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2015/08/10

日本人が世界に誇るべきは「反軍事の精神」

2015年8月4日付朝日新聞に「戦後70年 日本の誇るべき力」と題して、ジョン・ダワー氏(マサチューセッツ工科大名誉教授、著作に「吉田茂とその時代」「敗北を抱きしめて」などがある)のインタビューが掲載されている。
この中でジョン・ダワー氏が語っている内容については示唆される点が多々あり、いくつか抜粋し紹介する。

――戦後70年をふり返り、日本が成したこと、評価できることは?
「世界中が知っている日本の本当のソフトパワーは、現憲法下で反軍事的な政策を守り続けた事です。」
「1946年に日本国憲法の草案を作ったのは米国です。しかし、現在まで憲法が変えられなかったのは、日本人が反軍事の理念を尊重してきたからであり、決して米国の意向ではなかった。これは称賛に値するソフトパワーです。変えたいというのら変えられたのだから、米国に押しつけられたというのは間違っている。憲法は、日本をどんな国とも違う国にしました。」

――その理念は、なぜ、どこから生じたのか?
「政府の主導ではなく、国民の側から生まれ育ったものです。」
「平和と民主主義という言葉は、疲れ果て、困窮した多くの日本人にとって、とても大きな意味を持った。これは、戦争に勝った米国が持ち得なかった経験です。」
「もう一つの重要な時期は、60年代の市民運動の盛り上がりでしょう。・・・・・この時期、日本国民は民主主義を自らの手でつかみ取り、声を上げなければならないと考えました。」
「今に至るまで憲法は変えられていません。結果、朝鮮半島やベトナムに部隊を送らずにすんだ。もし9条がなければ、イラクやアフガニスタンも実戦に参加していたでしょう。米国の戦争に巻き込まれ、日本が海外派兵するような事態を憲法が防ぎました。」

――現政権が進める安保法制で、何が変ると思うか?
「国際的な平和維持に貢献するといいつつ、念頭にあるのは米軍とのさらなる協力でしょう。米国は軍事政策が圧倒的な影響力を持つ特殊な国であり、核兵器も持っている。そんな国と密接につながることが果たして普通の国でしょうか。」

――戦後の日本外交は米国との関係を軸にしてきた?
「戦後日本の姿は、いわば『従属的独立』と考えています。独立はしているものの決して米国と対等でない。」
「安倍首相の進める安全保障政策や憲法改正によって、日本が対米自立を高めることはないと私は思います。逆に、日本はますます米国に従属するようになる。その意味で、安倍首相をナショナリストと呼ぶことには矛盾を感じます。」

――対外的な強硬姿勢を支持する人も増えているが?
「他国、他民族、他宗教、他集団に比べて、自分の属する国や集団が優れており、絶対に正しいのだという考えは、心の平穏をもたらします。そしてソーシャルメディアが一部の声をさらに増殖して広める。」
「本当に恐ろしいのはナショナリズムの連鎖です。国内の動きが他国を刺激し、さらに緊張を高める。日本にはぜひ、この熱を冷まして欲しいものです。」

――日本のソフトパワーで何ができるだろうか?
「戦後日本で、私が最も称賛したいのは、下から湧きあがった動きです。国民は70年の長きにわたって、平和と民主主義の理念を守り続けてきた。このことこそ、日本人は誇るべきです。一部の人たちは戦前や戦時の日本の誇りを重視し、歴史認識を変えようとしていますが、それは間違っている。」
「本当に偉大な国は、自分たちの過去も批判しなければなりません。・・・・・郷土を愛することを英語でパトリオティズムと言います。狭量で不寛容なナショナリズムとは異なり、これは正当な思いです。すべての国は称賛され、尊敬されるべきものを持っている。そして自国を愛するからこそ、人々は過去を反省し、変革を起こそうとするのです。」

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