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2016/08/13

東京四派若手精鋭そろい踏みの会(2016/8/12)

「東京四派若手精鋭そろい踏みの会」
日時:2016年8月12日(金)14:00
会場:横浜にぎわい座 芸能ホール
<  番組  >
前座・三遊亭けん玉(五代目圓楽一門会)『浮世床』
春風亭一之輔(落語協会)『代脈』
三遊亭兼好(五代目圓楽一門会)『野ざらし』
三遊亭遊雀(落語芸術協会)『悋気の独楽』
~仲入り~
林家木久蔵(落語協会)『幇間腹』
立川生志(落語立川流)『紺屋高尾』
『大喜利』全員

TVは朝昼夕方夜と1日4回のニュースしか見ないのだが、どの時間帯でもオリンピックのニュースが中心だ。しかもニュースの後でオリンピック特集の番組が組まれていて、同じ内容が繰り返される。それなら通常のニュースではオリンピック以外の報道を中心にすりゃいいのにと思ってしまう。他に伝えるべきことは無いのかと。
それとも政治部や社会部の記者はみな夏休みなのか?

「東京四派若手精鋭そろい踏みの会」は毎年この時期に行われているそうで、この日も補助席が出るほどの人気の会。顔ぶれも、一人を除き他の4人は四派を代表する若手精鋭だ。
もっともお盆だから、今どきはどこの寄席も満員だろうけど。

前座のけん玉『浮世床』、この日で3度目ぐらいだと思うが、声が大きくしゃべりもしっかりしていて筋が良さそうだ。

一之輔『代脈』、好みからいうと、どうもこの噺は好きになれない。主人公は医者の見習いである銀南だが、代脈として患者の家に派遣され、先方からも「若先生」と呼ばれているからには、年齢は20歳前後と推定される。愚か者という設定ではあるが、その言動はあまりに幼く子どもにさえ見えてしまう。かと言って、与太郎のような可愛げもない。圓生の口演が代表作といって良いだろうが、聴いても面白味を感じないのだ。
一之輔の描く銀南は少し大人っぽく、出された羊羹が藤村かとらやかという能書きを加えていた。また羊羹茶漬けを食べて師匠に怒られたことを思い出し、急に師匠に反論しに行くと言い出す場面を加えていた。愚かな銀南を幼稚化する方向ではなく、より戯画化して笑いを集めていた。

兼好『野ざらし』、一之輔が鬼才なら、兼好は奇才かな。かつては『野ざらし』と言えば3代目柳好だったが、現役の噺家はアタシの知る限りではみな8代目柳枝の型で演じている。兼好の高座も同様。但し、「さいさい節」から幽霊の女が長屋を訪れて男といちゃつく場面は柳好の型だ。ここを実に気分良さそうに弾けて演じ、幽霊といちゃつく所では珍しく好色な男の姿を描く。
兼好の新たな面を発見。

遊雀『悋気の独楽』、十八番のネタだ。いかにもキツイ本妻に、色っぽい妾。あれじゃ旦那ならずとも妾の家に足が向いてしまう。噺の主人公は小僧の定吉で、子どもだが実にしたたか。あの位の神経でないと、商家の奉公人は務まらなかったのだろう。遊雀の高座は人物描写の確かさと、スピーディは筋の運びで聴かせていた。
このネタの類似の作品に『喜撰小僧』があり、こちらの方が良く出来ていると思うのだが、8代目柳枝以後は演じ手がいないようだ。

木久蔵『幇間腹』、真打になって9年。前回は二ツ目時代に見たきりだから、もう10年以上前になるか。結論から言うと、二ツ目レベルの高座だ。素質の問題なのか、努力が足りないのか、そこは分からない。

生志『紺屋高尾』、人気者の多い立川流だが、実力からいえばこの人は3本の指に入るだろう。
前半の久蔵が高尾に恋煩いする所から、3年かけて貯めた15両で高尾と会えるまでが滑稽噺。後半の久蔵が高尾に身分を打ち明けて夫婦となる約束を交わす所は、人情噺風に展開する。生志の高座は前後半のメリハリと、久蔵の一途な心情を描いて好演だった。
この噺は実話に基づいていて、高尾(6代目と言われている)も実在の人物だ。美談のように描かれているが、よく考えれば花魁の再就職物語だ。来年の3月には年季があけるというのに、この高尾太夫は有力者に落籍(ひ)かされる話もなく、身の振り方に悩んでいたに違いない。そこにいかにも実直な染物職人が現れて、この人に賭けようと思ったのだろう。久蔵に渡した30両は店の開店資金で、計画通り暖簾分けをしてもらって店を持つことができた。店が繁盛するのも高尾としては最初から計算通りだったと考えれば、サクセスストーリーにも見える。
これを美談に変えた作者は腕が良かった。

最後は楽しく『大喜利』で締め。

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コメント

木久蔵が精鋭とは!
襲名したころ「幇間腹」を聴きました。
これしかできないのかな、若旦那は地でやれる?

投稿: 佐平次 | 2016/08/14 09:58

佐平次様
久々にひどい『幇間腹』を聴きました。木久蔵の高座は幇間と若旦那の演じ分けが出来ておらず、二人の会話ではどっちがどっちか分からない。今は、箸にも棒にも・・・、てぇとこです。

投稿: ほめ・く | 2016/08/14 11:49

遊雀は師匠の小遊三のように滑稽話の名手。
『悋気の独楽』は多少本妻がかわいそうな気もします。

大喜利って(笑)
オリンピックとかけて何ととく、とかやったんでしょうか。

投稿: 福 | 2016/08/14 15:15

福様
遊雀は、やはり前の師匠の権太楼の影響を感じます。爆笑系の古典派ですね。
大喜利、「こんなオリンピックは嫌だ」「謝罪会見」といったお題でした。即興でしたが楽しかったですよ。

投稿: ほめ・く | 2016/08/14 15:46

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