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2016/05/18

前進座「東海道四谷怪談」(2016/5/17)

『東海道四谷怪談』
日時:2016年5月17日(水)11時
会場:国立劇場

作:鶴屋南北
台本:小野文隆
演出進行:中橋耕史
<  主な配役  >
河原崎國太郎:お岩/小仏小平/茶屋女おもん/小平女房お花
嵐芳三郎:民谷伊右衛門
藤川矢之輔:直助権兵衛
忠村臣弥:お袖
瀬川菊之丞:佐藤与茂七
武井茂:お岩の父四谷左門
松涛喜八郎:伊藤喜兵衛
山崎辰三郎:後家お弓
本村祐樹:孫娘お梅
益城宏:秋山長兵衛
姉川新之輔:伊右衛門母お熊
柳生啓介:按摩宅悦

前進座創立80周年記念公演は鶴屋南北の最高傑作『東海道四谷怪談』で、1982年以来実に34年ぶりの上演となる。
前進座はかなり以前から國太郎が中心になっていて、女形が主人公になる狂言が多い。この芝居もいつ上演するか楽しみにしていた。
ストーリーはお馴染みだが、以下にwikiの記事を引用しておく。

【元塩冶藩士、四谷左門の娘・岩は夫である伊右衛門の不行状を理由に実家に連れ戻されていた。伊右衛門は左門に岩との復縁を迫るが、過去の悪事(公金横領)を指摘され、辻斬りの仕業に見せかけ左門を殺害。同じ場所で、岩の妹・袖に横恋慕していた薬売り・直助は、袖の夫・佐藤与茂七(実は入れ替った別人)を殺害していた。ちょうどそこへ岩と袖がやってきて、左門と与茂七の死体を見つける。嘆く2人に伊右衛門と直助は仇を討ってやると言いくるめる。そして、伊右衛門と岩は復縁し、直助と袖は同居することになる。
田宮家に戻った岩は産後の肥立ちが悪く、病がちになったため、伊右衛門は岩を厭うようになる。高師直の家臣伊藤喜兵衛の孫・梅は伊右衛門に恋をし、喜兵衛も伊右衛門を婿に望む。高家への仕官を条件に承諾した伊右衛門は、按摩の宅悦を脅して岩と不義密通をはたらかせ、それを口実に離縁しようと画策する。喜兵衛から贈られた薬のために容貌が崩れた岩を見て脅えた宅悦は伊右衛門の計画を暴露する。岩は悶え苦しみ、置いてあった刀が首に刺さって死ぬ。伊右衛門は家宝の薬を盗んだとがで捕らえていた小仏小平を惨殺。伊右衛門の手下は岩と小平の死体を戸板にくくりつけ、川に流す。
伊右衛門は伊藤家の婿に入るが、婚礼の晩に幽霊を見て錯乱し、梅と喜兵衛を殺害、逃亡する。
袖は宅悦に姉の死を知らされ、仇討ちを条件に直助に身を許すが、そこへ死んだはずの与茂七が帰ってくる。結果として不貞を働いた袖はあえて与茂七、直助二人の手にかかり死ぬ。袖の最後の言葉から、直助は袖が実の妹だったことを知り、自害する。
蛇山の庵室で伊右衛門は岩の幽霊と鼠に苦しめられて狂乱する。そこへ真相を知った与茂七が来て、舅と義姉の敵である伊右衛門を討つ。】

よく知られるように『東海道四谷怪談』は『仮名手本忠臣蔵』と密接な関係があり、初演の際は両方の芝居が交互に上演された。いうなれば裏忠臣蔵だ。
武士は浪人になれば無職だ。これと言った特別の技能を持たない浪人たちの生活はさぞかし大変だったろう。まして家族がいれば余計だ。赤穂の浪士たちも討ち入りまでの期間、生活を維持するのは大変だったに違いない。忠臣蔵にはそうした苦労は一切描かれていないが、暮らしに困窮して悪事に手を出した者や、場合によっては妻や娘が遊郭に身を沈めたケースもあったかも知れない。そうした忠臣蔵の影の部分に光をあてた戯曲だろう。
この芝居に登場する人物は浪人、庶民の区別なく生きるために懸命になっている。
登場してくる女性たちは例外なく男どものために不幸になる。その最たる者がお岩だが、彼女は生前こそ慎ましい女性であったが、死んで幽霊になった後はこれでもかこれでもかとばかり伊右衛門らに復讐して苦しめる。もしかしたら南北は、当時の女性の表面的な慎まさと内面的な激しさをお岩の形を借りて表現したのかも。
この芝居は、そうした人々のエネルギーが全編にわたって横溢している。

出演者では主役の國太郎の存在感が圧倒的だ。お岩の儚さと幽霊になってからの激しさを見事に表現している。「髪梳き」「戸板返し」「提灯抜け」「仏壇返し」などの見せ場ではケレンの所作で観客を魅了していた。
この芝居は國太郎の奮闘公演である。
伊右衛門を演じた嵐芳三郎は、初役の「色悪」を見事に演じた。前進座の立役はこの人が担うことになろう。
矢之輔が気持ち良さそうに悪役を演じ、お袖役の忠村臣弥が幸せ薄い女性の姿を描いていた。

公演は22日まで。

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