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2016/03/09

#19「桂文我・桂梅團治二人会」(2016/3/8)

第19回「桂文我・桂梅團治二人会」
日時:2018年3月8日(火)18時30分
会場:国立演芸場
<  番組  >
前座・桂小梅『平林』
桂文我『癪の合薬』
桂梅團治『野崎詣り』
~仲入り~
文我&梅團治『爆笑対談』
桂梅團治『昭和任侠伝』
桂文我『住吉駕籠』
(二人の4席はネタ出し)

昨年に米朝そして今年1月には春団治が亡くなり、上方落語四天王は皆鬼籍に入ってしまった。後継者と期待された吉朝、枝雀は早逝してしまい、当代文枝は新作専門。南光、文我、雀々といった人気も実力もある人たちが上方落語協会を抜けている。こちらから見ると今の上方落語界に芯になる人がいない様にも思える。一方で有能な中堅若手は目白押しで、群雄割拠の中、誰が抜け出すのか注目される。
この二人会だが、文我は東京でも度々会を開いているが、梅團治は本人が言ってるように東京ではこの会だけ。在京のファンにとっては唯一の機会だ。
同じ上方の噺家でも文我はサラリとしており、梅團治の方はコッテリとでも言おうか、芸風は対照的だ。

前座の小梅は梅團治の長男とのこと。落語家の二代目は成功例が少ないが、果たしてどうなるか。

文我『癪の合薬』、元々は『茶瓶ねずり』という上方落語で、東京では『やかんなめ』。以前は珍しいネタだったが喜多八がかなり頻繁に高座に掛けていて、東京で今ではすっかりお馴染みの演目になってしまった。
ストーリーは東京とほぼ同じで、舞台が船場の嬢(いと)はんが娘さんを連れて、箕面(みのお)の滝に向かう途中という設定だ。文我の噺で嬢さんが癪を起した時になめるヤカンはアカ(銅製)とのこと。とすれば表面は酸化して緑青になっている可能性がある。緑青はかつては猛毒とされていたが、今では否定されている。主成分は銅の炭酸塩なので、もしかすると気付薬の効果-ある種のアレルギー反応による-があるのかも知れないと思った。
文我の高座は、舐めさせてくれと頼まれた侍の怒りと戸惑いを、お供の可内(べくない)の嘲笑によって際立たせていた。

梅團治『野崎詣り』、このネタを聴くのは師匠・春団治の高座に次いで2度目となる。春団治の正に春風駘蕩ともいうべき高座とは随分と違った印象だったが、舟の上の喜六と清八二人のドタバタぶりがより強調されていて、これはこれで面白かった。土手の上を歩く相合傘の男の粋さは師匠には敵わない。

文我&梅團治『爆笑対談』、やはり中身は亡くなった春団治に関する思い出やエピソードが主となった。29歳で3代目を襲名した春団治に、酔った米朝が春団治を継ぐならもっと持ちネタを増やせと説教した事があったそうだ。酔って寝込んだ米朝が眼を覚ますと枕元に春団治が正座しており、ネタを教えてくれと頭を下げた。それに応えて米朝はいくつかネタを教えたが、その一つが米朝一門の門外不出とされていた『代書』だった。春団治が十八番にすると米朝は高座に掛けなくなったそうだ。同様のネタに『親子茶屋』『皿屋敷』などがある。上方落語四天王と呼ばれた方たちの友情と切磋琢磨ぶりを伝えるエピソードである。
春団治といえば羽織であるが、綺麗に脱ぐために羽織の袖を長めにしていたそうだ。一流の芸人を目指すならそうした細かな事まで工夫をせねばならないのだろう。

梅團治『昭和任侠伝』、プログラムには2代目桂春蝶の新作と書かれているが、調べてみると桂音也(アナウンサーで枝雀の弟子だった事がある)の創作のようだ。
ストーリーは、男が東映の任侠映画を見過ぎてすっかり任侠道に憧れ、高倉健まがいの恰好で街を闊歩するが一向にサマにならない。ヤクザは彫り物をしなくっちゃと刺青を入れに行くがあまりの痛さに逃げ帰る。刑務所に入らなくては箔が付かないとわざわざ窃盗をするが、バナナ1本じゃ警察の相手にしてくれない。しかも男の家は八百屋ときてる。これじゃ任侠になれないと家に戻ると真っ暗だ。
「ああ、おっ母さん、 右も左も真っ暗闇じゃあござんせんか」
「アホンダラ! 今停電じゃ」
でサゲ。
健さんや鶴田浩二、藤純子(『緋牡丹お竜』が色っぽかったね)らが活躍した任侠映画のパロディになっているので、若い人にはピンと来ないかも知れない。
主人公の男と梅團治が二重写しになっているようで、楽しい高座だった。

文我『住吉駕籠』、手元にある桂吉朝のCDとほとんど同じ演出で、このネタの教科書の様な高座だった。

最後に謎かけ、「文我の独演会」と掛けて「インドネシアの民謡」と解きます。
そのココロは、「ブンガサンソロ」。
くだらねぇ。

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