大阪都構想について
いよいよ明日、大阪市を廃止しその領域に特別区を設置するという提案についての住民投票が行われる。大阪市民がどういう判断を下すかが注目される。
推進派はどうやら東京都の特別区をモデルに考えているようだが、いち区民の立場から言わせてもらえば、今の特別区制度は不満だらけなのだ。
元々が戦時中のドサクサに設けられた制度で、地方分権どころか中央集権のためにとられたものだ。
「区」は当初「都」の内部機関とされていて、その後に法律の改正はあったものの、未だに普通地方公共団体である「市」と同格ではなく「法律により市に準じた権限を付与された団体」としての立場という、極めて不安定な状況に置かれている。そのため地方自治の観点からすれば多くの制約を受けている。
こうした点から、23区が共同で組織する公益財団法人特別区協議会は「特別区制度そのものを廃止して普通地方公共団体である「市」(東京○○市)に移行する」という形での完全な地方自治権の獲得を模索している。
例えば第二次特別区制度調査会は次のような提案を行っている。
【「都の区」の制度廃止】
21 世紀において求められる基礎自治体の役割に応え、東京大都市地域に充実した住民自治を実現していくためには、戦時体制として作られ帝都体制の骨格を引きずってきた都区制度は、もはや時代遅れというほかはない。800 万人を擁する東京大都市地域においてこそ、住民の意思でそれぞれの地域の実情を反映した施策を行う住民に最も身近な政府の再構築が急務である。
特別区が名実共に住民に最も身近な政府として自らを確立していくためには、「大東京市の残像」を内包する「都の区」の制度から離脱することが必要である。そのためには、東京大都市地域における広域自治体と基礎自治体の役割をさらに明確に区分し、都が法的に留保している市の事務と現在都が課している市の税等のすべてを特別区(後述の「東京○○市」)が引き継ぎ、都区間で行っている財政調整の制度を廃止する必要がある。
「都の区」の制度廃止後の東京大都市地域の基礎自治体は、「東京○○市」として実現する。「東京○○市」は東京都から分離・独立した存在として、地域における行政を自主的かつ総合的に担うものとする。
つまり地方自治の実現のためには、「区」を廃止し「市」に移行すべしというのが、現在の区の考え方なのだ。英文名では既に"city"を使用している。
現在の大阪市の提案はこれとは逆行しており、少なくとも「市の廃止=地方自治の拡大」とはならない事を銘記する必要があるだろう。
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