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2016/06/12

「笑点」利権

落語が好きだと言うと、大概の人はTV番組の「笑点」の話題を振ってくる。「ここ30年ぐらい見てないんですよ」と言うと不思議そうな顔をされる。
「笑点」の大喜利には台本があり、出演者は台本通りにしゃべっていると言うと、驚く人が多い。あれはすべてアドリブだと信じているのだ。

6月12日付の日刊サイゾー”本多圭の「芸能界・今昔・裏・レポート」”で、「笑点」利権に関する記事が書かれている。
以下の引用はビートたけしの発言から。
「誰が『笑点』を見てるのか、よくわかんない。これだけアドリブなしのカンペだらけの番組なんて、聞いたことがない。大喜利には作家が10人くらいついていて、いろんな答えを作って、どれを誰に答えさせるかまで裏方が考えるってやり方。(立川)談志さんなんか、それが嫌で辞めたんだから」
「まあ、司会やメンバーになれば、営業のギャラが変わるからね。落語がうまくなるよりも、『笑点』のレギュラーになることのほうが重要になってきている」

そう、「笑点」の出演者にとっての最大の魅力はギャラだ。
記事では「笑点」は月に2回の収録で、司会だった歌丸のギャラが一番高く、2回分で80万円といわれていた。三遊亭円楽をはじめ、6人の大喜利メンバーは60万円とも書かれている。
これでもかなりの高額に見えるが、記事では続けて地方営業の利権について書かれていて、歌丸のギャラは1本当たり100万円に跳ね上がるという。ほかのメンバーのギャラも推して知るべしと。
地方営業の依頼は多く、歌丸が元気なころは、月20本の営業が入っていたという。単純計算でいけば、年収は2億円以上になる。
利権は出演者だけにとどまらず、笑点メンバーと同じ一門の落語家は彼らとセットで公演会を開けば、チケットが飛ぶように売れて、一公演で1,000万円は売り上げるという。
これじゃ、観客ではなく出演者の側の笑いがとまらない。
かくして笑点メンバーは、本来の落語より、アドリブに見せかけた筋書き通りだらけの「笑点」にしがみつくことになる。

かたや、寄席のギャラ(割り)となると心許ない。時々頭の中で計算することがあるが、一人平均1万円いかないじゃないかと思うことが多い。しかもよほどの人気落語家でなければ、毎日仕事があるわけではない。
昔のようにお座敷に呼んでご馳走してくれたり、小遣いをくれたりするタニマチもいなくなってきた。
真打になっても食えず、副業をしたり、奥さんに食わせて貰っている人も少なくないそうだ。
こうした大多数の噺家と、「笑点」利権の噺家との格差の大きさに慄然とする。

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寄席・落語」カテゴリの記事

コメント

志ん朝が、あなたも「笑点」に出られるようになるといいですね、と慰められたそうです。
確固たる地位を築いていたのに。
権太楼が、「笑点」メンバーみたいに売れるようになるといいね、と励まされたそうです。十分に売れていたのに。
げに世間の評価はわからないもんです。
大喜利はマンネリの極致で、その分安心して聞けるという評価でしょうか。
談志はあれを異なる内容に変えようとして軋轢を起こし、番組を降りた、と歌丸が語っていました。

福様
「笑点」は、落語家が出演しているバラエティ番組だという事実を知らない人が多過ぎる気がします。昨今の司会者交代騒ぎにしても、何か月も前から決まっていた事に緘口令を引き、番組視聴率を上げるというアザトイ手口は不快でしかありません。

それにつけても喜多八の早世が惜しまれる。
ガン患者を激励する落語会にずっと出続けたというのですね。
最後に「私も皆さんの仲間に入りました」といって拍手が来たという、泣けました。

佐平次様
初めて寄席に行くように(当時は連れていかれて)なってから60年以上になります。この間、多くの好きな落語家の死を知らされてきました。その度に落ち込んだり辛い思いをしてきました。喜多八の様に自分より年下の人の場合は、よけいに口惜しさを感じます。

笑点の利権ですが、数年前に、新作派の某中堅真打が地方での仕事で、「どうしてそんなにおもしろいのに笑点にでないんですか?」とお客に言われたが、「笑点は利権の塊で(自分は)その利権に与れないんだ!」と言っていたエピソードを思い出しました。利権確保にはしるあまりか、いろいろ落語会に通ってみて、落語の面白さは、笑点メンバーをはるかに凌ぐ落語家が大勢いる、昇太を除いて笑点メンバーが出る会は総じて中身が薄いことがよくわかりました。

ぱたぱた様
未だに「笑点」はアドリブであり、落語の一番上手い人が「笑点」に出られるなんて信じてる人がいて、困ったものです。出演者もきっと面はゆい思いをしているでしょうに。

十年近く前でしたが、自宅近所の居酒屋で店の主人と話をしていて、落語が好きだと言ったところ、「あ、笑点ですね」と答えが返ってきました。
すみやかに店を出て、二度とその店に行かなくなりました。

また、5月に末広亭に行った際、「ほら、歌丸だけでなく、好楽も出てる!」と喜んで入場していった女性客数名の団体さんがいたのを思い出します。

地方なら、いっそう、テレビでしか落語家を知らない人も多いでしょう。

いっそ、座布団十枚になったら、一席落語を披露していい、というのはどうかなぁ。
それじゃ、罰ゲームか^^

小言幸兵衛様
まともに落語が出来れば落語をやるが、それが出来ないからバラエティで稼ぐと考えれば、説明がつく気がします。
「笑点」について話題を振られたら、これからはこの手で納得して貰おうと思っています。

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