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2015/09/20

#152朝日名人会(2015/9/19)

第152回「朝日名人会」
日時:2015年9月19日(土)14時
会場:有楽町朝日ホール
<  番組  >
前座・春風亭朝太郎『道灌』
春雨や雷太『湯屋番』
桂ひな太郎『幾代餅』
入船亭扇遊『三井の大黒』
~仲入り~
三遊亭萬窓『佐々木政談』
立川志の輔『死神』

19日の早朝に行われた安保法案の強行採決について、この日の出演者が触れていた。
一人は萬窓で、ネタの中のセリフで「相手の意見に耳を貸さず強行採決する・・・」を挿入し、会場から拍手を浴びていた。
志の輔は本会議での採決までTVで見ていて衝撃を受けたようで、マクラで今日は落語を演るような気分になれないという様な意見を述べていた。
安倍政権は口を開けば審議に十分な時間を取り議論は尽くしたと言っているが、例えば衆院特別委員会での過去の審議時間TOP5は次の通りだ。
1.日米安保条約 136時間(分以下は切り捨て)
2.消費税増税  129時間
3.沖縄返還関連 127時間
4.政治改革関連 122時間
5.郵政改革   120時間
今回の安保法案 116時間
以上の様に他の法案に比べて特別に審議時間が確保されていたわけではないことが分かる。しかも今回の安保法案は11本の法案を一括して審議したのだから、むしろ審議時間は不十分だと言える。

さて、152回朝日名人会だが、志の輔ファンには悪いが、アタシのお目当ては他の4人だ。好きな噺家だがここの所しばらく高座に会ってないという4人だからだ。
以下に簡単な感想を記す。

前座の朝太郎だが、語りがしっかりして良いと思った。師匠の前名を貰ったんだから期待が大きいんだろう。客席の反応は少なかったが、前座の内は「受け狙い」は却って芸を荒す。客席が鎮まる程度で良いのだ。「勇将の下に弱卒無し」なのか、一朝一門には優秀な人材が集まるようだ。

雷太『湯屋番』 、亭号は春雨やだが雷門一門なので師匠(雷蔵、当代は4代)同様に名前に雷が付いている。芸協期待の二ツ目の一人だ。語りが良いし所作も大きく分かり易いのと、芸風が明るい。若手噺家の3要素を備えている。弁天小僧のセリフも決まっていた。楽しみな存在だ。

ひな太郎『幾代餅』、ネタは(前の師匠の)古今亭のお家芸だ。搗き米屋の奉公人の清蔵が身分を偽っていたのを詫び正直に打ち明け話しをするのを聞いた幾代が、一筋の涙を片袖で拭う場面。年季が明けて幾代が搗き米屋を訪れ小僧に来訪を告げる場面。ひな太郎の高座は、この2カ所の見所での幾代の凛とした姿が表現されていた。若いお嫁さんを貰ったせいか若返った感じ、ウラヤマシイ~~。

扇遊『三井の大黒』、絶品だった大師匠の十八番を師匠・扇橋を経て今は扇遊の十八番だ。色々な人が高座に掛けているが、やはり扇遊がベスト。何より噺の骨格がしっかりしている。甚五郎を始め頭領の政五郎やその女房、弟子たちの人物像がくっきりと演じ分けされている。今日の出演者の中でも1枚格の差を感じさせた高座だった。

萬窓『佐々木政談』、姿かたち、しゃべり、所作、いずれを採ってもいかにも落語家らしい落語家だ。萬窓の高座は、小賢しい四郎吉の造形が優れていて、四郎吉と奉行との定番の頓智問答に客席の反応が良かったのは、セリフの「間」のせいだろう。この人、もう少し世評が高くても良いと思うのだが。

志の輔『死神』、人間の運には限度があり、運が尽きれば命も尽きるというのが志の輔の解釈だ。通常の筋と異なり男は独身、二度登場する死神はいずれも男の家で待っているという設定だ。サゲは、無事に新しいロウソクに火を移しかえた男が喜んで表に出て、周囲が明るいのでついついロウソクの火を吹き消してしまう。このネタは確か2回目だと思うが、マクラから何となく気乗りのしない様子で、志の輔の高座としては低調だった。

お目当ての4人の高座は大いに満足。

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コメント

扇遊の「三井の大黒」、聴いてみたいなあ。

投稿: 佐平次 | 2015/09/21 11:19

佐平次様
数ある甚五郎ものの中でもこのネタは甚五郎の時々の心理を描くという難しさがあります。扇遊の丁寧な描写が光ります。

投稿: ほめ・く | 2015/09/21 15:43

一朝門下へのご評価、仰るとおりですね。
最近、先代金馬の『道灌』をCDで聴いたんですが、
前座噺といっても易しくない、
歴史に対する教養がないと語れない噺だなと感じました。

投稿: 福 | 2015/09/22 07:12

福様
喬太郎が目標としてトリで『道灌』を演じられるようになりたいと語っていました。先代の小さんや談志が十八番としていましたし、難しい噺なのでしょう。

投稿: ほめ・く | 2015/09/22 11:29

私は、事前に案内を見て、出演順そのものが間違っていると思いました。
人気は志の輔かもしれませんが、トリは扇遊であるべきでしょう。
行くつもりはありませんでしたが、行くとするなら、私のお目当ても志の輔以外の四人ですね。
『三井の大黒』は、扇辰も悪くないですが、やはり兄弟子が一つ上を行くでしょう。
萬窓は、おっしゃる通りで、もっと高く評価されるべき本格派ですね。

朝日名人会は木戸銭が上がってからは行っていません。
京須さんの噺家さんの選び方なども、今ひとつ得心できないこともあります。
しかし、最近は他の落語会の木戸銭も高いので、相対的に高いとも言えなくなってきたかもしれません。
せいぜい落語は3000円台で願いたいと思います。
長々、失礼しました。
しかし、戦争法案の審議時間は、長くあるべきでした。

投稿: 小言幸兵衛 | 2015/09/22 11:33

小言幸兵衛様
私的には『三井』は扇遊、『野ざらし』は扇辰という事になります。
出演者の人選には首を傾げることもあって、この会もしばらくご無沙汰でした。目当ての4人は期待通りの高座だったので満足しました。志の輔はかなり疲れているように見えました。

投稿: ほめ・く | 2015/09/22 15:31

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