« 募金は黙ってすべし | トップページ | #43三田落語会・昼「権太楼・喜多八」(2016/4/23) »

2016/04/22

四月大歌舞伎・昼(2016/4/21)

四月大歌舞伎・昼の部
日時:2016年4月21日(木)11時
会場:歌舞伎座

一、『松寿操り三番叟』(まつのことぶきあやつりさんばそう)
< 配役 >
三番叟/染五郎
後見/松也

二、『不知火検校』(しらぬいけんぎょう)
宇野信夫 作・演出
今井豊茂 脚本
「沖津浪闇不知火」
浜町河岸より横山町の往来まで
<   配役   >
按摩富の市後に二代目検校/幸四郎
生首の次郎後に手引の幸吉/染五郎
奥方浪江/魁春
指物師房五郎/錦之助
湯島おはん/孝太郎
手引の角蔵/松江
丹治弟玉太郎/松也
若旦那豊次郎/廣太郎
娘おしづ/児太郎
富之助/玉太郎
魚売富五郎/錦吾
初代検校/桂三
因果者師勘次/由次郎
夜鷹宿おつま/高麗蔵
検校女房おらん/秀調
岩瀬藤十郎/友右衛門
鳥羽屋丹治/彌十郎
母おもと/秀太郎
寺社奉行石坂喜内/左團次

三、新古演劇十種の内『身替座禅』(みがわりざぜん)
岡村柿紅 作
<  配役  >
山蔭右京/仁左衛門
太郎冠者/又五郎
侍女千枝/米吉
同 小枝/児太郎
奥方玉の井/左團次

4月の歌舞伎座は松本幸四郎と片岡仁左衛門を中心とした芝居で、その昼の部へ。
一、松寿操り三番叟
三番叟というのは元々は能からきたもので、歌舞伎では一幕ものの歌舞伎舞踊として演じられる。
この演目は「操り三番叟」で、操り人形に似せて踊るコミカルなもので、糸が切れたり縺れたりしながら軽快に踊る。
寄席が好きな人なら雷門助六の操り踊りを連想すれば分かり易い。
二、不知火検校
江戸時代の按摩は細かな階級に別れており、その階級も金銭で上級に進むことが出来たらしい。加えて幕府が盲人の自立を図るため彼らに高利貸しを許した。按摩の最高位である検校も修行というよりは高利貸しで稼いだ人物が資格を得るケースがあったようだ。
芝居に出てくる按摩がしばしば悪役なのはそのためと思われる。
「世の中の人の心を分析すれば 色気三分に欲七分」という都々逸があるが、この演目の主人公である富の市は文字通り色欲と金銭欲の塊りだ。歌舞伎に出て来る悪人は数あれど、これほど冷酷で徹底した悪人は少ない。
生れながらの盲人である富の市は不知火検校の弟子となって按摩の修行に励むが、金銭欲と色欲のために無法者の生首の次郎や鳥羽屋丹治・玉太郎兄弟の手を借りながら悪事を重ね、遂には師匠であり親代わりでもあった不知火検校夫婦を殺害し、財産を奪う。やがて2代目不知火検校となって権力と富を手に入れ、意中の女・おはんを恋人房五郎から奪い妻にする。おはんが房五郎への思いを断ち切れないと知るやこの二人も殺害。次いで江戸城の金蔵を破ろうと番がしらの藤十郎に近づき、その奥方だった浪江も殺害する。
しかし数々の悪行は寺社奉行の知る所となり、不知火検校は仲間と共に捕縛されてしまう。
終幕で,捕縛された検校が群衆に石を投げつけられ血まみれになりつつ,「・・・お前達はちっぽけな胆っ玉に生まれついたばっかりに己のような真似ができず,せいぜい祭りを楽しむのが関の山…」と嘲笑する場面が印象的だ。
典型的なアンティヒーローで、歌舞伎狂言ではお馴染みの儒教精神を逆さまにした人物として描かれている。
検校を演じた幸四郎は舞台に「悪の華」を見事に咲かせていた。また新内の弾き語りを聞かせたり、座頭市の真似を見せたりの大サービス。
三、「身替座禅」
元は「花子」(はなご)と言う狂言だが、歌舞伎に取りいれられて「松羽目物」(まつばめもの)の所作事として演じられる。舞台の背景が能舞台と似た松の木が描かれ、衣装も狂言と同様のものが使われる。
大名の山蔭右京は、愛人の花子がはるばる都へやって来たことを知り、なんとか会いたいと思うが、奥方の玉の井が片時もそばを離れようとしない。そこで右京は一計を案じ、邸内の持仏堂で一晩座禅する許しを得ると、家来の太郎冠者を自分の身替りにして花子の元へと向う。しかし、この事が玉の井に知られてしまい、今度は玉の井が太郎冠者と入れ替わる。翌朝、花子の元から戻ってきた右京は昨夜の楽しみをタップリ語ると、なんと座禅していたのは奥方の玉の井。怒りに燃える奥方の前でただただ恐怖に震える右京。
ここでは二枚目の立役が多い仁左衛門のコミカルな演技が見ものだ。

目出度い踊りの後は悪の華の芝居、そして最後はコミカルな所作事と演目のバランスが取れていた。
何より「不知火検校」の幸四郎の演技が素晴らしかった。

|

« 募金は黙ってすべし | トップページ | #43三田落語会・昼「権太楼・喜多八」(2016/4/23) »

演劇」カテゴリの記事

コメント

いただいたコメントに背中を押されて、昨夜、5月団菊祭の3階を予約しました。
気が変わらないうちにと。

投稿: 佐平次 | 2016/04/22 10:30

私の方は、團菊祭では前方の席が取れそうにないので見送りました。やはりスゴイ人気の様です。
佐平次さんの劇評を楽しみにしています。

投稿: ほめ・く | 2016/04/22 11:01

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 募金は黙ってすべし | トップページ | #43三田落語会・昼「権太楼・喜多八」(2016/4/23) »