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2015/09/06

#67扇辰・喬太郎の会(2015/9/5)

第67回「扇辰・喬太郎の会」
日時:2015年9月5日(土)18時30分
会場:国立演芸場
<  番組  >
前座・入船亭辰まき『子ほめ』
入船亭扇辰『たがや』
柳家喬太郎『抜けガヴァドン』
~仲入り~
柳家喬太郎『三年目』*
入船亭扇辰『田能久』*
(*ネタおろし)

前座だが、この日の様な出演者の弟子というケースもあるが、前座の中にはあちこちの落語会で頻繁に姿を見る人がいる。落語会によっては前座をレギュラー化していて二ツ目になるまで同じ人が務めるなんてケースも珍しくない。それと反対の前座もいるわけで、前座といえども格差は存在する。
出演する前座は誰が選ぶんだろうとチョイト気にはなる。主催者が選ぶケースもあるだろうし、会の出演者が選ぶケースもあるだろう。選ぶ側からすれば、
・良く気が利く
・囃子(太鼓や笛)が上手い
なんてぇ事が評価の基準になるのだろう(自分が出演者ならそうする)。
「あいつ、下手なくせに良く出てくるな」なんて思う前座もいるが、そうした事情もあるんだろう。
出演機会が多ければ舞台度胸もつくし師匠方の芸も吸収しやすいから上達も早い。ちょっと噺が上手い、美形だ、なんて事になればファンや追っかけが出来るかも知れない。さすれば二ツ目になった時点でスタートに差が生じてくるわけだ。

「扇辰・喬太郎の会」だが、二人は入門は同期だが真打昇進は喬太郎が2年早く、香盤も上だし協会でも理事だ。しかしこの会では喬太郎は常に扇辰を立てているし、扇辰もそれを当然の事としている様子だ。喬太郎はやはり香盤が下の白鳥にも「師匠」や「兄さん」付けをして敬意を表している。
落語家は個人業だが、寄席や各種落語会では他者と共演するので、やはり気配りとか如才なさ、人付き合いなんてことも大切だ。一緒に行動するにも楽しくない人よりは楽しい人の方が好まれるに決まってる。
噺家も本来の芸だけではなく、そうしたプラスαも大事なんだろうな。

さて、この会の主催者が音協から「いがぐみ」に変った。と言っても担当者が独立してそのまま引き継いでいるので、会の趣旨や運営には変更は無いようだ。年2回開催で、二人それぞれが必ず1席ネタ下しを披露するという趣向だ。人気が高く、今回も前売り即完売となったようだ。

扇辰『たがや』、本人によればネタおろししたばかりで、この日が2度目とか。花火の掛け声を「たまや」と言う所を「たがや」と言ってしまったのはご愛嬌だが、全体として完成途上に思えた。
扇辰の高座は丁寧なのが特徴だが、それが時には「くどさ」に感じる。このネタは両国の川開きの状況と、たがやが侍相手に威勢のいい啖呵を切って、最後は侍を切り捨てる(実際にこんな事があったら大変だが)という爽快さがキモだ。だから歯切れよくトントントンと話を運ばなくてはいけない。扇辰は随所に解説を挟むのだが、これが噺の流れを止め、却って聴き手が感情移入できなくなる。
もっとあっさりと演じて欲しい。

喬太郎『抜けガヴァドン』、この日もマクラで立ち食いソバを話題にしていたが、喬太郎、実はかなりの食通ではなかと睨んでいる。しばしば立ち食いソバを話題にするのはその照れ隠しではないかと。
ネタはタイトル通り『抜け雀』の改作で、雀が怪獣ガヴァドンに替わっただけ。
「ガヴァドン」を調べてみたら、 ムシバというあだ名の少年が、宇宙線研究所の近くにあった土管に書いた落書きがなにかしらの宇宙線を浴びて実体化した存在だそうだ。それを知らないと面白さが分からないのだろうが、喬太郎が演じると何となく可笑しい。
ガヴァドンだけに客席は「土管、土管」と受けていた。

喬太郎『三年目』、冒頭の主人と病の奥さんとのヤリトリがくどく感じた。あそこは圓生や志ん朝の演じ方のように医師と主の会話を聞いてしまった奥さんが死期を悟って、後妻との婚礼に晩に幽霊になって出るという約束を果たす所まで、テンポよく聞かせた方が良いと思った。
今では亡くなった人の髪を剃るという習慣が見られず、この噺も分かり難くなった(『らくだ』も同じだが)。夫の前では恥ずかしので、髪が伸びるまで3年待ったという女性の心情も今では理解しがたいだろう。
喬太郎の高座はこの夫婦の情愛の深さが表現されていて、持ちネタに成り得ると思った。

扇辰『田能久』、6代目圓生が十八番としていたが、扇辰の演出もほぼ圓生を踏襲したものだった。
扇辰のしっかりした語りと丁寧な描写が活きていて、ネタおろしとは思えない完成度の高さだった。
金貨が8畳の間にまかれて「狸のキンは8畳敷き」のサゲは、扇辰の工夫だろうか。

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コメント

「くどさ」というお話、感じ入りました。
扇橋もどう削るかだと言っていた記憶があります。

喬太郎はこの翌日、湯島天神で「謝楽祭」を仕切っておりました。
実行委員長として境内をはしり回り、一席終えた川柳を丁重に見送る姿が印象的でした。

投稿: 福 | 2015/09/07 18:42

福様
名人文楽をはじめとしてかつての噺家は余計なことを削るのに腐心していました。今の人にも見習って欲しい所です。

投稿: ほめ・く | 2015/09/08 07:47

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