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« 【舛添会見】「金を返せば全てチャラ」って、ヘンじゃないか | トップページ | #49上方落語会@横浜にぎわい座(2016/5/15) »

2016/05/15

小三治と喬・文・朝(2016/5/14)

「柳家小三治と喬・文・朝」
日時:2016年5月14日(土)13時30分
会場:東京芸術劇場 プレイハウス
<  番組  >
前座・柳家小はぜ『道灌』
春風亭朝也『唖の釣り』
柳家喬太郎『稲葉さんの大冒険』
~仲入り~
古今亭文菊『厩火事』
柳家小三治『青菜』

小三治が言っていたが珍しい落語会だ。出演者の取り合せが妙でこういうタイトルになったんだろう。コンサート会場の作りの場内は一杯の入り。女性ファンが目立つ。

朝也『唖の釣り』、来春の真打昇進が決まった朝也、実力的にはもう少し早くても良かっただろうが、年功序列制なので致し方ない。兄弟子の一之輔とは対照的な真っ直ぐな芸で、実力者が揃う協会の中でこれから伸して行くのは、もう一つプラスαが欲しい所だ。

喬太郎『稲葉さんの大冒険』、円丈が喬太郎の師匠・さん喬のためにこさえた新作。タイトルの「稲葉」や名前の「稔」は、さん喬の本名。毎日正確な時間通りの生活を続けているサラリーマンの稲葉さんが、街で風俗店の宣伝ティッシュを受け取ったばかりに、その始末に困り公園で穴を掘って埋めようとしていた(無理のある筋)。そこへ犬の散歩に通りかかった老人が、穴を掘っているのは釣りが好きで土中のミミズを取っていると勘違いして持参のシャベルでさらに深く掘り多量のミミズを集めビニール袋に詰める。稲葉さんが当惑していると、ガーデニングに凝っていると思い込んで土を集めビニール袋に詰める。稲葉さんがその処置に困っていると、今度は松の木を切って稲葉さんの身体にくくりつける。松の木を抱いて腰のベルトにミミズと土の袋を括りつけた稲葉さんが自宅に戻ると妻が驚くと、誕生祝いだと(この日が稲葉さんの誕生日)だと言って言い訳をする。
不条理劇を見ているみたいな気分だが、実直だがどこか変人な稲葉さんはさん喬で、お節介で妄想癖のある老人が円丈なのかな。それとも喬太郎がモデルか。
この日の客層を見てこのネタを選択したものと思われるが、老人が稲葉さんに松の木を括りつける場面で、桂枝雀の『宿替え』での荷造りと同じ手さばきを披露するなど、観客を喜ばせていた。
大した面白いネタとも思えぬが、喬太郎は客層を見てその日の観客の気分を掬い取るのが上手い。それで今日の地位を築いたか。

文菊『厩火事』、伸び盛りの若手の高座というのは、見る度に進歩が感じられる。文菊が描くお崎は亭主が可愛くてしょうがない。亭主が道楽の茶碗を眺めている横顔が純粋な少年の様だと、ウットリとしてしまう。いくら邪険にされても、たまに優しい言葉でも掛けられようものなら、それだけでご満悦。このお崎の年増女のこぼれんばかりの色気が高座に滲み出ていた。強弱を付けた語りも巧みで結構でした。

小三治『青菜』、この噺のキモは前半のお屋敷の様子と、後半の植木屋の長屋の様子との対比にあると思う。前半はゆったりと時間が流れ、後半はたたみ込む様に時間の流れが早くなる。小三治の高座はさすがにこの対比が巧みで、後半の植木屋と大工との珍妙な会話を軸に会場を沸かせていた。
細部では、屋敷の主人が植木屋に酒を勧める場面で、主人が猪口で二口飲んだ飲み残しの柳影の徳利を植木屋が受け取って手酌でグラスに注いでいたが、二人の位置関係をリアルに示していると思った。

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コメント

いい顔ぶれでしたね。
「青菜」の季節か、早すぎる光陰。

佐平次様
バランスの取れた会でした。そうなんです、落語の世界ではもう『青菜』の季節になりました。

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