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« 【書評】不破哲三「スターリン秘史―巨悪の成立と展開〈3〉」~ヒトラーとスターリンによる世界分割~ | トップページ | 雲助蔵出し(2016/2/27) »

2016/02/25

桂佐ん吉独演会(2016/2/24)

NHK新人落語大賞受賞記念「桂佐ん吉独演会」
日時:2016年2月24日(水)19時
会場:内幸町ホール
<  番組  >
開口一番・桂團次郎『動物園』
桂佐ん吉『堪忍袋』
桂佐ん吉『立ち切れ線香』
~仲入り~
春風亭一之輔『堀の内』
桂佐ん吉『愛宕山』

米国大統領選のトランプ旋風を嗤うなかれ。日本では既にアベ・シンゾウが首相になっているではないか。もっとも、あちらの方は米国のイラク戦争を誤りだったと批判しているし、社会保障の充実を公約に掲げているだけマトモだけど。
まあ、プロレスラーが文科大臣やる国だからね。職業の貴賤を言ってるんじゃない、かの業界と暴力団の関係の事を言っているのだ。それが学校教育ってか、冗談言っちゃいけねぇ。

家を出る時家族から「今日は誰の会?」、「桂佐ん吉」と答えたら「なんか段々マニアックになってる」と言われてしまった。
桂佐ん吉、知る人ぞ知る、だから知らない人は知らない。亡くなった桂吉朝の6番弟子で、2011年に芸術祭新人賞、2015年にはNHK新人落語大賞を受賞した若手の実力派。過去2回は開口一番での高座だったが、今回は独演会、それも初だそうだ。
東京でのいつもより広い会場、ゲストに一之輔を迎えての自分の会となれば、気負うのは当たり前。この日の高座ではそれが前面に出てしまい、緊張から「あがる」もあったのか、カム場面が散見された。最後のネタではミスも出て全体に本領発揮というわけには行かなかったようだ。

先ずはゲストの一之輔『堀の内』、ここんとこ良く逢いますね。決してオッカケじゃないんだけど。
こういう会のゲストっていうのは結構難しいと思う。以前ある会で、ゲストが40分の大ネタを掛けそれも受けてしまったもんだから、ゲストだけが印象に残ったなんて事もあった。あれ、誰の会だっけ?なんてね。だから主役を食っちゃいけない。そうかといってゲストに呼ばれたんだから存在価値は認めさせねばならない。その「程の良さ」が大事だ。この日のネタは先日聴いたばかりだが、程の良さが出ていた。

佐ん吉の1席目『堪忍袋』、マクラで一之輔を称賛していたが、くどすぎて卑屈に聞こえた。自分の会なんだからもっと堂々として欲しい。東京へのコンプレックスみたいな事もあまり強調しない方が良いと思う。
この噺は東京でもしばしば高座にかかるが、上方の方が断然面白い。夫婦喧嘩の原因が亭主の弁当のおかずを梅干しから塩昆布に変えると女房が言ったこと。仲裁に入った男がなんでそんな事で派手な喧嘩なんかすすのかと問いただすと、これが根の深い話となってゆく。泣きながら事の次第を語る女房の表情が実に良い。二人の馴れ初めを語る場面ではチラリと色気も感じられ、後半の御料さんの気品と一変する表情変化も巧みだった。佐ん吉の実力を示した1席。

佐ん吉の2席目『立ち切れ線香』、前半の最大の見せ場は、勘当話に怒り狂った若旦那を番頭が諭す場面だ。毒づく若旦那を前にして煙草を一服吸い、決然として「乞食になりなはれ」と命じる番頭。この仕種と科白で若旦那はヘナヘナになる、大店の大番頭の肚の見せ所だ。印象としてはもう少しゆっくり時間を掛けた方が良かった様に感じた。
100日経って若旦那が蔵から出て、神社への願ほどきと称して小糸の元に向かう際に番頭がそっと財布を渡す場面は良かった。この番頭の厳しさと優しさが表現されている。以後ミナミのお茶屋で小糸の死を知り、周囲の女性と共に嘆き悲しむ場面は心を打つ。小糸の霊が弾く三味線を聞きながら盃を口にする若旦那の表情には心情が溢れていた。
1席目とは対照的にしっとりと聴かせてくれた。

仲入り後の佐ん吉の3席目『愛宕山』、NHK新人落語大賞の時の作品だ。前かたに上がった一之輔が佐ん吉は2席終えて楽屋でホッとしていると言っていたが、その影響からか。あるいはマクラが滑った影響からか。出だし今ひとつエンジンが掛かっていない様子だった。そのせいか、弁当を広げる場面で大きなミスをしてしまった。そこから立ち直り、カワラケ投げから一八が谷へ降りる後半は本来の実力を見せていた様に思う。個々の人物像では室町の旦那にもう少し風格が欲しかった。

いろいろ厳しい事も書いてきたが、期待の裏返しである。
また機会を見て東京で開かれる会に行こうと思う。

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コメント

前日に、ほめ・くさんのお席をあたためておきました(^^)

さすがの佐ん吉も、一之輔を前には緊張したのでしょうかねぇ。

意欲的な三席のネタ選びでしたね。
私は、ついJALを選んでしまい、さすがに連日は行けませんでしたが、ほめ・くさんの記事のおかげで、会の様子がよくわかりました。

そのうち、また佐ん吉を聴きたいものです。
そういえば、一之輔もご無沙汰だなぁ。

なんとも、宮仕えはつらい。

小言幸兵衛様
細かなミスはありましたが全体として佐ん吉の実力を示していた会でした。
JAL名人会もしばらくご無沙汰ですので、近々行きたいと思っています。

知らなかった名前です、チャンスがあれば聴きたいな。
トランプにしてもサンダースにしてもヒラリーまでTPP反対、安倍はあわくっているんじゃないですか。
「もともとTPPは絶対反対、ブレましえん」なんていいだす?

佐平次様
やはり知る人ぞ知る、でしたか。地味ですが上手い人です。
米国大統領選の有力候補が揃ってTPP反対を打ち出しました。安倍は梯子を外されかねない状況です。誰が当選しても日本の米軍基地については見直しがありえますし、目が離せません。

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