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2015/08/12

鈴本演芸場8月中席夜・初日(2015/8/11)

<  番組  >
柳家甚語楼『のめる』
鏡味仙三郎社『太神楽曲芸』  
古今亭志ん輔『替り目』
柳家三三『道具屋』
春風亭一之輔『初天神』
江戸家小猫『動物ものまね』
柳家喬太郎『寿司屋水滸伝』
露の新治『紙入れ』
~仲入り~
林家あずみ『三味線漫談』  
柳家さん喬『夢金』            
林家正楽『紙切り』   
柳家権太楼『鰻の幇間』 

鈴本演芸場8月中席夜の部は吉例夏夜噺と題して「さん喬・権太楼特選集」を毎年行っている。ここ十数年、ほとんど欠かさず見に来ており、今年は初日に出向く。落語協会の2枚看板が交互にトリを取り、人気落語家をズラリと揃え、中トリに上方から露の新治を迎えた。
プログラムにある様に、色物を除く出演者は開口一番からトリまで古典演目を並べ、ちょうど中ほどの喬太郎で息抜きをするというラインナップになっていいる。

いつもの様に、以下に短い感想を。

甚語楼『のめる』、もしかして初見かな? 顔に見覚えがある気がするので違うかも。釈台を置いていたのは足の具合でも悪いのか。明るい芸風で語りのテンポが良い。顔も噺家向き。
志ん輔『替り目』、酒好きの人は酒の噺が好きだ。この人の酔っ払いの仕草が上手い。もしかして最初から酔ってるんじゃないかと思わせるほどだ。女房がいる前では威張り散らしておいて、姿が見えなくなると途端に泣きながら感謝の言葉を並べる落差が良い。
三三『道具屋』、与太郎の叔父さんは大家で、陰で道具屋をやっているという設定はチョイと無理がある気がするが、このネタに関しては師匠より三三の方が面白い。与太郎の造形が良いせいだろう。
落語家がしばしばクスグリであいだみつおの「人間だもの」を使うが、調べてみたらオリジナルは「つまづいたっていいじゃないか にんげんだもの」のようだ。下らねぇ。
閑話休題。
2代目、3代目はダメになるという例えで当代の正蔵がやり玉に上がるのだが、父親の初代三平ってそんなに上手かったかね。アタシは上手いと思った事が無いけど。上手けりゃ今ごろ「林家三平落語全集CD10巻組」なんてぇのが発売されてますよ。祖父の7代目正蔵という人も一風変わった芸風だったようで、歴代正蔵の中では異端児と言われた。そうして見ると、今の正蔵の方が噺家としては正常な気がする。好き嫌いは別だけど。
一之輔『初天神』、新人コンクールで対戦した落語家が、モノの違いを感じたと語っていた。四季にかかわらずこのネタを掛けているが、その度に金坊がパワーアップしていて、何度聴いても面白い。父親の名が八五郎っていうのは初めて聞いた。
私の見立てでは10年に一人の逸材で、この人を超える人は2020年代にならないと現れないですよ、きっと。
喬太郎『寿司屋水滸伝』、本日はここで一息、客席もね。
新治『紙入れ』、6月の三田落語会で聴いたばかりだが、マクラを含めて完成度が高いのでこの日も楽しめた。新治が演じる間男する奥方に、匂い立つような年増の色気がある。帯と着物を脱ぎすて緋縮緬1枚になって鏡台の前で寝化粧する姿には凄みさえ感じさせる。これじゃ新吉が逃げられないわけだ。勘の鈍い旦那との対象の妙。
あずみ『三味線漫談』、先ず発声が日本調になっていない。唄に情感がない。この日の様な高座に出すのは不適切。
さん喬『夢金』、気になった点がいくつか。浪人の「雪は豊年の貢ぎというが・・・」のセリフは、外から船宿に入ってきた時点で言うべきで、後で船に乗ってから言うのは変だ。船宿に入った浪人が着物に付いた雪を払い落とす仕種は欠かせない。同じく、船宿に入る際に娘が先に入っていたが、この当時はあり得ないのでは。他は良かっただけに残念な思いだ。定式化された所作というのは意味があり、順序取りに演じるべきだと思う。
釈迦に説法ではあるが。
権太楼『鰻の幇間』、3年前に三田落語会で聴いたが、その時は権太楼が何やら不機嫌で、出来も今ひとつだった。この日は出だしから気分良さそうで、高座の出来も良かった。
幇間の一八が道で出会った男からいきなり「よう、師匠」と声を掛けられる。どこかで見たことが有る様な無い様な。そこは芸人、「どうも、大将」と応じるしかない。この戸惑いながら相手に合わせる時の表情が良い。
入った店は汚いし、女中にはおよそサービス精神がない。権太楼の描く女中の無愛想ぶりは天下一品。これが後半の伏線にもなっていく。出された酒肴にはお世辞をいうが、さすがに鰻だけはいかにも不味そうに食べる。一八は正直だ。男は便所に行くふりをして逃げてしまい、勘定は一八に押しつけられる。
ここから一八の女中相手の小言が延々と続く。指摘している点は全てがその通りだが、そこには怒りや嫌みよりペーソスが強く感じられる。一方、女中の方といえばきっと眉ひとつ動かさずに平然としているんだろう。権太楼の高座は、その対比が眼に見えるようだ。ヨシオ君という小道具を使っての高座は、さすがと言うしかない。

開口一番からトリまで、密度の高いお盆興行だった。

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コメント

あずみ、同感、なんで出すのでしょうね。
気の利いた漫才を聴きたかったです。
夢金で宿の親父が熊に「品川まで送っていただければ駄賃を、、」と言ってたのも変でしたね。

投稿: 佐平次 | 2015/08/13 08:54

佐平次様
あずみは未だ素人芸のレベルなのに、何か密約でもあるんでしょうか。
さん喬の高座は集中力を欠いていましたね。

投稿: ほめ・く | 2015/08/13 09:17

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