横浜にぎわい座「上方落語会」(2015/5/9)
横浜にぎわい座「第四十五回 上方落語会」
日時:2015年5月9日(土)14時
< 番組 >
森乃石松『色事根問』
林家染二『蔵丁稚』
桂枝光『紙屑屋』
~仲入り~
林家染雀『軽業』&「後ろ面」
笑福亭松枝『寝床』
(全てネタ出し)
横浜にぎわい座・芸能ホールでは毎月、落協と芸協の合同公演による寄席形式の「横浜にぎわい座有名会」が7回、同じく合同公演による4席たっぷり演じる「にぎわい座 名作落語の夕べ」、他に各種独演会や落語会などの大衆芸能番組が10回程ほど組まれている。後者の中で数か月に1回は上方落語協会による「上方落語会」が開かれていて、普段は東京の会では見られない上方落語家も出演するので都合がつけば行くようにしている。
落語は見ないと魅力が伝わらないが、特に上方落語はそれが顕著だ。今回は芝居や踊りなどに因んだ番組が組まれた。林家染二以外は初見。
石松『色事根問』、現在「森乃」の亭号を名乗る人は師匠・福郎を含め3人しかいない。客席から掛け声がかかったので人気があるようだ。是非がんばって貰いたい。このネタは音逆噺の「稽古屋」の前半が独立したもので、本日の趣旨と合うわけだ。
男が女にモテるには10個の要素があるという。一見え、二男(前)、三金、四芸、五精、六オボコ、七セリフ、八力、九肝、十評判で、この内の一つは当てはまらないと女にモテない。そう聞かされた男がひとつひとつチェックするとどれも当てはまらない(アタシと一緒)。
染二『蔵丁稚』、東京では『四段目』として演じられ内容は同じ。見所は蔵に入れられた丁稚が忠臣蔵「判官切腹の場」を再現させる場面。芝居噺が得意な染二らしい重厚な演出だった。
枝光『紙屑屋』、経歴を見ると北海道在住で、札幌では寄席ブームを復活させようと札幌市民寄席として、「平成開進亭」を主宰している。また本人談として「五代目文枝の十八番『紙屑屋』、そして『立ち切れ線香』を唯一継承している弟子です」と自負を語っている。
このネタは居候している若旦那が紙屑のより分けをさせられるが、音曲や踊りの本を見つけて読みふけり、隣家から聞こえる三味線に合わせて唄ったり踊ったりする場面が中心で、演者の芸の見せ所となっている。枝光は中腰のまま踊ったり歩いたりトンボを切ったりと大奮闘で客席を沸かせた。大した芸である。
染雀『軽業』&「後ろ面」、『東の旅』の中の一部である『軽業』を軽妙に語った後、着物の前後を反対し頭の後ろに面を付けて、「後ろ面」踊りを披露。お参りしたりお辞儀したりを背中で演じるという珍芸で楽しませてくれた。
松枝『寝床』で、最後は義太夫。独特のリズムの語り口での高座だったが、長屋の衆が色々と理由を作って義太夫の会を断る場面を短めにしたのと、義太夫を二度と語らないと意地を張る旦那を番頭が説得するシーンがカットされていて、やや物足りなさを感じた。それと、出来れば義太夫を一節聞かせて欲しかった。
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