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2015/12/14

「軽減税率」百害あって一利なし

消費税の軽減税率を巡って、自民・公明両党による対象品目の「線引きゴッコ」が終り、再来年4月の導入時は「外食」を除いた「生鮮食品」と「加工食品」とすることで合意したようだ。この財源は1兆円となる模様で、財源について記者から質問された自民党幹部が「財源なんて、どうにでもなる」と答えていたのが印象的だった。
そう、「財源なんて、どうにでもなる」のだ。だって国民が負担するんだから気楽なもんだ。

当ブログでは一貫して軽減税率に反対してきた。
理由は以下の通り。
第一は、軽減税率の導入は当たり前だが消費税の増税が前提だ。2017年4月から消費税を10%に上げることが決まっているが、法律で決めたことは国会で変えることができる。
なぜ消費税を上げなばならないかというと、政府与党は決まって「高齢化に伴う社会保障費の増加」を口にするが、これは真っ赤なウソなのだ。
消費税の増税は常に法人税減税とセットとなっており、少しデータは古いが1989年度に消費税を導入して以降、消費税額は224兆円で同期間に法人税は208兆円が減税されている。
つまり消費税は常に法人税減税の穴埋めに使われてきた。
大事なことは、私たちが支払っている所得税や消費税は家計が赤字でも徴収される。それに対して法人税は企業の利益に対して課税される。だから世間には有名企業として名の通った会社が、何年も法人税を1銭も払っていないなんて事が起きるのだ。
いま法人税を支払っている企業は全体のおよそ3割程度と言われている。もちろん大企業が主だ。法人税減税で恩恵を受けるのはそれらの儲かっている企業だけで、赤字に苦しむ中小企業にはなんら恩恵がない。
また大企業には様々な優遇税制により、実際に納入している税金は、政府が発表している実効税率よりはるかに低く抑えられているのが現実だ。
この結果、1980年代には全税収に占める法人税の比率が約30%だったのが、2010年には約16%になり、政府はこれを更に引き下げようとしている。
これでは財源が不足するのは当たり前で、それを消費税増税で補おうという魂胆なのだ。
景気が一向に浮上しないし、消費も低迷しているこの時期に、消費税増税を強行すれば経済がどうなるかは火を見るより明らかだ。
食料品の税率を据え置いたところで、所詮は焼け石に水である。

第二に、欧州などの諸外国に比べ日本の消費税率が未だ低いという主張があるが、これは現実を見ていない。我が国の全税収に占める消費税の割合は既に30%近くに達しており、先進諸国の中ではかなり高い方のレベルだ。税率を単純に比較するのではなく、消費者がどれだけの負担をしているかで比較すべきだろう。

第三に自公両党は、食料品の税率据え置きが低所得層に有利と宣伝しているが、むしろ高所得層に有利になるという試算結果も出ている。
試算というのは前提条件でどうにもなるもので、恣意的な試算はあてにならない。

第四に、政府は今回の消費税増税分は全て社会保障費に充てるとしている。この言い分はアテにならぬが仮にそうだとしたら、軽減税率の減収である1兆円は社会保障費から削るか、他に財源に求めることになる。いずれにしろそれは国民負担となってはね返って来るわけで、これでは右のポケットから出したものを左のポケットに収めるだけのことだ。

第五は、軽減税率の対象品目をどれにするかは政府のさじ加減になる所から、新たな利権が生まれるという問題だ。先に消費税を10%に上がる法案が通った際に、朝日から産経まで全国紙はこぞってこれに賛成の論陣をはった。これには予め政府と新聞業界の間で新聞の購読料には軽減税率を適用するとの密約があったと報じられた。これに対して雑誌や出版業界でも同様の動きがあるようだ。この様に軽減税率が、政府与党への利益誘導に利用される恐れがある。

以上の様に軽減税率の線引きゴッコの様な無意味なことをやめ、法人税減税/消費税増税というサイクルを見直し、再来年4月からの消費税10%を阻止することが肝要だ。

【追記12/15】
「新聞業界は『軽減税率』と引き換えに『魂』を売り渡すつもりか」
どうやら昨日の記事の通り、軽減税率に対象に新聞を含める方向で政府が動いているようだ。
これで全国紙がこぞって、消費税増税や軽減税率の導入に賛成ないし無批判の態度をとってきた理由が明らかになったと言える。
新聞業界は2%のために「魂」を売り渡すつもりか。

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コメント

論理も何もない、ただただ、選挙対策。
むちゃくちゃでござりまする。

投稿: 佐平次 | 2015/12/15 15:18

佐平次様
メディアでは専ら軽減税率の線引きの報道に終始しているが、大事なのは消費税増税そのものの不当性です。
朝日から産経まで、この問題ではすっかり大政翼賛会になっています。
橋下徹が軽減税率の自公合意で憲法改正への体制が整ったと歓喜しているようですが、そうした要素も見逃せません。

投稿: ほめ・く | 2015/12/15 16:07

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