« 国立演芸場㋅上席(2016/6/4) | トップページ | 「熱闘老舗旅館『ヒミツの仲居と曲者たち』」(2016/6/7) »

2016/06/07

アメリカこそタックスヘイブン国だった

タックスヘイブンを利用した租税回避の規模は、全世界でおよそ21~32兆ドルという金額が推定されている。これは全世界の合計GDP:76兆ドルのおよそ3分の1にあたる驚異的な数字だ。もし、こうした脱税分が適正に納税されていれば、世界の貧困や格差は大幅に改善されるはずだ。

今年4月に暴露された租税回避地「パナマ文書」には1150万点の資料が含まれていて、その中にはロシアや中国などの首脳関係者の名があり、大きな政治問題になっている。
処が、意外にも米国の関係者は約200名で、しかも有名人はゼロらしい。プーチンらがこれは米国の陰謀だと息巻いている背景はその辺りにある。
しかし、別の見方からすれば、米国の場合はわざわざ外国の租税回避地に逃れずとも国内のタックスヘイブン制度を利用できるから十分だとも言えるのだ。
米国のデラウェア州にウィルミントンという人口わずか7万人の街があるが、ここにある小さなビルには、なんと世界の28万社以上が本社所在地として登録している。デラウェア州の税制優遇と守秘規定によって企業が守られているからだ。
この中にはクリントン夫妻の企業も含まれていたことが明らかになっているが、今のところ共和党は静観している。なぜなら自分たちも利用しているから、糾弾ができない。
米国では他にもネヴァダ、ワイオミング、サウスダコタ州が租税回避地として注目されている。3州とも法人地方税や住民税がなく、州内登記企業が守秘の壁に守られているからだ。

アメリカは過去10年以上にわたって、世界各国のタックスヘイブンを糾弾し、告発も行ってきた。「外国口座税務コンプライアンス法(FATCA法)」を成立させ、米国人が海外の銀行に口座を設けた場合、そのすべてを米国歳入庁に報告せねばならないという法律だ。これにより日本を含む世界中の各銀行がこの調査に必死になって協力している。
その結果、かつてのタックスヘイブン国の多くはその機能を失った。で、どうなったかというと、それらの資金が米国に流れ込んできた。

先日のG7でもタックスヘイブン追放のために、FATCA法を世界に拡大することを各国に求めたが、米国は拒否した。自分たちが決めたルールは他の国には守らせるが、自分たち自身は守る必要がないというわけだ。
もう一つ大きな問題は、多国籍企業の納税逃れの問題だ。
2009年に国税庁がアマゾンの日本国内の販売に関して140億円の追徴課税を申し渡したが、アマゾン側は「日本にあるのは『倉庫』であって、販売事業ではない」という訳の分からぬ理屈をつけて拒否した。この件ではアメリカ政府が乗り出してきて日本当局に圧力をかけ、結局ウヤムヤにされてしまった。国会でも野党が追及したが、「個別事例への答弁は差し控えたい」として明らかにされなかった。

欧州各国が多国籍企業の租税回避を阻止する動きを活発化させているが、オバマ政権はこれらを「欧州企業を保護するという商業的理由なよる」米企業の摘発だとし、政府として米国の多国籍企業を守る立場を明確にした。
安倍政権は依然として、法人税を引き下げ日本への投資を増やすという政策に固執している始末だ。

いま、租税回避問題こそが世界経済の大問題なのだ。
舛添知事がどうのといったチンケな事にかかわりあっている暇はない。

|

« 国立演芸場㋅上席(2016/6/4) | トップページ | 「熱闘老舗旅館『ヒミツの仲居と曲者たち』」(2016/6/7) »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 国立演芸場㋅上席(2016/6/4) | トップページ | 「熱闘老舗旅館『ヒミツの仲居と曲者たち』」(2016/6/7) »