大日本橋亭落語祭・初日(2015/5/3)
「大日本橋亭落語祭」
日時:2015年5月3日(日)18時開演
会場:お江戸日本橋亭
< 番組 >
旭堂南湖『大岡政談・上(さじ加減)』
三遊亭遊馬『花筏』
柳家三三『十徳』
笑福亭たま『カケ酒』
~仲入り~
春風亭一之輔『星野屋』
三遊亭兼好『巌流島』
【大喜利】大日本橋亭横断ウルトラクイズ
この会もGW中の恒例としてここ数年は毎回参加している。今年は3,4日の2回開催で3日が初日。
笑福亭たまが主催のようで、この日も開場案内から大喜利の司会まで務めていた。チケットもたま事務所へ申し込みになっている。所属がバラバラだしGW中にこれだけの人気者を一堂に集めて開催するのは容易ではなかろうが、たまさんのプロデュース力に拠るものだろう。
メンバー6人がそれぞれ1席ずつ演じるが、名前の通り「祭」なので肩肘はらずに気楽に楽しむ会となっている。
全てネタ出しで、出番はジャンケンで決める。
以下、感想を一言ずつ。
南湖『大岡政談・上(さじ加減)』、上方講談協会に所属しているという珍しい講釈師。講談に登場する人物というのは何故か標準語をしゃべる。あまり関西弁の秀吉や東北弁の正宗なんてぇのは聞いたことがない。ところが上方の人だから、どうしても言葉に関西なまりがありイントネーションも関西風だ。その辺りに聴いていて多少の違和感がある。時間の関係からこの日は『さじ加減・序』で終わってしまった。
遊馬『花筏』、本人も言ってたが、見る度に痩せていくように思える。健康上は問題ないのだろうかと心配になる。得意の相撲噺だったが、以前に比べ迫力が落ちたように思えた。
三三『十徳』、前座噺だが、十徳なんて着物見たことないし、「これはしたり」なんて言葉も使わない昨今、客に分からせるのは難しかろう。だから意味は分からずとも言葉遊び洒落遊びとして楽しんで貰うしかない。三三は知りたがりの男と隠居、男と髪結い床にいた連中との軽妙な掛け合いを楽しませていた。
本当の語源は、十徳は脇を縫い付けた着物である所から「直綴(じきとつ)」からの転訛だそうだ。
たま『カケ酒』、マクラで上方落語の『十徳』を解説。上方ヴァージョンは東京とは逆に数字を上げてゆき、「ごとくごとくで十徳やろ」と先回りされて、「いや、たたんでとっとくのや」でサゲるんだそうだ。
新作のネタは落語ではお馴染みの飲み屋で酔客が店の人を相手に語るというものだが、この噺では相手がスナックかバーのママだ。客はダジャレを連発しながらママを口説く。女房と別れるからと結婚を迫るのだが、携帯に女房から電話がかかると人が違ったように女房に愛の言葉をかける。そして電話が終わるとまたママを口説き始める。たまはカウンターの向こうにいるママを舐めるように見つめる酔客の目が良い。
前にも書いたが、たまは将来、上方落語界を背負うような落語家になって行くだろう。
一之輔『星野屋』、噺に登場する女性に色気を持たせられるかというのは噺家の才能による所が大きいと思う。若手でも色気が出せる人もいれば、大看板やベテランになっても色気が出せない人もいる。一之輔が演じるお囲い者のお花には色気がある。だから短縮版ながら、このネタの魅力は十分に伝わった。やはりこの人はタダモンじゃない。惜しむらくは、お花の母親(もう一人の主役)の影が薄かったこと。
兼好『巌流島』、何かというと「屑い~」という売り声が出てしまう屑屋を登場させ、傍若無人な若侍と穏やかな年配の侍、船中の客たちとの対比を描いて面白く聴かせていた。
大喜利は、たまが司会(問題も彼が作ってきたようだ)、南湖が設問を読み上げ、東京の4人が回答者という仕組み。優勝者を当てた人から抽選で1名と、参加者全体から抽選で1名、記念品が贈られる(出演者のサインだったようだ)。客席を巻き込んだクイズ形式になっていて、和気藹々の雰囲気の中で終了。
また来年を楽しみに。
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コメント
笑福亭たま、なかなか良いですよね。
ショート落語、なんていう、ややシュールな小咄もやりますが、この人にはセンスの良さを感じます。
笑福亭ですが、私は枝雀的なものを感じています。
投稿: 小言幸兵衛 | 2015/05/04 20:09
小言幸兵衛様
笑福亭たまですが、ご指摘の通りセンスの良さが光ります。この会もリーダー格として全体をまとめ上げていますが、そうした組織力も持っているようです。注目の若手であることは間違いありません。
投稿: ほめ・く | 2015/05/04 20:48
たま、たまたま知りませんでした。
意識します。覚えているかな。
投稿: 佐平次 | 2015/05/05 11:19
佐平次様
会場が小さい事もあってあまり宣伝しないので、知らない方も多いようです。女性が多数なのもこの会の特長です。
投稿: ほめ・く | 2015/05/05 11:39