として様々な言い伝えがあるようだが、効果は疑わしい。
遊雀は前半で男が家賃を滞納しているという設定にして、サゲにつなげていた。男が娘にやもりを振りかけようとすると、間に海苔やの婆さんが割り込んで来るというクスグリを入れて、快適なテンポで演じていた。

白酒『付き馬』、白酒のこのネタを聴くのはこの日で何度目になるだろう。もやは十八番といって良い。主人公の男は一銭も持たず店に上がって飲めや歌えのドンチャン騒ぎの挙げ句、付き馬を騙して逃げて行くという、落語には珍しい小悪党だ。
海千山千の女郎屋の若い衆を騙す男のテクニックが演者の腕の見せどころ。あれじゃ付き馬が騙されるのもしょうがないという説得力が必要だ。また男が付き馬を連れ回す場面では、浅草の仲見世ガイドにもなっている。
近年では志ん朝の高座がベストで、現役では白酒を買う。男は実に悪い奴なのだが、白酒が演じると憎めない人物に見える。

白酒『粗忽長屋』、このネタは5代目小さんがあまりに素晴らしく、これに迫るのは難しい。後輩の演者はそれぞれが一工夫して演じるのも、まともに勝負したのでは小さんに敵わないからだろう。
通常は八が行き倒れの遺体を熊だと思い込み、八から現場に連れて来られた熊も遺体が自分だと思い込むというストーリー。白酒の高座は熊を連れて行き倒れの現場に戻った八が、遺体は自分だと主張し出すという改作。粗忽もここまで来ればメガトン級。
行き倒れの立会人と八との軽妙なやりとりを中心にスピーディな展開で楽しませてくれた。

遊雀『宿屋の仇討ち』、このネタは3代目三木助の高座が定番で、その後の演者は全て三木助の型を踏襲している。三木助に次ぐのは先代の柳朝の高座で、3人の江戸っ子の生きの良さが際立つ。
3人だが三木助では金沢八景の帰り、柳朝では伊勢参りの帰り(上方版と同じ)、遊雀は上方見物の帰りという設定。宿はいずれも神奈川宿。
さてこの日の遊雀の高座で気になったのが2点あり、一つは江戸っ子3人を部屋に案内した時に隣室が侍の部屋だったのを言い忘れていたこと。侍が伊八を呼びつけてから双方が隣同士であることが分かるのだが、これは事前に説明すべきだ。
もう一つは、侍が当初は万事世話九郎と名乗っていたが、実は「三浦忠太夫」だと名乗るのを言い忘れていた。これも後から伊八が3人に告げるのだが、これでは話が前後してしまう。
上記の点が気になって、いま一つ高座に入り込めなかった。
もしかすると、前の白酒の威勢の良い高座にリズムが狂わされたか。

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コメント

「粗忽長屋」最近、この噺に注目しています。
白酒の八が・・・というのもすごい解釈です。
喬太郎のは行き倒れの世話役が、「違うと思うぜ、それ」とか「また、変な人が増えたよ」とか淡々というのが可笑しい。
また、この噺には空間的な魅力もあって、浅草の観音様というのが噺の背景を支えていると感じます。

投稿: 福 | 2015/05/13 07:00

福様
白酒の八は、最初は遺体が熊だと思い込み、良く見たら自分だったっていうのですから、粗忽の二乗です。喬太郎は立ち合いの役人が半分は面白がっているという演出にしていて、演者それぞれの工夫を感じます。

投稿: ほめ・く | 2015/05/13 09:55

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