テアトル・エコー「8人の女」(2016/3/29)
テアトル・エコー SIDE B 『8人の女』
日時:2016年3月29日(火)14時
会場:恵比寿・エコー劇場
<スタッフ>
作:ロベール・トマ
翻訳:上原一子
上演台本・演出:小山希美
<キャスト>
南風佳子/ギャビー:この家の主マルセルの妻
寺川府公子/シュゾン:長女
おまたかな/カトリーヌ:次女
丸山裕子/マミー:母親
小野寺亜希子/オーギュスティーヌ:マミーの娘
渡辺真砂子/シャネル:年配のメイド
中芝綾/ルイーズ:若いメイド
薬師寺種子/ピエレット:マルセルの妹
【ストーリー】
舞台は1950年代のフランス。
雪に閉ざされた山奥の邸宅に、長女シュゾンが休暇のためイギリスから帰ってきた。皆が再会を喜ぶ中、この家の主マルセルの姿だけ見えない。 メイドのルイーズが朝食を部屋に持っていくと、マルセルは背中を刺されて死んでいた
マルセルは経営者で資産家。彼の死は、この屋敷にいる8名の女性全員に何らかの利害関係を生じる。おまけに外部から侵入した形跡がなく、犯人はこの8名の女性の誰かに絞られる。
お互いが疑心暗鬼のなか、それぞれが抱えていた秘密が次々と暴かれてゆき、それぞれが殺人の動機を持っていることが明らかになる。
やがて事件の意外な真相が・・・。
ミステリー劇である。雪に閉ざされた山奥の一軒家での密室殺人とくれば、かつてのミステリーの定番だった。
作者のロベール・トマの作品は「笑いとサスペンス」「終幕のどんでん返し」が特徴とのことだが、本作品もその特徴が十分に生かされている。
ここに登場する女性たちは年齢が10代の娘からその祖母までと幅広い。母親世代の中年女性たちも富豪と結婚し幸せな生活を送る者、結婚できずに独身でいる者、身を持ち崩して金に困っている者と、立場が異なる。
二人の娘も長女の方は英国に留学、次女はいつまでも子ども扱いされ不満を抱えている。
メイドの二人も、主人夫妻に長く仕え忠実な者と、最近雇われてきた奔放な性格の者と別れる。
祖母はといえば、老後の資金を抱えていて子供たちに渡そうとしない。
現代に生きる女性たちも、そのどれかに当てはまりそうな設定になっている。国も時代も違うが、観客にとっては共感が得られるだろう。
また劇には登場しないが、屋敷の主マルセルとその共同経営者の男性もミステリアスな存在だ。
いかにも「テアトル・エコー」らしい楽しい舞台を見せてくれた。
出演者では妻のギャビー役のいかにも資産家の奥方らしい南風佳子の演技と、メイドのルイーズ役の中芝綾のコケティッシュな演技が光る。
公演は30日まで。
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