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2016/06/20

花形演芸会スペシャル~受賞者の会~(2016/6/19)

「花形演芸会スペシャル~受賞者の会~」
日時:2016年6月19日(日)18時
会場:国立演芸場

毎年恒例の「国立演芸場花形演芸大賞」の受賞者の演芸会が行われた。
平成27年度(2015年度)の各賞の受賞者は以下の通り。
〔大賞〕 蜃気楼龍玉
〔特別賞〕神田阿久鯉
〔金賞〕 三遊亭萬橘、笑福亭たま、ロケット団
〔銀賞〕 ホンキートンク、桂吉坊、瀧川鯉橋、古今亭文菊(当日休演)
複数の審査員が1年間の高座を採点して、点数の多い順から授賞者を決めるという方法で選出するルールとのこと。採点基準は「技芸が優れている」ということらしいが、それ以上の細かな事は分からない。
今年でいうと、大賞の蜃気楼龍玉は意外だった。過去の大賞受賞者を見ていくと、実力だけではなく人気度も加味されていると感じていたからだ。龍玉は人気という点では過去の受章者と比べ見劣りすると言えよう。そういう意味では、今年は実力本位で選んだと思われる。

<  番組  > 
前座・入船亭辰のこ『十徳』
瀧川鯉橋『犬の目』
桂吉坊『蔵丁稚(四段目)』
ホンキートンク『漫才』
笑福亭たま『火焔太鼓』
神田阿久鯉『天保六花撰ノ内”玉子の強請”』
―仲入り―
平成27年度 花形演芸大賞 贈賞式
<司会:桃月庵白酒>
桃月庵白酒『新版三十石』
三遊亭萬橘『看板のピン』
ロケット団『ロケット団』
蜃気楼龍玉『夏泥(置き泥)』

鯉橋『犬の目』、ここに登場する眼医者・シャボン先生は3分に一度は冗談を言って患者をなごませるという。医者が新しい冗談をいうと、患者が「もう3分たちましたか?」と訊くクスグリが面白かった。おそらく古典を新しい感覚で演じるのが得意かと思われる。軽いネタだが良い出来だった。
この花形演芸大賞での落語家の受賞者は、落語協会所属に偏っている。ここ10年位の記憶では、芸協で大賞を取ったのは三遊亭遊雀ぐらいだと思う。もっとも遊雀は直前までは落協に所属していたので、純然たる芸協出身とは言えない。芸協の噺家が総じて落協に劣るとも思えず、上を目指して頑張って欲しい。
吉坊『蔵丁稚』、時間の関係で短縮していたが、ネタのツボはしっかりと押さえていて、相変わらず結構な高座だった。忠臣蔵四段目の判官切腹の場面では、場内が水を打ったように静まった。この日の高座に限れば吉坊が大賞でも可笑しくない。
ホンキートンク『漫才』 、ボケ役の異常なハイテンションには付いていけない。
たま『火焔太鼓』 、マクラで『ショート落語』を披露して、場内を爆笑させてネタへ。アタシが一番面白かったのは「シンクロナイズド・ドリアン」。『火焔太鼓』 だが、たまに言わせると「こんなとこ、いらんと違うかな」という箇所がいくつか有り、そこを削って11分で仕上げた。確かに噺のエッセンスは詰め込まれており、300両ときいた道具屋のおかみさんがオシッコをちびりそうになり、オマルにまたがるというギャグを入れたのと、サゲを変えていたが、面白く聴かせていた。いくつかカム場面があったのが残念。
阿久鯉『天保六花撰ノ内”玉子の強請”』 、講釈の中身を勝手に分けてみると、英雄豪傑を描くヒーローもの、侠客や泥棒などを描くアウトローものに大別されると思う。この中でアウトローものは必ずといってよいほど、啖呵を切る場面がある。女流には苦手と思われたが、最近は啖呵の切れる女流が増えてきた。
この演目でも河内山宗俊が悪徳店主から100両強請るときに啖呵を切るのだが、阿久鯉の啖呵は鮮やかだった。
花形演芸大賞 贈賞式』、司会は白酒。
主催者の日本芸術文化振興会理事長・茂木七左衞門氏の挨拶では地口が披露された。講評をダラダラやる人がいて閉口することがあるが、この日の講評は簡潔でよかった。
司会者が言っていたが、受賞者の胸中は誰もが嬉しいとは限らない。本当に喜んでいるのは大賞受賞者だけだろうし、他の人たちは口惜しさが半分だろう。過去の受賞者でも明らかに不満を表に出す人もいた。アタシの見立てでは、当日に欠席した人は大抵が審査に満足していないと思った方がいいい。
厳しい競争社会だから、致し方ない。
白酒『新版三十石』、ゲストで、弟弟子の龍玉にプレッシャーを与えるマクラを振って、この日は得意のか~るいネタで。
萬橘『看板のピン』、アタシはこの人を二ツ目時代から買っていた。まとまりのつかないマクラを振って、はてどうなるかと思っていると、これがネタに入るとガラリ一変する。噺のリズムや「間」が独特で、とにかく可笑しいのだ。萬橘の高座を観ていると、落語は「上手さ」だけではないと実感する。
ロケット団『ロケット団』、脚の具合も良くなったせいか、調子を上げてきた。
龍玉『夏泥(置き泥)』、龍玉の語りは人情噺向きだ。地の語りは力強いし、セリフ回しもしっかりしている。反面、そうした長所が滑稽噺では「硬さ」となって表れてしまう。この日の様なネタではもっと軽く演じる必要がある。龍玉の課題が浮き彫りとなった高座だった。

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コメント

この会、行きたかったのですが、午後から所用があり、いくのを諦めました。
ほめ・く様のブログで疑似鑑賞できました。

投稿: ぱたぱた | 2016/06/20 19:56

ぱたぱた様
それは残念でした。出演者が多く時間が短かったのが難点でしたが、やはりプロ。短い時間にネタをまとめて熱演が続きました。来年の大賞は上方から出そうな感じがしていますが、さて、どうなりますか。

投稿: ほめ・く | 2016/06/20 21:45

私は雲助の弟子3人の大ファンなのですが、どうしても師匠雲助の良さがよくわからないのです。その辺に落語の深さや面白さを感じています。
龍玉さんが以前、困ると師匠の真似をして逃げてしまうと言っていましたが、それは最近感じるようになってきました。
やはり仕事にしてしまうと大変なんでしょうね。

投稿: YOO | 2016/06/21 01:19

YOO様
私も雲助の良さが分かってきたのは、ここ数年です。弟子の白酒の方が先でした。雲助の滑稽噺は白酒が、人情噺は龍玉が、その両方を馬石が、それぞれ受け継いでいると感じています。

投稿: ほめ・く | 2016/06/21 09:03

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