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2016/05/09

#27大演芸まつり「落語協会五月まつり其の二」(2016/5/8)

第27回演芸まつり「落語協会 五月まつり 其の二」
日時:2016年5月8日(日)13時
会場:国立演芸場
<  番組  >
前座・柳家小はぜ『転失気』
春風亭一之輔『鰒のし』
桃月庵白酒『花色木綿』
林家たい平『七段目』
柳家権太楼『代書屋』
~仲入り~
口上(下手より一之輔、白酒、たい平、権太楼、さん喬、三遊亭金馬日本演芸家連合会長)
ロケット団『漫才』
柳家さん喬『笠碁』

日本演芸家連合主催の「大演芸まつり」は毎年5月1日より10日間、加盟団体が1日交代で演芸を披露しているが、落語協会だけは2日間の興行だ。理由はそうしないと10日間埋まらないからとのこと。出演者はオールスターキャストを揃えているのは、やはり会長出身団体だからか。金馬は口上で言っていたが、落語以外の大衆演芸は低調で頭を悩ましてるようだ。TVに出ては消えてゆく芸人をティッシュペーパーに例えていたが、ここは細く長くトイレットペーパーの様な芸人を目指して欲しい。
落協主催の会の2日目に出向く、前日とともに満席とのこと。この日は各演者に「待ってました!」「大統領!」などの掛け声がかかり、熱気に溢れていた。

一之輔『鰒のし』、甚兵衛さんが鰒のしの由来で地主に啖呵を切る前で切った短縮版だったが、会場を沸かせた。一之輔の高座の魅力は会話のリズムにあると思う。この日で言えば甚兵衛と他の登場人物とのセリフの応酬がまるでラップミュージックの様な軽快なリズムを構成している。「こんちは」「帰れ」/「金を・・」「無いよ」といった具合だ。それでいて全体としては大師匠の先代柳朝や師匠の一朝から受け継いだ「粋」が存在している。それも計算された芸ではなく、自然に醸し出す芸であり、そこが一之輔の凄い所だ思う。しばらくはこの快進撃は続くだろうが、その行く末は誰も分からない。

白酒『花色木綿』、一之輔の後に出るとこの人までが大人しく見えてしまう。前半をカットし、後半の泥棒が貧乏長屋に入る所からサゲまでを演じた。泥棒に入られた男が盗られてもいない品物を次々と並べ立て、いちいち「裏が花色木綿を」を繰り返すのを、これまた白酒独特のリズムで語っていた。

たい平『七段目』、「笑点」出演者でも日常の高座では番組について殆んど触れない人もいれば、必ずマクラやクスグリで番組の話題を入れる人もいる。たい平は典型的な後者で、この日も過去に何度か聴いた「笑点」のメンバーの健康診断をマクラに振っていた。ネタは十八番で、これまた何度も聴いているが、観客を喜ばせるツボは心得ていて大きな笑いと取っていた。

権太楼『代書屋』、今日は『鰒のし』を予定していたが既に出ているのでと断ってネタへ。この日は各演者ともに手堅く十八番を掛けたようだ。

ロケット団『漫才』
三浦昌朗(向かって左側のメガネの人)が骨折で手術、ようやく5月1日から寄席に復帰したばかりで、ギプスを巻いたままの痛々しい姿で登場。しばらくは入院中のエピソードを語った後はいつも時事ネタで。ロケット弾(団)の入院先が自衛隊中央病院というのも皮肉。

さん喬『笠碁』、いくつか疑問点があった。待ったをした方の主が両手を合わせて目でお願いするのは、大店の主人としての動作とも思えぬ。通常のサゲの後に再び碁を囲み、また待ったをする場面で終わらせたが蛇足に映った。ここは碁盤が濡れたのは相手があまりに嬉しくて笠をかぶったまま碁を打っていたという通常のサゲの方が良かった。
こういうネタは変に作り過ぎない方が良いと思う。

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寄席・落語」カテゴリの記事

コメント

たい平は『七段目』『湯屋番』がオハコですね。
女形の声色が得意で、会場を沸かせます。
愛嬌があるので、座が持つ感じだと思います。

一之輔の切り詰めた表現がラップのようなリズムを醸し、
しかも軽薄に流れず、一門特有の江戸の粋を守るというお話、
なるほどと思いました。

福様
たい平は愛嬌ですね。これは芸人にとって非常に大事な要素で、初代三平なぞは愛嬌だけで人気者になっていた感があります。
一之輔のセリフのリズム感に最近気が付きました。オリジナルをあれだけ改変させても破綻しないのは、そのためだと思います。

一之輔の出現が白酒をおとなしく見せる、まさにリアルに見せてくれたのですね。
大人しく見せても色あせて見えないように頑張ってほしいです。
さん喬「笠碁」のサゲについての感想、同感です。
ネタ名は楽屋の便宜メモだとしても今や「笠碁」は雨の日の鬱屈と風情を表現する日本文学の表題と言ってもいいくらいなものでもあるのですから。

佐平次様
白酒の強みは玄人の女性を描ける所でしょう。競い合ってお互いにより高みを目指して欲しいものです。
さん喬の高座では、こうした余計な改変に出会うことがあります。『笠碁』は失敗でした。

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