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2016/02/02

プライム落語・東京(2016/2/1)

「プライム落語」東京公演
日時:2016年2月1日(月)19時
会場:大田区民ホール アプリコ
<  番組  >
前座・三遊亭けん玉『雑俳』
三遊亭兼好『高砂や』
柳家三三『粗忽の釘』
~仲入り~
出演者全員『お喋り』
林家たい平『紙屑屋』
桂雀々『ガマの油』

定年を迎えた時に、これからはお互い干渉せず好きな事をしようという事にした。以後、夫婦揃って出かけるなんて事は年に数回となった。私はネットをしているが妻はほとんどしない。そうなると情報格差が生まれ、結果として私の単独行動だけが増えている、という風に妻には映るらしい。「あんたばっかり」という不満の声がチラホラ聞こえてくるのだ。
たまには夫婦で落語会に、というわけでこの日の「プライム落語」へ。主催はBSフジ。観客は1000人は超えていたか。

以前にも何度か書いたが、こういう会に前座を出す意味がどこにあるのか分からない。遅れて来る人のために時間調整? 会場全体を温める役割というのも聞いたことがあるが、温める前座なんて稀だ。むしろ冷やす方が多いくらい。寄席の様に開演前に出すなら分かるが、慣習だからというなら止めて貰いたい。
この日の番組でいうなら、開演直後に『お喋り』のコーナーを設ければ良かったのだ。そうすれば空いた時間がトリに振り分けられ、雀々の長いネタが聴けたのにと思ってしまう。
この会に限らず、落語会の主催者に一考して欲しい。

兼好『高砂や』、毒舌を交えながらのマクラで客席を一気に温めて自分の懐に取り込む技術は、さすがである。アルバイトで行ってきた結婚式の話題からネタに入る。
八五郎が大店の結婚式の仲人になるまでの過程をカットし、八が大家にご祝儀の「高砂や」を教わる所から始める。大家から紋付袴を借りる場面を加える以外は定番の運びだが、豆腐屋の声色から高砂やを練習する場面や、婚礼での高砂やの繰り返しはあっさりと演じ、その分全体がスピードアップされていた。
婚礼の席で高砂やを謡う風習などとっくに無くなった今日、かなり古色蒼然としたネタになってしまった。今の観客に受け容れられる様にするには、こうした工夫が必要なのだろう。

三三『粗忽の釘』、引越しの亭主が前の家から荷物を担いで出て行ったきり迷子になってようやく新しい家にたどり着くまでをカットし、この亭主が鉄瓶を持って家の周りをグルグル回っているうちに引越しが終わったという設定から入る。釘が出ていないかと粗忽者の亭主がお向かいの家を訪れる場面では、傍で腹を抱えて笑い転げるオカミさんを登場させ、さらにこのオカミさんは粗忽者の似顔絵を描いて回覧するという念の入りようだ。
間違いに気付いた粗忽の亭主が隣を訪れて「落ちつかせてもらいます」と部屋へ上がりこみ、女房との馴れ初めを語る所は定番だが、一時期夫婦仲が悪くなった時に友人の忠告で亭主が女房の尻に敷かれていれば家庭円満になると諭され、その通りにしていると、亭主がしみじみ語る所は独自の工夫か。この時の亭主の表情や煙草を吸う仕種が良い。
緩急を付けながらもテンポ良く運び、上々の高座だった。

たい平『紙屑屋』、「笑点」ネタのかなり長いマクラを振っていた。「笑点」メンバーでも高座で番組の事はほとんど触れない人もいるが、たい平は必ずといって良いほどこのネタを入れてくる。だが私の様に「笑点」を見てない人にはチンプンカンプンだしね。
本題へ入って、本来この噺には音曲の素養が必要になるが、たい平は亡くなった團十郎の声色や花火の物真似、虎造の浪曲(これはあまり似てなかった)など得意の芸を織りこんで演じていた。
たい平は器用だし、客を笑わせる術を心得ているのが強みだ。しかし進歩が見られない。結局このまま行くのかな、というのが率直な感想だ。

雀々『ガマの油』、このネタはやっぱり東京のものだと思う。一気にまくしたてる立て板に水の如き口上がポイントなので、上方には不向きな感じがする。雀々も2,3言いよどむ個所があり、口上の流れを悪くしていた。ざこばや枝雀の酔っ払いの形態模写を入れて面白く聴かせたが、雀々なんだから本来の上方落語のネタを聴きたかった。

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コメント

たしかに三三はうまい。
粗忽に見えず、神経を張り巡らせているような三三が演じるのもまた良しですね。

「女房との馴れ初めを語る所」
ここはいかに本来の用件を忘れて暢気に語り、
家の者を不思議がらせるかにポイントがあるのですが、
思い出すと、兄弟子の喜多八も上手でした。

福様
三三の高座では隣家を訪れた際に、粗忽者が夫婦の馴れ初めを語る所は一緒ですが、女房がやたら強くなり、一時期夫婦が上手くいかなくなって・・・、という経緯をしみじみと語る場面と加えています。これが料理の香辛料の様な効果を示していました。
噺の途中で前座が太鼓を叩くというミスがありましたが、咄嗟の機転で切り抜けた辺りも三三の力を感じます。

たまには連れ立って、いいものでしょう?^^。

佐平次様
そう、望まれている内が華ですか。

 2014年の5月、ほめ・くさんとのご縁で行かせていただいたJTホールの会で三三の絶品の『粗忽の釘』を聴き、その年のマイベスト十席に選んでいました。
 雑誌「SWITCH」でも彼はこの噺について語っていますが、師匠の助言で開花した噺かと思います。
夫婦の情愛を、三三ならではの何気ない科白で描いており、彼の十八番の一つになっていますね。

 

小言幸兵衛様
一緒に行った妻が三三について小三治に良く似てると言ってました。確かに粗忽者の亭主の造形などは師匠に似てますか。

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