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2016/04/24

#43三田落語会・昼「権太楼・喜多八」(2016/4/23)

第43回三田落語会・昼席「権太楼・喜多八」
日時:2016年4月23日(土)13時30分
会場:仏教伝道センタービル8F
<  番組  >
前座・春風亭一花『金明竹』
柳家権太楼『笠碁』
柳家喜多八『居残り佐平次』
~仲入り~
柳家喜多八『愛宕山(後半)』
柳家権太楼『死神』

以前の記事で、喜多八の健康状態について何か言うのをやめようと書いたが、やはり触れずにはいられまい。この会場は幕も緞帳もないので、板付きができない。私も含めて多くの観客の眼が、喜多八がどうやって高座に上がってくるのか注視していた。身体の大きな前座に支えれるようにしてゆっくりと高座に上がり、支えられながら腰を下ろし、介添えの前座が下りてからお辞儀をして口演が始まる。場内は一瞬、溜め息の後に盛大な拍手で迎えた。
冒頭に、薬のせいで食欲がなく食べられないと言っていたが、この日はさらに痩せて見えた。声がややかすれ気味で、少し聞き取りづらい部分もある。座り続けるために尻の下にトイレットペーパーのロールを敷いていると、本人から説明があった。
恐らく、行き着く所まで高座を続ける心算だろう。ファンは、それをじっと見守るしかない。

権太楼『笠碁』
マクラで来年に70歳になることに触れ、年を取ると若い頃に熱中してものがどんどん無くなってゆくと語っていた。そう言えば志ん朝も晩年同じ様な事を言ってたっけ。今は盆栽いじりに興味を持ち、すっかり爺さんになってしまったとか。
『笠碁』の演じ方には2種類あり、喧嘩別れした相方の主が家の前をウロウロするのをもう片方の主が目で追う演じ方が一つ。もう一つは編み笠をかぶった相方の主が雨に濡れながら相手の玄関先を往ったり来たりする演じ方だ。権太楼の高座は師匠・5代目小さん譲りの後者で、さらに相手の主の表情が気になって首を左右に振りながら往復するという演じ方を採っている。その分、権太楼らしい笑いの多い演出だ。
この噺をする時のポイントに、演者が碁が打てるかどうか石の置き方で分かるという説があるが、果たして権太楼はどうだったか。

喜多八『居残り佐平次』
体力的にやや心配だったが、ノーカットでサゲ(サゲは通常とは異なる)まで演じ切った。佐平次と若い衆のヤリトリでは少々息切れを感じたが、後半の佐平次がお客に取り入り人気者になってゆくくだりでは、喜多八の愛嬌が存分に示された。

喜多八『愛宕山(後半)』
体力か、あるいは時間の関係からか、身体を使う前半をカットし、後半のカワラケ投げからサゲまで演じた。このネタでも幇間の一八の造形が良く、楽しく聴かせていた。

権太楼『死神』
マクラで、若い頃は志ん朝や談志に憧れああいう噺家になりたいと願っていたが、70歳近くなって見ると今は圓歌や金馬のようになりたいと思うようになったとか。「長生きも芸のうち」とは歌人の吉井勇(権太楼は久保田万太郎と言ってたが誤りだ)が8代目文楽に贈った言葉だが、権太楼のそういう域に達したようだ。
このマクラは喜多八を意識したものだったようにも思われた。
ネタに入って貧乏神を追い払う呪文の最後に「圓歌と金馬は長生きだ」を付け加えていた。
全体としてオーソドックスな演じ方で、サゲは圓生流だった。権太楼の手に掛かると貧乏神まで可愛く見えてくる。

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コメント

観るのはつらいし、がんばっているから観てあげたいし、治らないのか!
死神の描写で「こりゃあきついなあ」と思いましたら「歌丸に似ている」と、権太楼が気を使ったようでますます辛かったです。
次回の切符を買って一番最後に出たら、権太楼が歩いていました。
かなり疲れているようで、お疲れさまと言ったのに対しての「おつかれさまあ」も力がなかったのが気になりました。

投稿: 佐平次 | 2016/04/24 10:05

佐平次様
そう言われれば権太楼もいつもの覇気が無かったようです。喜多八への気遣いでしょうか。

投稿: ほめ・く | 2016/04/24 16:23

私もこの会に行っておりました。おっしゃるとおり、喜多八が3カ月前より更にげっそりしていて、びっくりしました。せめて弟子のろべえの来春真打ち昇進披露興行まではもってほしいですが。噺に迫力が漲っているだけになぁ・・
と思ってしまいました。

投稿: ぱたぱた | 2016/04/24 16:39

ぱたぱた様
あまり高座では弱音をはかない喜多八ですが、昨日は辛そうに見える時もありました。
本当は身体を休めて欲しいのですが、こればかりは本人の意志でどうしようもありません。

投稿: ほめ・く | 2016/04/24 16:53

ほめ・くさんや、佐平次さんのブログを、病院で拝見しております。
明後日には退院予定なので、もうじき、旨い酒が飲めることだけを希望として(?)頑張っております。

喜多八、入っている予定が「例年以上ではないか?」、と思うくらいたて込んでいますよね。
だから、お二人のブログを拝見していても、辛い・・・・・・。

それが権太楼に伝染しているのか、彼も体調が万全ではないのか、なかなかに客を悩ませる二人会だたようですね。

ほめ・くさんが「笠碁」で評された二つの型のうち、前者の「目」の演技は、三代目小さん→七代目可楽→三代目小円朝と継承されたものかと思います。
 飯島友治さんの本では、小円朝が十八番としている間は、他の噺家が手掛けなかった、とのこと。
 さて、当代では誰がその芸を継承できるのでしょうね。
 つい長文にて、失礼しました。

投稿: 小言幸兵衛 | 2016/04/24 19:09

小言幸兵衛様
手術が無事成功して間もなく退院とのこと、おめでとうございます。私の妻はこれからです。
権太楼は、この会ではまるでホームグランドの様に気楽な気持ちで自分をさらけ出しているように見えます。そのためか時には脱線したり、気分や調子がそのまま高座に出ることが多い気がしてます。
喜多八、確かにピッチを上げて出演しているのだと思います。まるで生き急ぐかのように・・・。

投稿: ほめ・く | 2016/04/24 20:09

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