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2016/07/30

「正太郎・小辰 二人会」(2016/7/29)

春に船「正太郎・小辰 二人会」
日時:2016年7月29日(金)18時45分
会場:内幸町ホール
<  番組  >
前座・入船亭辰のこ『狸札』
春風亭正太郎『釜泥』
入船亭小辰『金明竹』
ゲスト・五街道雲助『持参金』
~仲入り~
入船亭小辰『鰻の幇間』
春風亭正太郎『佃祭』

「正太郎・小辰 二人会」に「春に船」とは粋な名前を付けたもんだ。1年限りで5回の開催、今回が3回目。
近ごろは芸協の二ツ目がイケメンという事でメディアで採り上げられているが、落語協会の二ツ目は顔で負けても実力で勝負だ。名前をあげればこの二人に柳亭市童かな。
二人が前半では軽いネタを各一席、ゲストを挟んで後半は長講を各一席という趣向

正太郎『釜泥』
石川五右衛門の子分たちが釜茹でになった親分の敵をとろうと、釜という釜を全て盗んでしまおうという。商売道具の釜を盗られたんじゃ大変だと、店の主の爺さんが釜の中で不寝番をすることになった。すると隙を見ちゃ婆さんは釜の蓋を閉じようとする。注意すると今度は下から火を焚こうとしたり、釜の蓋に重石を乗せようとする。どうやら婆さんは爺さんを亡き者にしようとしているようだ。爺さんは爺さんで、釜の中で若い女とさし向かいになってやったり取ったりという夢想を膨らませている。退屈した爺さんが釜の中で一人酒盛りを始め、やがて寝入ってしまう。そうとは知らず泥棒二人がまんまと釜を盗んで担いでいると、突然中から人が現れる。驚いた泥棒は「出たぁ~」とばかり釜を放り出して逃げてしまう。残された爺さんは空を仰いで、「今度は家を盗まれたか」でサゲ。
小噺に毛のはえた程度の軽い噺だが、正太郎は爺さんと婆さんとの軽妙なヤリトリや、爺さんが妄想する場面を膨らませて面白く聴かせた。

小辰『金明竹』
正太郎が「動」なら小辰は「静」。師匠譲りの低い声だがメリハリのある語りで、「道具七品」の言い立ては見事。欲を言えば、若いんだからもう少し弾けても良い気がするけど。

雲助『持参金』
小辰が雲助は時間ギリギリに来て終わればサッと帰ると言っていた。雲助一門会でも、自分の出番が終わるとサッと帰ってしまうと白酒が言ってたっけ。江戸っ子だからね、さっぱりしてるんだ。続けて小辰が、雲助の高座を聴いていると、自分が空しく感じるとも言っていたが、実感だろう。
雲助の得意ネタとはいえ、実に上手い。嫁を世話した隠居がさんざん嫁の欠点をあげ連ねていくのだが、主人公の男がその嫁を見て「言われるほどぁ、悪くねぇ」という所に、この男の優しが現れている。きっと幸せな夫婦になっただろう。

小辰『鰻の幇間』
幇間が浴衣がけの男に逃げられるまでは良かったが、後がいけない。店員の女に色々と文句を並べる場面になると、男が幇間には見えなくなる。これではこのネタのキモである野だいこの悲哀が消されてしまう。先代文楽や志ん朝とは言わず、喜多八という立派な手本が身近にあったんだから、もっと勉強をして欲しい。

正太郎『佃祭』
序盤をカットし、次郎兵衛が佃の渡しで仕舞船に乗り込むのを女が袖を引いてとめる場面からスタートした。次郎兵衛が佃島の女の家にあがり夫婦から礼を言われるシーンは心情に溢れていた。最大の見せ場である、次郎兵衛が死んだと思い込んだ長屋の連中が葬儀の準備をしたり、揃って悔みを言いに行く場面も良く出来ていた。皆、トンチンカンな悔みを言ってぶち壊す中で、与太郎だけがまともな悔みを言うという演じ方は正太郎独自のものと思われる。次郎兵衛が戻った後のドタバタや、最後まで焼餅を焼く女房の姿も巧みに描かれていた。
全体として上出来で、とても二ツ目の高座とは思えない。
正太郎、恐るべし。

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