フォト
2023年4月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            
無料ブログはココログ

« 雲助蔵出しぞろぞろ(2015/10/24) | トップページ | 遊雀まつり・夜(2015/10/27) »

2015/10/27

#62人形町らくだ亭(2015/10/26)

第62回「人形町らくだ亭」
日時:2015年10月26日(月)18時50分
会場:日本橋劇場
<  番組  >
前座・春風亭朝太郎『子ほめ』
隅田川馬石『粗忽の使者』
露の新治『中村仲蔵』
~仲入り~
五街道雲助『持参金』
春風亭一朝『死神』
※前座以外はネタ出し

「人形町らくだ亭」は以前から名前は知っていたが、参加は今回が初めて。過去の履歴を調べてみると偶数月に開催されているようだ。場所柄か勤め帰りの人の姿が目立つ。
落語会の会場はいくつもあるが、この日本橋劇場は落ち着いた雰囲気のある良い会場で好きだ。飲食店が多いので帰りに一杯という人には便利。水天宮が近いのだが安産の神様なのでこちとらにはご縁が無くなってしまった。

朝太郎『子ほめ』、近ごろの前座は良いのが多いね。もしかして共通一次試験をパスしてるんだろうか。
前座の注目点は先ず言葉がはっきりしているか。語りが落語家のしゃべりになっていること。会話や地の語りとセリフとの間の「間」が取れているか、だ。当ブログの記事で前座に触れない場合は「普通」、触れるのは「良い」か「悪い」のいずれかになる。

馬石『粗忽の使者』、落語には数多くの粗忽者が登場するが、この噺に出てくる地武太治部右衛門はその中でもトップクラスだ。自分の名前も忘れるし、つい先ほど出会った人の顔も名前も憶えていない。しかも武士でこれだけ粗忽というのは珍しい。
この人の高座スタイルの特徴は、「ふんわり」という言い方が最も適切なように思う。語りも仕種も柔らかい。その影響からか客席も何かホンワカしてくる。それで滑稽噺から人情噺までこなせるのは語りが確かのせいだろう。

新治『中村仲蔵』、東京でもお馴染みのネタだが上方版は一味違う。
先ず仲蔵を上方の出身で江戸へ出て役者になったという設定だ。
せっかく名題に昇進したのに忠臣蔵で振られた役は5段目の斧定九郎一役。すっかり腐ってこれなら大阪に戻るかという仲蔵を女房が叱咤激励する。仲蔵の夫婦(めおと)物語としての色を濃くしている。
柳島の妙見さまの満願の日、帰りに寄った蕎麦屋で偶然に出会った旗本崩れの成りを見て、これだと思った仲蔵は再び妙見さまに引きかえしオミクジを引くと、天地人の人人人が出た。これで確信を持った仲蔵が定九郎の役作りを開始する。ここの段取りが東京とは異なる。
舞台が成功したと師匠の中村伝九郎から聞かされ、その印に愛用の煙草入れを貰って自宅へ戻る。女房と二人で喜びを分かち合いサゲを付けるのも東京とは異なる。
新治の高座は、5段目の初演の舞台の所作を丁寧に演じ、客が感心して思わず「う~ん」と唸るのを悪落ちと勘違いして気落ちし、上方へ旅立とうして夕刻に芝居小屋近くを通ると、今見終ったばかりの客が5段目の定九郎が良かったという声が耳に入る。ここでの仲蔵の「ああ、ありがたい!広い世間にたった一人だけ、おれの芸をいいと言ってくだすった方がいる」という一言は感動させられる。この客は定九郎の趣向だけを褒めたのではなく、今までの定九郎の扮装に違和感があったが、この仲蔵の芝居を見てその謎の絵解きが出来たと喜んでいたのだ。仲蔵の感激は一入では無かった筈だ。この喜びを女房に伝えたくてもう一度家に戻り、そこで師匠からの使いに出会うという設定にしている。
水も漏らさぬ新治の緻密な高座は実に素晴らしかった。
この人が出てくると、会が締まる。

雲助『持参金』、全体のテンポといいリズムといい、最近聴いた雲助の高座では一番良かった。不器量で身重の女中を10両欲しさに嫁に貰った男が言う、「言われたほど悪くねぇ」の一言はこの女にとって救いだ。と同時に通常はこの女が蔑ろにされたまま終わるのだが、この一言でホッとした気分になる。
短編ながら雲助の実力をいかんなく示した。

一朝『死神』、通常のストーリーで演じたのだが、この人が演るとほのぼのとした噺になる。死神までが可愛らしく映る。一朝の人柄に因るものか。
サゲは、せっかく新しいロウソクに移したのにクシャミで灯を消してしまうというもの。
怖さより滑稽味に溢れた演じ方だった。

4人4席、それぞれ結構な高座でした。

« 雲助蔵出しぞろぞろ(2015/10/24) | トップページ | 遊雀まつり・夜(2015/10/27) »

寄席・落語」カテゴリの記事

コメント

あら、いらっしゃいましたか!

私も久しぶりに日本橋に駆けつけました。
新治の仲蔵、良かったですね。
雲助の短い滑稽噺へのご評価も、まったく同感です。

馬石も、たしかに悪くはなかった。
木戸銭を考えても、なかなか良い会だと思うのですが、「サライ」サイトの更新が遅いのだけは、傷です。
それでも、『持参金』のおなべの傷よりは、少ないか(^^)

小言幸兵衛様
以前、幸兵衛さんの記事でこの会を知って一度行きたかったんです。
新治の『仲蔵』は素晴らしかったですね。今年の五指に入ります。
サゲは正蔵と同じですか? 気付きませんでした。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 雲助蔵出しぞろぞろ(2015/10/24) | トップページ | 遊雀まつり・夜(2015/10/27) »