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2016/03/04

国立演芸場3月上席(2016/3/3)

国立演芸場3月上席の3日目へ。落協の芝居で顔づけが良いのと、この日は休演代演がいなかったからだ。平日の昼だが客の入りは良かった。
入り口で雛あられが配られ、今日は雛祭りだったんだと気付く。客席から「これが目当てで来たのよ」という声が聞こえた。やはり3月になると何となく華やいだ気分になる。

前座・桃月庵はまぐり『堀の内』
<  番組  >
古今亭志ん八『狸賽』
隅田川馬石『金明竹』
柳家紫文『俗曲』
入船亭扇辰『道灌』
柳家小里ん『二階ぞめき』
─仲入り─
花島世津子『奇術』
金原亭馬の助『相撲小咄&百面相』
ロケット団『漫才』
五街道雲助『幾代餅』

同じ落語を聴きに行くんでも「00落語会」「00独演会」というと噺を聴きに行く、「寄席」となると楽しみに行く、或いは芸人を見に行くという風に、目的が違ってくる。
但し、この日の様な顔づけとなるとやや噺を聴く方に傾いてしまう。

志ん八『狸賽』、「ほんわか」と形容したくなる独特の語り口で客席をなごませる。この人の古典は初めて聴いたが味わいがあって良い。
馬石『金明竹』、兄弟子の白酒が物真似をするが、身体を前のめりにして手を前に伸ばすポーズが特長。こちらは「ふんわり」という形容が当てはまるようだ。本来は道具七品の口上を立て板に水に様に言い立てる所が見せ場だが、馬石だとテンポがやや緩やかになる。後半の主人と女房とのトンチンカンなヤリトリにこの人のトボケタ味が出て受けていた。
扇辰『道灌』、前座が『堀の内』を掛けたせいか真打の前座噺が続く。もっともこのネタも扇辰クラスが演ると俄然恰幅が良くなる。
小里ん『二階ぞめき』、手元にあるCDで談志がマクラで小里んの高座を誉めているのがある。1980年の高座だから小里んは二ツ目時代だ。師匠の芸を引き継いでおり「これで(師匠の)小さんはいつ死んでもいい」と憎まれ口を叩いていた。およそ談志とは正反対の芸に思えるのだが、それだけ小里んへの評価が高かったのだろう。アタシはというと、この人に着目し出したのは最近になってからだ。風貌も語りも5代目小さんによく似てるが、廓噺や芝居噺を得意としている。この日も志ん生流のマクラで吉原の情景やしきたり、「素見」を「ひやかし」と読ませる語源の解説から入り、若旦那の道楽が女郎買いではなく吉原のひやかし(騒き)にあると分かって番頭がカシラに頼んで2階に吉原の街並みを設えるというストーリー。江戸風の粋な世界を描いているので語りにもう少し艶が欲しいと思った。
花島世津子『奇術』、全身縛られたまま客のスーツと入れ替わるマジックはお見事。
馬の助『相撲小咄&百面相』、百面相なんて、今どきこの人ぐらいしかやらないだろうね。
ロケット団『漫才』、久々だったが以前に比べ覇気が薄れたような気がした。
雲助『幾代餅』、中トリの小里んのネタと呼応したような演目だった。『紺屋高尾』と類似のストーリーだがこちらは古今亭のお家芸。いずれも実話とされている。夢の様な物語に見えるが、十分にリアリティがある。いずれも来年には年季が明けるのだが身の振り方が決まっていない。このまま吉原に留まろうとするならスタッフとして残るか、或いはグレードを落とした店で花魁を続けるかしかないのだろう。金持ちのお囲い者になるのも気が向かないしと思っていたら、一途な思いの若者が現れた。よし、思い切って堅気の女房の道を選ぼうと決心したのも肯ける。高尾も幾代も相手を選ぶ眼に狂いはなかったわけだ。かくして二人とも幸せな人生を歩みましたとさ、というサクセスストーリーなのだ。
雲助の高座では清蔵から真実を打ち明けられた幾代が割合あっさりと清蔵の嫁にしてくれと申し出るが、上記の事情を考慮すれば無理はない。しかし告白された清蔵はそれこそ天にも登る気持ちですっかり腑抜けになってしまう。男って純情だね。
相変わらず人物の演じ分けも巧みに、雲助は楽しい高座を見せてくれた。

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寄席・落語」カテゴリの記事

コメント

およそ弟子は師匠の芸に似るもんです。
ところが、談志は小さんに似ていません。曰く、落語界の七不思議、とか。

その小さんの無駄を省く芸の継承者である小里んを高く評価していた談志は、
若き雲助も「このコには江戸の風が吹く」とほめていたそうです。
自分とは違う、飾りっ気のない後輩を評価していたようです。

投稿: 福 | 2016/03/04 20:56

福様
談志は小里んの高座について、「ああじゃなきゃ、いけねぇんだけど」と言ってます。改めて談志のCDを聞き返した、この人の大きさを感じています。

投稿: ほめ・く | 2016/03/04 21:55

ほんとにいいメンバーですね。
行けるかなあ。

投稿: 佐平次 | 2016/03/05 11:18

当方、この日の国立演芸場に足を運びました。
滅多に聴かない真打ちの前座噺、今まで聴く機会がなかった雲助の幾代餠が聴けたのが収穫でした。因みに翌日4日目夜の部にも行きましたので、演目だけでも報告致します。
前座 三遊亭わん丈 無精床
《番組》
真田小僧 古今亭志ん松
元犬 隅田川馬石
三味線漫談 柳家紫文
加賀の千代 (代演) 入船亭扇治
鉄の男 (代演) 柳家小ゑん
仲入り
奇術 花島世津子
手紙無筆~百面相~ 金原亭馬の助
漫才 ロケット団
夜鷹そば屋 五街道雲助

投稿: ぱたぱた | 2016/03/05 11:59

佐平次様
これでシルバー割引で1300円、おまけに雛あられをお土産に貰ったんじゃ申し訳ないくらいです。

投稿: ほめ・く | 2016/03/05 12:57

ぱたぱた様
よくご一緒になりますね。客席を見渡し色の黒い目付きの悪い男がいたら、それが私だと思って下さい。そう書いたら本当に声を掛けてきた方がいて、ビックリしましたけど。

投稿: ほめ・く | 2016/03/05 13:06

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