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2016/01/08

鈴本演芸場初席第三部(2016/1/7)

「鈴本演芸場初席・第三部」7日目
<  番組  >
三増紋之助『曲独楽』
柳亭燕路『幇間腹』
ホンキートンク『漫才』
宝井琴柳『本能寺』
マギー隆司『奇術』
五街道雲助『子ほめ』
桃月庵白酒『浮世床』
柳家小菊『粋曲』
柳家権太楼『つる』
─仲入り─
太神楽社中『寿獅子』
柳家小三治『初天神』
江戸家小猫『ものまね』
柳家喬太郎『同棲したい』
林家正楽『紙切り』
柳家三三『うどん屋』

2016年の初席は三が日を外して7日にした。未だ松の内だし、この日は休演がないというのが理由。そうゆやぁ「松の内」という言葉も死語になりかけてる。だって玄関先に松飾りのない家が圧倒的だもの。『掛取万歳』に出て来る「松が取れて目鼻が付きましたら・・・」というセリフも、意味の分からない人が増えてんでしょうね。
初席は顔見世公演なので普段より大勢の芸人が出て来る。しかも3部構成だから鈴本の場合でも最長で10分、時間が押せば数分で下りることになる。この日の様に漫談で終わらせることなく1席演じようとすれば、どう短縮して時間内にまとめるかが腕の見せ所だ。
じっくり聴かせることも大事だが、短い時間で軽く演じて客を満足させるのも大事。
さて、この日の演者はどうだっただろうか。例によって短い感想をいくつか。

燕路『幇間腹』、「お客が芸人の好き嫌いがあるように、芸人もお客の好き嫌いがあるんですよ」と言っていたのが面白かった。「だから相性っていうのがあるんですよ」って、そうだろうな。芸人は客を選べないもんね。全体を短縮したフルバージョンで聴かせたが程よく受けていて、今日は相性が良かったようだ。
雲助『子ほめ』、赤ん坊を褒める所だけの短縮版だったが、前座噺も雲助の手にかかるとここまで面白くなるのか。サゲが変っていて、赤ん坊の枕元に書付が置いてある。父親が竹だから「竹の子は生まれながらに重ね着て」。そこで八が下の句を付けて「育つにつれて裸にぞなる」。洒落てますね。
白酒『浮世床』、この日は『本』。男が本を拾い読みする時の表情が可笑しく、これだけで場内は爆笑。こちらも書名の『太閤記』に掛けた一風変わったサゲを付けていた。師匠もそうだが、短い時間ながらもサゲは省略しない。
小菊『粋曲』、この日初めて聴いた曲があり、相変わらず抽斗の多さに感心する。何度も言うようだが、この芸の後継者がいないのが心配だ。
権太楼『つる』、マクラ無しでフルバージョン。鶴の名前の由来を苦心して説明する男の顔が可愛らしい。
太神楽社中のお目出度い『寿獅子』の舞を挟んで、
小三治『初天神』は、団子だけの短縮版。金坊が生意気な口を利くのだが何とも愛らしい。落語に出てくる子供はこうでなくちゃ。団子に付いた蜜を舐める時、他の演者は扇子を使うのだが、小三治は手先だけで表現する。この方がキレイに見える。
小猫『ものまね』、祖父、父、そしてこの人と3代見てるが、物真似については小猫が一番研究熱心で上手いと思う。
喬太郎『同棲したい』、タイトルは『同棲時代』のモジリで、喬太郎は新作でよくこの手を使う。この噺の背景に出てくる『同棲時代』『神田川』『学生街の喫茶店』などは1970年代前半の作品で、定年を間近に迎えた男が若い頃の郷愁から妻と離婚し同時に同棲を始めるというもの。喬太郎にとってはリアルタイムの経験ではなかろう。私事だが、所帯を持った時は裸電球(これも死語か)の下で、ミカン箱を裏返しにしてビニールの風呂敷をかけてテーブル代りにしていた。だから『神田川』もリアルだったのだが、今の時代には分かり難いかも知れない。男の妻がパンツに隠した離婚届けを取り出して付着していた陰毛を取るというのは、前回は無かった気がする。三三によれば楽屋に帰って反省していたそうだが。
三三『うどん屋』 、去年もそうだったが、初席のトリという重責からか全体に硬さが見られる。それと、もう少し真冬の寒さを強調した方が良いと思った。ソバを食べている男を見つめるソバ屋の表情が良かった。

喜多八の休席は寂しかったが、出演者各人ともそれぞれの持ち味が出ていて、充実した初席だった。

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寄席・落語」カテゴリの記事

コメント

国立で小三治が、これから浅草と上野にいくんです。
正月から落語を聴こうなんて思う客はいない、といいながら長いマクラの後「小言念仏」でした。

佐平次様
国立は満席だったようですね。小三治は上野では挨拶の後、直ぐにネタに入りました。もっとも時間は10分程度でしたが。

燕治は猫ひろしに似た風貌ですが、噺は聞かせてくれます。
ジャズピアニストで言うと、大ホールではなく、バーで粋にスイングするタイプです。

雲助『子ほめ』は私も聴いたことがあります。
調べると、平成24年の1月7日土曜日「鈴本演芸場」新春特別興業 第二部。
密度が濃くてよい高座でした。
正月には『子褒め』をよくかけるようです。

福様
燕路は私も好きな人の一人で、7日に出向いたのもこの人の出番だったと言うのが理由の一つでした。
雲助の「子ほめ」はフルバージョン、バイオレンス版、そしてこの日の様な短縮版とそれぞえ演じ分けていて、いずれも1級品なのはさすがです。

小三治は正月の寄席は一時間に13人も出るのだから、と一人当たりの割り当て時間を暗算して見せて、その中に酔っぱらってきて長い噺をするのもいると、と、また指を折って見せて、だから正月の寄席で落語を聴くつもりの人はいない、といいつつ、「小言念仏」をやったのでした。

佐平次様
寄席によって正月興行の際は一人5分以下、場合により3分なんてケースもあるようですが、鈴本は平均10分と比較的長いので正月は鈴本にしています。小三治は平均より長めでした。

私は鈴本初席の2日目に行ってきました。三が日を過ぎたあたりが演目が充実してたように思います。初めて小三治で道灌を聴けたのが収穫だったかなと思います。
ちなみトリの三三は粗忽の釘、一朝は牛ほめ、権太楼は代書屋、白酒は笊屋、喬太郎はマクラのみでした。
自分の場合、仕事の都合で三が日くらいしか行けないし、指定席は鈴本くらいしかないのでここ4,5年は鈴本に行っています。
ただ、白酒と三三の演目が昨年1月3日の初席と同じで喬太郎に至っては2年連続でマクラのみだったので、来年からは行くまいかと思っています。

ぱたぱた様
正月興行は雰囲気を味わうものと割り切っていても、手抜きの高座にはガッカリさせられます。この日は比較的まともな噺が聴けたのですが。もしかしたら喜多八が休席の分、小三治と喬太郎に時間が配分されていたのかも知れません。私も初席を外し二之席に行くことが多いのですが、今年は都合で行かれないのでこの日にしました。

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