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2016/05/16

#49上方落語会@横浜にぎわい座(2016/5/15)

第四十九回「上方落語会~天満天神繁昌亭大賞受賞者の会~』
日時:2016年5月15日(日)14時
会場:横浜にぎわい座 芸能ホール
<  番組  >
開口一番・笑福亭笑利『平林』
笑福亭たま『おとぎ話殺人事件』
桂かい枝『明石飛脚』
林家染二『子は鎹』
~仲入り~
笑福亭鶴笑『パペット落語”立体西遊記”』
桂あやめ『営業一課の高田君』

にぎわい座での49回上方落語会は「繁昌亭大賞受賞者の会』と銘打って5名の噺家が出演。
各出場者の受賞歴は次の通り。
桂あやめ(第一回奨励賞)、林家染二(第二回大賞)、笑福亭鶴笑(第二回爆笑賞)、桂かい枝(第一回爆笑賞、第五回創作賞)、笑福亭たま(第二回輝き賞、第四回創作賞、第七回爆笑賞)
現在、多くの上方の噺家が東京で公演を行っているがいずれも個別で、この会は上方落語協会との提携で開かれている所に特長がある。

たま『おとぎ話殺人事件』、洋の東西に登場するお伽話(実際には幅広い人物が出てくるが)の登場人物が殺人事件に巻き込まれるというストーリーだが、筋そのものより「地口」の面白さで聴かせる。ショート落語を積み重ねた様なネタ。アタシはこの人の古典を評価しているのだが、最近は滅多に当らない。

かい枝『明石飛脚』、珍しい噺との事だが、手元にある米朝のDVDの「珍品落語集」に入っているので個人的にはお馴染みのネタだ。大阪から明石まで手紙を届けるのを頼まれた男が駆け足で明石に向かう。大阪ー明石間は15里と聞いていたので夕方までに着くと思って出発したが、この男道々で「大阪から明石まではどれくらいあります?」と訊くものだから答えはいつも「15里ぐらい」で、さっぱり目的地に近づかないと思い込む、やがて明石に着いて疲れて茶屋の床几に寝てしまい、起こされて男が、
「あっ。ここはどこです?」
「どこて、ここは明石やがな」
「明石~!あぁ~走るより寝てたほうが早い」
でサゲ。ここまでが本来の『明石飛脚』で、次に『雪隠飛脚』が続く。
明石から大阪への帰り、握り飯を懐にしたこの男、途中で便意を催し雪隠に入ると、途端に握り飯を下に落としてしまい、
「あ~近道をしよった!」
でサゲ。
次いで、『うわばみ飛脚』ではこの男が山道でうわばみに飲まれてしまう。だが、そのままうわばみの尻の穴から抜け出し逃げて行く。見送ったうわばみが、
「しもたぁ、褌しとけばよかったぁー」
でサゲ。
かい枝はハメモノをバックに走り続けて奮闘。奮闘にお疲れさまでした。

染二『子は鎹』、ご存知『子別れ・下』で、以前この手の噺は大阪では受けないとか、大工の熊からではなく女房の側から描いた『女の子別れ』として上演されていると聞いていたが、現在は上方落語もこの形で口演されているのだろうか。ストーリーは東京と同じで、よりお涙頂戴の人情噺風の色が濃くなっている。本編に入る前に『中』に相当する熊が女房と息子と別れ、馴染みの女郎を後妻に迎えるがこれが大失敗。ここでようやく目が覚め立ち直る所までが手際よく紹介されていたには親切だ。ここを省いていきなり『下』に行くと、熊がただの良い人になってしまう。
染二の高座は熊夫婦が再会する場面も情感たっぷりに演じたが、人によってはクサく感じたかも。

鶴笑『パペット落語”立体西遊記”』、マクラで前座修行の厳しさを語ったが、どうやら師匠というのはやたら弟子に無理難題を吹っ掛けるものらしい。そうした理不尽さに耐えた人間だけがこの世界に生き残れるものらしい。まあ師匠の性格にもよるだろうけど。そう言えば立川談春の所では、7人いた弟子が今は一人だけ(こはる、陰では猛獣使いとも呼ばれている)になっていると報じられている。どうやら「談春」という字は「無理偏に激怒」と書くようだ。鶴笑の高座は落語というよりは色物に近く、全身を使ったパペット落語で、これだけは実際に見て貰うしかない。海外に拠点を構えて公演していた時期もあったそうだが、この手法なら海外でも受けるのだろう。

あやめ『営業一課の高田君』、高座を見るのは20年ぶり位になるか、もうすっかりベテランになった。「かい枝君」なんて呼んでるもんね。20代というから30年ほど前に作った新作だそうだ。24歳までの絶対に結婚すると決めていた女性が見合いを予定していたのに好きな同僚の男性にあの手この手で告白するが失敗。処が見合いに現れた相手はくだんの男性でメデタシメデタシというストーリー。新作の泣き所は、時代と共に作品の背景がどんどん古くなり、観客とのズレが生じること。この作品も正にそうで、告白する手段が今や古色蒼然としている。元々の作品が出来が良いとは思えず、なぜ今になっても高座に掛けているのか理解に苦しむ。せっかくだから、古典を聴きたかった。

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