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2015/12/27

#34大手町落語会(2015/12/26)

第34回「大手町落語会~師走の競演~」
日時:2015年12月26日(土)13:00
会場:日経ホール
<  番組  >
前座・柳家小はぜ『道灌』
柳家やなぎ『饅頭怖い』
柳家さん喬『ちりとてちん』
春風亭小柳枝『井戸の茶椀』
~仲入り~
三遊亭兼好『一分茶番』
柳家権太楼『富久』

ここ数年恒例として、年末は大手町落語会へ来ることにしている。
さん喬と権太楼、今や落語協会の二枚看板といって良いだろう。都内で行われる定例の各種落語会でも二人の内どちらかの名前が出ているケースが多い。とりわけこの会ではさん喬と権太楼(トリはこの人が多い)二人を中心として番組が組まれているようだ。大手町落語会の常連の方々にとっては恐らくネタを見て、二人がどの様に演じるかはおよそ察しがつくのではあるまいか。どんなネタを演じてもこの二人なら期待通りの高座を見せてくれるから安心だし、それは心地良さにつながるのだと思う。

小はぜ『道灌』、師匠・はん冶の前座名を継いだ。前半の会話で「賤の女」を言い忘れてしまった。もっともこの少女は道灌も知らない古歌で切り返したのだから、決して「身分の卑しい女」ではなかった筈だが。
やなぎ『饅頭怖い』、マクラの部分での「もう」の連発は聞き苦しい。怒鳴る時の声の音量が大きすぎるのが不快だった。
さん喬『ちりとてちん』、手堅いながらも要所ではきっちり笑いを取っていたのは、さすが。ただ、東京の噺家はこのネタではなく、オリジナルの『酢豆腐』を演じて欲しい。たまには「こんつわ」や「すんちゃん」が聞きたいじゃないの。
小柳枝『井戸の茶椀』、マクラで江戸の町を流していた売り声を披露した。「おいなりさん」の売り声は初めて聴いたが奇妙な節回しだ。この演目の着目点は主な3人の男の描写だ。千代田卜斎は年齢が50歳前後で浪人をしているが武士の誇りを失っていない人物、高木作左衛門は25歳前後の正義感溢れる武士、清兵衛は40歳前後の正直な屑屋、と三者三様だ。小柳枝の高座はこの人物たちの演じ分けがしっかりと行われており、無駄を排したテンポの良い筋運びで好演。
兼好『一分茶番』、マクラで歌舞伎や能、狂言の形態模写をしていたが、これがなかなか堂に入っていた。この流れからネタに入って、特に後半の芝居の場面が丁寧に演じられた。このネタは前半で切って『権助芝居』のタイトルで演じられる事が多いのだが、大事なのは後半だ。兼好の新たな面が感じられた一席。
権太楼『富久』、この人が『富久』を演じればこうなるだろうなと予測した通りの高座と言える。前半の久蔵が富籤を買って寝込むまでがダレ気味だったが、後半の久蔵の「禍福は糾える縄の如し」運命の変転を山場にして客席を引き込んだ。

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寄席・落語」カテゴリの記事

コメント

『富久』で好きなのは、久蔵が札がなければ換金できないと聞いて悲嘆したり、激昂したりする場面です。
値切っていき、少しでいいからと哀願しても、ルールはルールとはねつけられる。
あの悲哀は、『鰻の幇間』の後半にも通じていると思うのです。
そのあたり、権太楼はいかがでしたでしょうか?

投稿: 福 | 2015/12/28 07:15

小のぶ、知りませんでした。
小満んのきわどい噺、聴きたかったです。

投稿: 佐平次 | 2015/12/28 10:10

福様
この噺の久蔵は、禍福がジェットコースターの様に降りかかります。久蔵がそれによって一喜一憂し怒り哀しみ最後は歓喜を迎えるという感情変化がキモですが、この辺りはさすが権太楼、巧みに描写していました。
1000両から次第に値切って行く場面は悲哀を感じます。

投稿: ほめ・く | 2015/12/28 11:34

佐平次様
小のぶについて、最近では幸兵衛さんの記事に名前が出ていますが、滅多に寄席には出ず専ら独演会で演じているようです。異名が幻の噺家とか。とても愛嬌のある人で、道具屋の主が可愛く見えました。
小満んにしては随分と色っぽいマクラでした。

投稿: ほめ・く | 2015/12/28 11:39

そうでしたか、さすが権太楼ですね。

話題の小のぶ。
今月浅草で『幇間腹』を演っていたのを聴きました。
大工の棟梁のような風貌、声はハスキーな感じですが、本格的な噺ぶりでした。

投稿: 福 | 2015/12/28 21:36

福様
そうでしたか、幸兵衛さんの記事によれば池袋に出ていたそうなので、今は寄席にも出るようにしているのでしょう。小のぶは声がかすれていますが動きは活発で、楽しい高座でした。

投稿: ほめ・く | 2015/12/28 22:11

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