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2015/09/29

一之輔・夢丸二人会(2015/9/28)

「夢一夜~一之輔・夢丸 二人会~」
日時:2015年9月28日(月)19時
会場:日本橋社会教育会館
<  番組  >
前座・古今亭今いち『手紙は笑う』
入船亭小辰『金明竹』
三笑亭夢丸『疝気の虫』
春風亭一之輔『黄金の大黒(序)』
~仲入り~
『夢丸真打昇進口上』下手より司会の小辰。夢丸、一之輔
春風亭一之輔『蝦蟇の油』
三笑亭夢丸『蛙の子』

ちょうど満月を迎えたこの日にピッタリの会の名称「夢一夜」、今回が10回目だそうで真打が二人揃ったというのは初と、記念すべき会となった。
落語家同士でも気の合う、気の合わないというのは当然あるんだろう。この二人は本当に気の合う同士の様で、『夢丸真打昇進口上』での二人のヤリトリを聞いていてつくづく感じる。きっと「肝胆相照らす仲」でお互い何でも話せるんだろうな。そうした雰囲気は会場にも伝わり、気持ちの良い会だった。
かねがね当ブログで「10年に一人の逸材」と評価している一之輔に、最初に苦言を。
マクラやネタの中で再三再四ジジイ達の事を話題にする。この日も2回ほど出ていた。鼻先で笑う、メモを取る、ミスを指摘するという嫌なジジイ達の事だ。気持ちは分かるが、あまりクドイと嫌みになる。そういうジジイ達も客席に足を運んで来るというのは、一之輔の実力を認め高座を聴きに来ているのだ。だから非難はサラリとやって欲しい。万人に好かれる必要はないが、客に不快な気分にさせるのは得策ではない。本人が気が付いてなければ(確信犯の可能性もあるが)、周囲の誰かが注意してあげた方が良い。

前座の今いち『手紙は笑う』、声が大きい。歌舞伎座の3階席にも届きそうだ。口調も明解だ。ネタは今どき手紙を他人に書いて貰う人なんていないから、設定には無理がある。

小辰『金明竹』、師匠の若い頃によく似ている、師匠の時も将来は上手くなるだろうなと思っていたらヤッパリ上手くなったから、この人も将来きっと上手くなる。

夢丸『疝気の虫』、このネタは2回目だが、陽気な夢丸に合ってる。大好物のソバにつられて夫の身体から妻の身体に移った疝気の虫、大嫌いなトウガラシに攻められ別荘(睾丸)に逃げ込もうとするが見当たらない。疝気の虫が「(別荘は)どこだ、どこだ」とキョロキョロしながら高座を下りるのが夢丸のサゲ。志ん生の演じ方だったそうで、このサゲは今は夢丸だけかな。

一之輔『黄金の大黒(序)』、このネタは大きく分けて前半の一張羅の羽織をとっかえひっかえしながら店子たちが大家にお祝いの口上を述べるまでと、後半の宴会の場面との別れる。最近では後半部分をカットして前半で切るケースが多く、この日の一之輔もそうだった。一之輔落語の最大の特長は、特定の登場人物や事柄を極端にデフォルメさせることにある。このネタでいえば口上を述べる二人目の店子が対象で、「承りますれば・・・」という言葉が言えず、まるで外国人が片言をしゃべる様な話し方になり、大家が次第にイライラしてくる過程を面白く聴かせた。その前の店子同士の店賃や羽織をめぐるチグハグな会話も楽しく会場を沸かせていた。

一之輔『蝦蟇の油』、こちらのデフォルメの対象は、酔っぱらったガマの油売りだ。口上の冒頭の部分「遠目山越し笠のうち、物の文色(あいろ)と理方(りかた)がわからぬ」を省略する。以前から無駄だと思っていたと言い、先代文楽のようにムダは削ると言い出す。ガマの油って早く言えば「カエルの汗」だと。刀を取り出し客になんでも切って見せると言うと、客が「藤娘!」とリクエスト。途端に油売りが正楽の恰好で紙切りを始める。このネタは2回目だが、前回の時はいずれも演じられなかったギャグだ。一之輔のもう一つの大きな特長は回を重ねる毎に内容を変えて行く。それも本人の弁によると稽古を積んで工夫するのではなく、実際の高座の中で変えてゆくらしい。驚くべき才能である。客席は大爆笑だった。

夢丸『蛙の子』、『夢丸新江戸噺し』の審査員特別賞に入選したもので、むろん師匠が演じたネタだ。6歳の子が飲む打つ買うの3道楽に頭を悩ます両親。実はこの父親が大変な道楽者で母親に迷惑ばかりかけていた。それを見かねた子どもが自ら反面教師となって道楽を演じ、父親に反省させる目的だったというもの。
夢丸は小生意気な子どもの描写に優れ、良い出来だったと思う。ただこの噺に限らず、もう少しセリフの間の取り方を工夫した方が良いと思う。全般的にしゃべり急ぐ傾向が見られ、流れが平板に映る。

楽しい会で結構でした。

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コメント

一之輔は天才だと思うし、聴けば爆笑させてもらうのですが、わざわざ彼だけを聴きに行こうという気持ちにはなれないのです。
いずれ壁にぶつかってもうひとつすごくなるのでしょうが。

投稿: 佐平次 | 2015/09/30 10:10

佐平次様
古典を現代へという事になると、喬太郎-白酒-一之輔という流れになると思いますが、一之輔まで来るともう後戻りは出来ないでしょう。枝雀と同じ様な壁にぶつかると思いますが、そこからが勝負ですね。

投稿: ほめ・く | 2015/09/30 10:55

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