« 【書評】不破哲三「スターリン秘史―巨悪の成立と展開(5)」~「シベリア抑留」は日ソの合作~ | トップページ | 待ってまっした!「らくご・古金亭ふたたび」(2016/3/14) »

2016/03/13

国立能楽堂3月「空腕・田村」(2016/3/12)

3月普及公演「空腕(そらうで)・田村」
日時:2016年3月12日(土)13時
会場:国立能楽堂
一昔前になるが、
♪東京の屋根の下に住む
若い僕等は幸せ者♪
という歌が流行った。確かに東京周辺に住んでいると幸せだと感じるのは色々な催し物が自由に見られるという事だ。歌舞伎を見に行くと遠く離れた地域から飛行機や新幹線で来ている方に出会う。宿泊を伴う事もあって、入場料より交通費の方が遥かに高いだろう。そういう点では東京周辺に住んでいる人はとても恵まれているわけだ。そうした地の利を生かさぬ手はない。
数年前に初めて能・狂言を見に行き、年に1度くらいのペースで国立能楽堂に足を運んでいる。知識は全くなく理解できない所も多いのだが、それでも魅力を感じたからだ。
歌舞伎同様に、劇評といったものでなく(元々書けないし)、能や虚言の魅力を少しでも伝えることが出来たらという思いで記事を書いている。
<   番組  >
『解説・能楽あんない 春の「勝修羅」―「田村」と清水寺縁起』  
田中貴子(甲南大学教授)
『狂言 空腕』(大蔵流)
シテ/太郎冠者:大藏千太郎
アド/主   :大蔵喜誠
『能 田村』(喜多流)
前シテ/童子
後シテ/坂上田村麿:大村定
ワキ/旅僧    :高井松男
アイ/清水寺門前の者:善竹大二郎
笛 :松田弘之
小鼓:曽和鼓堂
大鼓:亀井実
ほか

『狂言 空腕』のあらすじは「ジャポニカ」より引用
【太郎冠者狂言。暮れ方、主人は太郎冠者(シテ)に淀で魚を求めてくるよう言いつける。臆病な太郎冠者は主人の太刀を借りて出かけるが、京都市中を出外れると、ちょっとした物影にもおびえ、人のいない闇へ太刀を差し出して助けを請う始末である。あとをつけてきた主人がこれを見て太刀を取り上げ、扇で打つと冠者は気を失ってしまう。やがて正気に戻った冠者は帰宅して主人を呼び出し、淀へ行く途中大ぜいの賊に会い、さんざん戦ったが、太刀が折れたので逃げ帰ってきたと、でたらめの武勇談を並べ立てる。事実を知っている主人は存分にしゃべらせたのちに、太刀を見せて、冠者の臆病ぶりをしかる。冠者の仕方話による空腕立(そらうでだて)(偽りの武勇自慢)が見どころ。】
狂言は昔のコントと思えば良い。笑いをテーマにしているので初心者でも分かり易く楽しめる。
現在でも武勇伝を人に語りたがるヤツがいるが、大抵はホラ話が多い。そういう時に事実を知っていて鼻を明かしてやったらさぞかし痛快だろうなと思う。だから今に置き換えても十分に通用するシチュエーションだ。
ただ、この主と太郎冠者の主従はお互いが理解し合っている間柄なので、見ていても微笑ましい。
太郎冠者の前半の臆病ぶりt、後半の奮戦ぶりの所作の対比が面白い。

『能 田村』のあらすじは「the能ドットコム」の演目紹介より引用
【東国の僧が都に上り、春のある日、清水寺を訪れました。そこで箒を持った少年と出会い、聞けば、地主権現に仕える者であると応えます。清水寺の来歴を尋ねる僧に、少年は、坂上田村麿が建立した謂れを語りました。また問われるまま、少年が近隣の名所を挙げるうちに日は暮れ、やがて月が花に照り映える春の宵を迎えます。少年と僧は「春宵一刻値千金」の詩文を共に口ずさみ、清水寺の桜を楽しみます。少年は折からの景色を讃えながら舞いを添え、田村麿ゆかりの田村堂という建物に入っていきました。
残された僧の前に清水寺門前の者が現れて、清水寺の縁起を語り、少年は田村麿の化身だろうと述べ、回向を勧めます。夜半、僧が法華経を読誦していると、武者姿の田村麿の霊が現れます。田村麿はかつて、鈴鹿山の朝敵を討ち、国土を安全にせよ、との宣旨を受けて、軍勢を率いて観音に参り、願をかけたことを語ります。その後、見事に賊を討ち果たした有様を見せて、これも観音の仏力によるものだと述べて、物語を終えます。】
私にとっての能の最大の魅力は「囃子」を聴くことだ。この日は笛、小鼓、大鼓の3拍子だったが、この音とリズムが何とも言えない。正直云って途中で眠ることもあるが、この音だけは耳に響いているのが不思議だ。夢と現実を流離いながら音だけは常に聴いているという世界が、私のとっての「能」だ。
ストーリーを理解するには舞台を観ただけでは分からない。事前にストーリーや見所を調べておいた方が良い。
この演目は勝修羅の一つだそうで、「勝修羅」とは勝ち戦の武将を主人公とする修羅能のこと。
前半と後半で大きく分かれ、前半は清水寺の花景色「春宵一刻」の景色が描かれる。後半は一転して武者姿の田村麿が登場し敵をなぎ倒した往時の勢いを物語る。
舞も前半は優雅に、後半は勇壮な舞が楽しめる。

そういう訳で、一度能楽堂に足を運び「能・狂言」を楽しんでください。

|

« 【書評】不破哲三「スターリン秘史―巨悪の成立と展開(5)」~「シベリア抑留」は日ソの合作~ | トップページ | 待ってまっした!「らくご・古金亭ふたたび」(2016/3/14) »

演劇」カテゴリの記事

コメント

直江津駅前の居酒屋で地元の教員風の人たちが国立博物館の展覧会に行こうか、と迷っているのを見て私は無駄に東京に住んでいるなあと思ったことでした。

投稿: 佐平次 | 2016/03/14 11:14

佐平次様
そう言えば私も上野の博物館、美術館には久しく行ってないですね。反省です。

投稿: ほめ・く | 2016/03/14 14:11

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 【書評】不破哲三「スターリン秘史―巨悪の成立と展開(5)」~「シベリア抑留」は日ソの合作~ | トップページ | 待ってまっした!「らくご・古金亭ふたたび」(2016/3/14) »