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2015/10/28

遊雀まつり・夜(2015/10/27)

遊雀式番外編「遊雀まつり」夜の部・実りの巻
日時:2015年10月27日(火)18時30分
会場:紀尾井小ホール
<  番組  >
三遊亭遊雀『電話の遊び』*
三遊亭兼好『鈴ヶ森』
立川生志『お見立て』
~仲入り~
三遊亭遊雀『文七元結』*
*)ネタ出し

「遊雀式」という名称の独演会を定期的に開いているが、今回はその番外編としてここ紀尾井小ホールでの昼夜公演、その夜の部に出向く。遊雀のクスグリには昼の部を見てないと理解できないものがあり、客席の反応から昼夜通しという客も少なくないようだった、
このホールはあまり落語会向きとは言えないが、小ぢんまりとして落ち着いた雰囲気の会場だ。

遊雀の1席目『電話の遊び』、2代目桂文之助作だそうで、それを2代目林家染丸が改作、現在は染丸一門によって演じられたいるようだ。この噺を東京に移したのは5代目圓生(通称:デブの圓生)で、現在は雲助の持ちネタになっている。
落語の世界ではたいがい若旦那が遊び好きでこれを大旦那が咎めるのだが、このネタは逆で大旦那が放蕩三昧。若旦那の命令で番頭が監視役になっているので大旦那は遊びに出掛けられない。せめて贔屓の芸者の声を聞くだけでもと電話を使うことを思いつく。大旦那のリクエストに応えて芸者が電話口で囃子に合わせて唄う。電話が度々混線するとその度に大旦那が「話し中」と声をかけ元に戻す。そうして楽しんでいる最中に若旦那が帰宅し、大旦那に向かって意見を始めると、大旦那が「話し中」でサゲ。
電話が普及し始めた時代に混線が多かったという事情が背景にあるのだが、今の人にはピンとこないかも知れない。
遊雀の軽妙なセリフ回しと掛けあいになる囃子(稲葉千秋、美声だった)が達者で、楽しく聴かせていた。遊雀の持つ「軽み」が活かされた一席。

兼好『鈴ヶ森』、後の生志の楽屋入りが遅れているという事で、そのせいかマクラにタップリと時間を掛けたが、これが面白く客席を沸かせていた。ネタはお馴染みの泥棒の親分と間抜けな子分が鈴ヶ森に仕事に出掛け、子分が通行人を脅して金を取ろうとするが相手が怖い人で逆に脅されるという筋。
この日気が付いたのだが、このネタは目の動きが肝心なようだ。兼好はそこが巧みだったし、喜多八が十八番にしているのも目の動きが達者なせいかも知れない。

生志『お見立て』、パリからの夕方羽田に着いてそのまま会場に到着したとあってか、大事なセリフを抜かしたり話が前後してしまったりと、かなり酷い出来だった。
「頼む方なら頼む方で、受ける方も受ける方だ」と兼好が言っていたが、元々のスケジュールに無理があったのだろう。

遊雀の2席目『文七元結』、久々に高座に掛けると言っていたが、結論から言うと期待した以上の出来だった。
先ず、それぞれの登場人物の描き分けが明確であったこと。このネタは吾妻橋での長兵衛と文七のヤリトリが山場になるのだが、大事なのは吉原の大店である佐野槌の女将や、鼈甲問屋・近江屋卯兵衛の演じ方だ。この二人の器量が出せるかどうかで評価が定まる。長兵衛に対する女将の叱責も、彼を真人間にしようとする心情が裏打ちされていなければならぬ。近江屋の文七への説教も同様に文七への愛情が籠ったものであらねばならず、事情を聞かされてから長兵衛宅を訪ねる迄ではいかにも大店の主らしい風格が必要だ。遊雀のこの二人の描写が適確だった。吾妻橋での長兵衛は何とか若者の命を救ってあげたいという気持ちと、娘お久の事を思い浮かべる心情との葛藤も上手に表現されていた。
その他の脇役、長兵衛の女房や佐野槌の若い衆、近江屋の番頭の描写も巧みで、上出来の高座だった。
遊雀が未だ三太楼を名乗っていた頃からこの人の高座を見て来て、いつも7分程度の力で演じているという印象を持っていたが、この日の『文七』では全力を出していたように思う。
遊雀、渾身の一席。

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コメント

そして昨日は落語研究会の生志、ふわふわとしてました。

佐平次様
やっぱりフワフワでしたか。プロなら出演した以上は言い訳はききません。生志の力を認めているだけに残念です。

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