国立演芸場6月中席(2016/6/11)
「国立演芸場6月中席・初日」
前座・春雨や晴太『八問答』
< 番組 >
笑福亭和光『見世物小屋』
春風亭柳好『権助魚』
マグナム小林『バイオリン漫談』
三遊亭とん馬『替り目』+『かっぽれ』
桂南なん『千両みかん』
~仲入り~
プチ☆レディー『奇術』
三遊亭遊吉『粗忽の釘』
林家今丸『紙切り』
三遊亭遊三『青菜』
国立の6月中席は芸協の芝居。初日で土曜日だったが、やや寂しい入り。落語ブームと言われているが、大看板や人気者が出ないと客足が遠のくようだ。
例によって短い感想を。
晴太『八問答』、とても良かった。アタシは前座には拍手をしないことにしているが、晴太の高座が終わった時は拍手した。八は末広がりで縁起がいいという事で、すべての言葉に強引に八を付けてしまうという問答もの。足し算、引き算、掛け算を駆使してこじつけるのだが、立て板に水の如く淀みがない語りで、結構でした。他のネタの具合は分からないが、また期待できる新人が生またようだ。
和光『見世物小屋』、師匠(鶴光)から教わったという小噺をいくつか披露した後、お馴染み東の旅のネタへ。上方らしいコッテリとした味わいの高座。
柳好『権助魚』、近ごろ落語家の不倫が話題になることがあるが、どうでもいいじゃん。落語家に道徳を求めてもしょうがないだろう。謝罪会見なんて、それこそお笑いぐさだ。男女でも友人でも「来る者は拒まず、去る者は追わず」が自然体だと思う。幸か不幸か、コチトラには女性が誰も近付いて来ないので、不倫も浮気も無縁だけどね。落語の世界では相変わらず、妾や二号は男の甲斐性だ。
柳好の高座は素朴な様でしたたか、それでいてどこか間が抜けている権助の姿を巧みに描いていた。
マグナム小林『バイオリン漫談』、バイオリンを弾きながらタップダンスを踊るという珍芸。楽器を使う色物の芸人が少なくなってきた中で貴重な存在だ。
とん馬『替り目』、お初。酔っぱらいの仕草が上手いが、それ以上に感心したのはおまけの『かっぽれ』だ。形の良さは現役の噺家の中でもトップクラスではあるまいか。これだけでも見る価値あり。
南なん『千両みかん』、未だ志ん朝が浅草で住吉踊りをしている頃に、芸協からこの人が出演していて、たびたび志ん朝から頭が歪んでいるとイジられていたのを思い出す。落ち着いた静かな語りでネタを演じたが、そのせいかやや陰気な印象を受けた。師匠(二代目桂小南)とはだいぶ芸風が異なるようだ。
プチ☆レディー『奇術』、華やかではあるが、寄席の奇術としては些か異質な感じがする。
遊吉『粗忽の釘』、地味で手堅い高座だった。
今丸『紙切り』、いつも思うのだが、客席にリクエストを求める際にせかす様な素振りが気になる。最後の人のリクエストもよく分からないからとスルーしてしまったのは、どんなもんだろう。
遊三『青菜』、最後は季節感溢れる噺で締め。
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